クイーンの楽曲を効果的に用いたSFヴァイオレンス映画『ハードコア』!

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伝説的人気ロックバンド、クイーンのリード・ヴォーカル、フレディ・マーキュリーの生涯を綴った伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』が日本でも公開となりました。

1973年にデビューし、すぐさま日本でも大人気となったクイーン、その熱狂を肌で知る世代ではありますが(クイーンのメンバーたちも初来日したときの歓迎ぶりに驚くとともに、それを機に大の親日家になったとのことで、その証拠に日本語の歌詞が出てくる「手をとりあって」なんて名曲もありますね)、今回はそのクイーンの楽曲を効果的に用いた映画『ハードコア』をご紹介!
(あ、まもなく公開される山田孝之主演の日本映画『ハードコア』ではありませんので、念のため)

全編一人称映像でドラマが進む
ユニークなスタイルの作品

『ハードコア』は2015年にロシア&アメリカの合作で作られた近未来SFヴァイオレンス・アクション映画です。

主人公のヘンリーは、ロシア上空の、とある飛行研究施設で目を覚ましました。

どうやら彼は何かの理由で重傷を負い、妻エステル(ヘイリー・ベネット)の手でサイボーグ手術を施されたようです。

切断された手足の修復も済み、次は失われた声帯の修復を……というところで、突然施設に超能力者エイカン(ダニーラ・コズロフスキー)率いる武装集団が!

エステルとともに地上に脱出したヘンリーですが、まもなくしてエステルは拉致されてしまい、ヘンリーも追われる立場に!

まったくワケのわからない状況の中、ヘンリーはジミー(シャールト・コプリー)という男に窮地を救われますが、彼もまたすぐに追手によって殺されてしまいました……が、すぐにまったく同じ姿をしたジミーが現れて!?

このジミー、かつてエイカンの下で働いていましたが、彼の裏切りを憎み、自身のクローンを量産していたのでした。

エイカンの目的は、死人をサイボーグにして量産し、世界を牛耳ること。

ヘンリーはジミーと手を組んで、エステル奪回のためにエイカン一味に戦いを挑むのですが……。

と、なかなかにハードな内容のこの作品、実はそれだけではなく、何と全編主人公ヘンリーの一人称視線で画面が展開されているのです。

従って、ヘンリー=観客の目線となっていくので臨場感もハンパではありません。
(ちょっとシューティングTVゲーム的な感覚にも近いですね)

とにかく主人公は何が何だかわからない状況下で次々と危機に見舞われていくのですが、まさに見ているこちらも彼とシンクロしてアレヨアレヨとなっていくのでした!
(ちなみに本作は主演男優が不在の作品となっております。現場ではスタントマンの頭部にキャメラを仕込んで撮影。監督のイリヤ・ナイシュラーがその役を務めるときもあったそうです)

クイーンの楽曲が流れる
映画のハシゴをしてみたい!

さて、そんなユニークな仕掛けの『ハードコア』ですが、本作のクライマックスで“Don’tStop Me Now”が流れるのです。

アドレナリン全開のヴァイオレンス・アクション・シーンでの、この名曲! その優れたセンスに快哉を叫びたくなるほど!

具体的にどのようなシークエンスで、どのような昂揚感をもたらしているかは、見てのお楽しみ!

監督のイリナ・ナイシュラーはもともとはパンクバンドのメンバーで、そのPVを一人称で作ったりしたこともあり、そういったキャリアを買われての本作なだけに、一人称映像と音楽の融合のセンスもばっちりなのでした。

ちなみにクイーンのどんぴしゃり世代としては、クイーンと映画といえば何といっても、あの『テッド』(12)でも話題になったSF超大作迷画『フラッシュ・ゴードン』(80)を思い出してしまいます。

(クマのヌイグルミたちにあれこれ茶化されたりもしてますが、主題歌をはじめクイーンの楽曲が劇中で鳴り響くと、結構燃えちゃうんですよね、あの映画!)

いつか『ハードコア』と『フラッシュゴードン』と『ボヘミアン・ラプソディ』のハシゴ鑑賞なんてのもやってみたいものであります!

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(文:増當竜也)

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ライタープロフィール

増當竜也

増當竜也

増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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