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2023年02月05日

「Get Ready!」第5話:藤原竜也、“中年の危機”を哀愁たっぷりに体現 救い救われたエース×ジョーカーの過去も明らかに

「Get Ready!」第5話:藤原竜也、“中年の危機”を哀愁たっぷりに体現 救い救われたエース×ジョーカーの過去も明らかに

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妻夫木聡主演のドラマ「Get Ready!」が2023年1月8日放送スタート。

本作は、多額の報酬と引き換えに、手段を選ばず患者の命を救う正体不明の闇医者チームの活躍を描いたダーク医療エンターテインメント。闇医者チームのメンバーには、主人公で孤高の天才執刀医・波佐間永介(通称:エース)を妻夫木、その相棒である交渉人・下山田譲(通称:ジョーカー)を藤原竜也、凄腕オペナース・依田沙姫(通称:クイーン)を松下奈緒、若き万能ハッカー・白瀬剛人(通称:スペード)を日向亘が演じる。

本記事では、第5話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。

「Get Ready!」第5話レビュー


法外な報酬と引き換えにどんな手術も請け負う闇医者チームはたった4人……ではなさそうだ。以前、鈴木亮平が“謎の運び屋”としてサプライズ登場したが、闇医者チームに協力する人間が他にもいるのは明らか。その一人が町工場で働く職人・石川智明、通称“クローバー”(小林勝也)だ。

仮面のメンテナンスを依頼するため、クローバーの元を訪れたスペード(日向亘)。ここのところ、好き勝手に行動するエース(妻夫木聡)と、それに対して何も言えないジョーカー(藤原竜也)にイライラさせられてるスペードは二人と付き合いの長いクローバーに思わず愚痴る。

なぜ、正反対に思えるエースとジョーカーは“仲間”になったのか。前回はオペナースを務めるクイーン(松下奈緒)の過去が明らかになったが、「Get Ready!」第5話は交渉人のジョーカーがエースの相棒になるまでに迫る。



スペードがクローバーのところから帰ってくると、エースがジョーカーに交渉を依頼しにきていた。今回、交渉を依頼したいというのは若年性アルツハイマーを患う渚(小島藤子)とその夫・健二(高橋光臣)。

資産家でもない夫婦にこれまでのような数億もの報酬を望めるはずもなく、誰もがエースに反対する。特にあまりに自分勝手なエースにジョーカーは怒り心頭。二人は真っ向から対立するのだった……。

しかし、エースが夫婦を交渉相手に選んだ理由はジョーカーの過去に関係していた。実のところ、今回の患者は妻・渚の方ではない。重篤になれば助かる見込みのない病気を患っている夫・健二の方。

その病気とは、急性壊死性膵炎。4年前、ジョーカーは同じ病気で余命1ヶ月を言い渡された。



当時、腕利きの弁護士として活躍していたジョーカーは海外にも活動の場を広げ、まもなく妻や息子とともにニューヨークに移り住む予定だった。地位もお金も手に入れ、何不自由ない生活。しかし、心のどこかで抱えていた虚しさが命の終わりを前にジョーカーの中から放出する。

かつては過酷な環境下に放り出され、どん底から這い上がっていく泥臭い青年を演じていた藤原竜也。今や、舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」で父親となったハリー・ポッター役を演じるなど、人生の折り返し地点に立った中年の危機を哀愁たっぷりに体現する。今回演じるジョーカーも4年前の姿は病気で心も身体も弱まり、みるからに痛々しい。

そんなジョーカーが偶然出会ったのが、死神と見まごうほどに生気を失ったエースだった。触診とほんの僅かなやりとりで自分の病気を当ててみせたエースにジョーカーは助けを求める。

当初、エースは人間がただ生き永らえることに意味があるとは思えず、聞く耳を持たなかった。しかし、どんなに無様だろうが、生きることへの渇望をやめないジョーカーの姿がエースの心を動かしていく。

結果、ジョーカーはエースにその命を救ってもらった。しかし、同時にエースもジョーカーに救われたのだ。エースの過去に何があったかはわからない。ただ、何の希望を持っていなかったエースに「医者の性(さが)をその手が訴えている」とジョーカーは教えてくれた。



今回、エースが健二を患者に選んだのは、健二もまた4年前のジョーカーと同様に生きる虚しさを抱えていたからであろう。

アルツハイマーは進行を遅らせることしかできないが、膵炎の方は治すこと可能だった。ひいてはどんどん認知症が進行し、一人では生きていけない渚のそばにこれからもいることができる。しかし、健二は自分が手術を受けることは望んでいない。

なぜなら、もう限界だからだ。終わらない介護、治らない病気、いつかは忘れられる運命にある自分……。手術で生き長らえたとして、その先に希望があるのか?

自問自答する健二に、エースは「たとえ、生きながらえたとしても、きっとあんたも絶望の淵に立たされることになる。だが、それが終わりじゃない」と語りかける。それは自ら命を救ったジョーカーが新たな人生を手にしていく姿を隣で見てきたからに他ならない。



ジョーカーはエースの手術で病気を克服したのち、新しい目標に向かって動き出す。それはエースの腕を生かし、自分と同じく絶望の淵にいる人間を救うこと。エースに“波佐間永介”という戸籍と、最新医療機器を揃えた“ゲーミング手術室”を与え、ジョーカーは交渉人として患者を見つけてくる。

そうして最初は2人だけで始まった闇医者チームはいまや、最新鋭の医療技術を誇る大学病院ですら手の施しようのない患者も救える謎の組織として巷を賑わせている。健二の命も無事に救うことができ、自分のことを忘れてしまった渚と笑い合う二人の姿をエースとジョーカーは見届けることができた。

ただ、やはりエースが患者を選ぶ基準はまだよく分からない。生きようとする人間は救うけれど、その人間に生きる価値がなければ、救わない判断を取る。今回の件で、エースにとっては報酬の支払い能力もあまり関係ないことがわかった。

「いつか彼らにも話してあげたらどうですか。あなたが失った命のことを」とエースに語りかけるクローバー。エースが“生きる価値”を患者に問う理由はその失った命に関係しているのだろうか。

(文:苫とり子)

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