「星降る夜に」第2話:「雪宮鈴、好きだ」静かで美しい告白シーン、よきよき

吉高由里子主演、北村匠海が共演するドラマ「星降る夜に」が2023年1月17日スタート。

本作は、恋愛ドラマの名手・大石静が紡ぐ大人のピュア・ラブストーリー。人に本音を吐けない孤独な産婦人科医・鈴(吉高)と、音のない世界で自由に生きる遺品整理士・一星(北村)。10歳差の2人が既成概念をひっくり返し、新たな価値観を見せる物語から目が離せない。

本記事では、第2話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。

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「星降る夜に」第2話レビュー

第2話は、鈴(吉高由里子)や一星(北村匠海)をはじめとした、登場人物たちの過去や想いが垣間見える回だった。恋愛ドラマでありつつ、命や人間や人生にフォーカスするストーリーに、さらに惹かれた。

一星に「ありがとう、あなたに母の遺品を整理してもらえてよかったです」とお礼を言った(後に「お前のキス、大したことなかったけどな!」と手話で悪態をついた)鈴。強引に鈴のスマホに自分の連絡先を入れ、「お礼して」と(トークアプリで)言った一星に、映画と食事に付き合わされるが、それなりに楽しそう。年齢の話になり「10コも下なの?」と驚く鈴だが、一星は「たった10コだろ」と意に介さない様子。

急患が出て、病院に向かわねばならなくなった鈴。出産直前まで病院に行かなかったという女性(清水くるみ)の出産を担当する。男の子が生まれたが、女性は赤ちゃんの顔を見ようとせず、「いらない」と言う。名前も明かさず、頑なな女性。深夜(ディーン・フジオカ)は、赤ちゃんに話しかけ写真を撮り、鈴に入れ込みすぎだと言われる。鈴は自分が訴えられたときの話をする。救急で妊婦を受け入れ、赤ちゃんは助かったが母親は死亡。病院や鈴の対処に落ち度はないとされたが、いまだにそのときの出血を思い出すという。

深夜は、自分の過去を思い出していた。まだ周囲の人間には明かされていないが、深夜が30代後半になってから医学部に進み、45歳で新米医師となったのは、彼自身が出産時に妻と赤ちゃんを同時に亡くしていたからだった。公式サイトのプロフィール欄に“秘められた悲しい秘密”とあって気になっていたのだが、そういうことだった。

男の子を産んだ女性は「赤ちゃんを抱いてみませんか」という深夜に押し付けるなと突っぱね、ドライにまだ退院できないことと、赤ちゃんに対する対応が必要と伝える鈴の言葉も拒絶。疲れた鈴の帰宅中、一星から連絡が。指定された酒場に行くと、一星と春(千葉雄大)がいた。一星は遺品整理で”伝説のAV”を発見して観たかったのだが、社長の北斗(水野美紀)に没収されてふてくされていた。

手話と通話アプリで話す一星、通訳もしつつ発話と手話を使い分ける春、基本音声だが、わかったり習ったりした手話を使ってみる鈴の会話は、ごちゃまぜだけどにぎやかで楽しそうだった。伝説のAVに興味を示す鈴と、「日本のAVには情緒がある」と熱く力説する一星。いい感じに下ネタは通訳しなかったり、「(鈴と)やったの?」と手話で聞く春が、ちょっと嫌だけどリアルだった(笑)。

このほかにも、春の手話の使い分けというか、伝えるものと伝えないものの分け方が興味深い。一星の言葉を通訳するけれど、例えば伝説のAVが北斗に見つかったときは、一緒に興味を持っていたのに「俺もやめろって言ってたんです」と嘘をついたり、一星の主張を伝えなかったり。鈴と食事したときは、唇を読めないように隠しながら「(一星は)尊敬する先輩です」と言ったり(※年齢は一星のほうが下だが、仕事では先輩)。ちょっとずるいと思うときもあるが、一星と親しいからこそできることでもあり、自然な友達のやり取りという感じがする。一星の口癖だという「いいね」という意味の「よきよき」も覚えた。

飲み会からの帰り、2人に教えてもらった手話での名前を繰り返す鈴。「雪宮鈴」の「雪」は雪が降っている様子、鈴は鈴を鳴らす様子を手で表していて、「柊一星」の「星」は星が降り注ぐような表現で美しかった。春が教えてくれた名字の手話談義も面白かった! そしてドラマタイトル「星降る夜に」の「星降る」はこの部分だったのか、と思った。「夜に」は深夜なのだろうか。

先ほどの赤ちゃんを産んだ女性は、とうとう置き去りにして出て行ってしまった。その話を聞いた一星は「(女性を)探そう」「俺は高校の時に両親を事故で亡くした、何で俺だけと思って毎日泣くぐらいつらかった」「生まれたときから親がいないなんてかわいそうすぎる」と、女性を探しに行こうとする。でもここで、鈴はずっと感じていた疑問を口にする。深夜も看護師たちも一星も「赤ちゃんがかわいそう」と言った。確かにこれからあの子の人生にはいろいろなことがあるかもしれないが、生まれて2日なのに「かわいそう」と決めつけられなければならないのか。そう聞いて、一星は両親の葬式のとき、人々から口々に「かわいそうに」と言われたことを(正確には「かわいそう」と言っている複数の人の口元を)思い出していた。

「俺はかわいそう?」と聞く一星に、鈴は全く思い当たらない、という顔をする。
「一星がかわいそうなの?」「それは耳が聞こえないことやご両親を亡くしてることを言ってるの?」と聞く鈴に「普通と違うから」と言う一星。
鈴は「確かに変わってるかもしれないけど……」
「自由で自信満々でポラリス(遺品整理の会社)のエースで、頼んでもない遺品届けてくれるくらいお節介で、うらやましいくらい魅力的な人生だと思うけど、かわいそうなの?」と言う。一星はうれしそうに手話で赤ちゃんの幸せを願い「俺を見習えって言っとけ」と言う。

1話だと、鈴が一星に出会って価値観が変わる物語だと思っていたが、逆もありそうだ。

一星が猫6匹を保健所に連れて行かずに俺が引き取り手を探す! と豪語して北斗に怒られるが、「社長に似たんじゃないですか」と言われ「1匹くらいうちで飼うよ~」と言っちゃう北斗のお人よしっぷりが伝わってきた。それにしてもここで出てきた猫ちゃんたち、かわいかった……。あと、ちょいちょい挟まれる麻呂川院長(光石研)の顔の看板に笑ってしまう。

ラスト、雪の降る踏切で向かい合う雪と一星。手話で「雪宮鈴」と言ったかと思えば「雪宮鈴、好きだ」と告白した一星。なんて静かで美しい告白シーンなのだろうか。

深夜と北斗が知り合いだったことも発覚。深夜の亡くなった奥さんと北斗が友達だったのだろうか。深夜が「俺って変な顔?」「変じゃないよ、綺麗な顔だよ」というやりとりに笑いつつ、何をもって変な顔と言われているのかが気になった。予告では早くも三角関係の予感もしていて、今後も目が離せない。


(文:ぐみ)


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