「母親を大切にしよう」、夏が終わるまでに見ておきたい4つの映画

先日テレビ放送された『日本のいちばん長い日』。原田眞人監督は、イギリスへ語学留学していた際に映画評論家としてもデビューしており、様々な映画にも長けておられます。

繊細に、テンポよく、センス良く。様々な題材で私たちに素敵な映画を届け続けてくれる原田監督。今回はそんな原田眞人監督作品、近年の4作品の魅力をお届けします。

母と子の繊細な気持ちを描く『わが母の記』

わが母の記 DB-9626 (C)2012「わが母の記」製作委員会

 まずは、タイトルにも書いた「母親を大切にしよう」と思える映画、『わが母の記』からご紹介。

父親の死から物忘れが激しくなっていく母・八重。息子の洪作は子どもの頃、預けられていたため捨てられたとわだかまりがあるものの、八重の面倒を見ているうちに、母親の本当の気持ちを知る……。井上靖の自伝的小説の映画化作品。

この作品はほんとに樹木希林が素晴らしすぎます。途中演技ではなく素でやってるんじゃないかと思うようなシーンもあれば、痴呆症が進んで家族のこともわからなくなるシーンではものすごい演技を見せ、振り幅がとてつもなくすごいです。そしてそれに張り合う役所広司の演技。ほんとに両者素晴らしいです。

そしてクライマックスの息子と認識できなくなってから、子どもを預けた本当の理由を語るシーンが映像的にも話的にも、ものすごく感動できます。

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わが母の記| 2012年 | 日本 | 118分 | (C)2012「わが母の記」製作委員会 | 監督:原田眞人 | 役所広司/樹木希林/宮崎あおい/南果歩/キムラ緑子/ミムラ/菊池亜希子/三浦貴大/真野恵里菜/三國連太郎 |

御巣鷹山の飛行機事故を描いた『クライマーズ・ハイ』

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群馬県の地方紙北関東新聞で遊軍記者として働く悠木。そこにジャンボジェット機が御巣鷹山付近で消えたとの一報が入る。悠木は編集局長から事故関連全権デスクを任命され……。
世界でも最多の死者数を出した飛行機事故に挑む新聞社の話で、社内の派閥争いや、スクープの大きさにたいして右往左往する人間関係を濃密に描いた作品。

各人の新聞に対する情熱や仕事のやり方などの人間ドラマがほんとに熱い。情熱があるからこそぶつかりあったり、譲れないことがあるというのがよくわかります。

キャストも素晴らしく、特に主演の堤真一と堺雅人のやりとりが素晴らしい。尊敬し慕っているけど、仕事になるとぶつかり合うところ、ぶつかり合うけどやっぱり協力しあうところなどなど、いいシーンが満載です。

玉音放送までの24時間を描く『日本のいちばん長い日』

日本のいちばん長い日
御前会議で日本の降伏が決定し、宮城事件の発生や国民に対して玉音放送を行うまでの24時間を描いた作品。

この作品は史実で、もしかしたら日本が降伏できず、もっと戦争が長引いた未来もありえるのかな、と思うとかなり怖い作品です。

見所はやはり、玉音放送のテープを巡る一部の陸軍とそれを阻止する陸軍首脳部や宮内省の攻防など。また昭和天皇・裕仁を一人の人間として描いているところも見所といえるでしょう。

個人的には役所広司と松坂桃李のやりとりは全部のシーンがすごいと思いました。これからご覧になる方は注目して見ていただきたいです。役所広司は相変わらず素晴らしいのですが、松坂桃李がさらにすごい。この映画で彼の演技の上手さがよくわかりました。暴走する将校をよくぞ演じ切ってくれた、という感じで。

江戸時代の離婚をコミカルに描く『駆込み女と駆け出し男』

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鎌倉にある幕府公認の縁切り寺「東慶寺」。戯作者を目指す医師見習い信次郎は、東慶寺の御用宿・柏木屋に居候し、訳ありな女性たちの人生再出発の手助けを行なっていく。

基本的に大泉洋の台詞量が半端なく多く、とてもコミカルなのですが、それぞれ離縁を求める女性たちの事情などはしっかりした人間ドラマとなっております。

時にコミカルに、時に重厚で、時にアクションを見せてくれる縁切りのお話。特に大人の恋愛を見せてくれる話があり、それが一番気に入りました。この4作の中では一番コミカルなのがこの作品といえるでしょう。

重厚な人間ドラマを描かせたら日本でも随一の原田監督。上記に挙げた4作品はどれも熱く、感動的なドラマばかりです。この中でも自分は職業柄『クライマーズ・ハイ』が一押しです。

まとめ

時に論争を呼ぶであろう題材も扱ってきた原田眞人監督ですが、いざ見てみると心を揺さぶられる繊細な人間ドラマでいつも私たちを感動させてくれます。

特に心に響くのはやはり『わが母の記』。題材的にも一番見やすく、どなたとでも(親子でも、ご夫婦でも、恋人とでも、もちろん一人でも)ご覧頂けます。

本作は第36回日本アカデミー賞 優秀作品賞を受賞した名作。このお盆休みで帰省などされて家族の方と久々に過ごされた方もいらっしゃるかと思います。『わが母の記』は改めて「母」や「家族」を考えさせてくれる映画。是非この機会にご覧になってみてくださいね。

(文:波江智)

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ライタープロフィール

波江智

1978年生まれ。映画ライター。シネマトゥデイややcinema Ala Carteなどに寄稿。ジョージ・ルーカスとガイ・リッチーを敬愛。ベストムービーは『ロックストック&トゥースモーキングバレルズ」。

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