『サバイバル・ソルジャー』を見て、アクション・スターのギャップに萌えよ!

現在、高校生たちがビデオゲームの中のジャングルに入り込み、しかも身体も人格も異なるキャラクターに入れ代わったままサバイバルを繰り広げざるを得なくなる奇想天外ファンタジー・アクション映画の快作『ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル』が大ヒット上映中ですが、ファンタジックな要素のあるなしにかかわらず、ジャングルや無人島など未知の場所をさまよってのサバイバル脱出劇は、古今東西の映画のモチーフとして親しいものがあります。

(C)2012 W2TJ PRODUCTIONS, LLC  

今回ご紹介する『サバイバル・ソルジャー』もそうした1本ですが、日本人が見てもなかなか共感できるところも多いのではないかと思えるような(特に年配の方々)設定で迫るオモシロ映画なのです。

無人島でのスパルタ社員研修が
いつしかスリリングな脱出劇へ!

『サバイバル・ソルジャー』は、「心も体も鍛錬するのだ!」とでもいったスパルタ目的の社員研修で、ヘリに乗せられて無人島に降り立った会社員たちの受難劇です。

(昭和の終わり、バブル時代は日本でも“企業戦士”を育成するだのなんだのといった理由で、こういったスパルタ社員研修を遂行する会社がいっぱいありましたね。今振り返るとあれは一体何だったのかとアホらしく思えたりもしますが……)

日頃さえない内気な青年クリス(アダム・ブロディ)ら社員は、元海兵隊員ストーム(ジャン=クロード・ヴァン・ダム)の厳しい指導の下で体力強化トレーニングに励むことになります。

しかし、やがてクリスはジャングルの中でヘリのパイロットが死亡しているのを発見。

どうもジャングルの中にトラが潜んでいるようです。

しかしパイロットがいない以上、すぐに島から戻ることはできません。

「心配ご無用!」と言わんばかりに社員らを説得するストームですが、やがて彼の目の前にトラが現れ……。

さらに身勝手な同僚フィル(ロブ・ヒューベル)の自己チューな言動の数々によってますます一行は混乱。

そんな中、実は元ボーイスカウトだったクリスは、次第にかつての経験を活かしながら、片思いの相手リサ(メーガン・ブレーン)や仲良しの同僚らと一緒に島からの脱出を試みていくのですが……。

ジャン=クロード・ヴァン・ダムの
意外なキャラ設定!

本作は基本的にハリウッド映画らしいウエルメイドなコミカル・タッチでスリリングな危機また危機を描いていくものですが、今回ユニークなのはやはりジャン=クロード・ヴァン・ダムの扱いでしょう。

1990年代を代表するアクション・スターの彼がサバイバル・アクション映画に出ているわけですから、当然主役級の大活躍を見せくれるのかと思いきや……アレレのレ?

つまり、ここではヴァン・ダムのカリスマ・アクション・スター性を逆手に取った設定がなされており、それもまたユーモラスな風情につながっていくわけです(意外にハリウッドって、そういうことを時折やってくれますね。『エグゼクティブ・デシジョン』のスティーブン・セガールみたいに……)。

そうなると、本作の主役はやはりアダム・ブロディ扮する、ひ弱だけど、いざとなったらヒロイックな行動に出ることができるという、これまたエンタテインメントのお手本のような、決して偉ぶらないイケメン的な活躍ぶり。

しかも、憎々しい恋のライバル・フィルもいたりするなど(しかもこの男、後半はかなりヤバくなる!)、もう典型的というか、そういった弱者が強者を凌駕していきながら男として成長していく常道としての設定と、先に記した意外な設定を巧みにミックスさせながら本作は進んでいくのです。

全体的に突っ込みどころも満載で、くだらないギャグもいっぱいですが(意外にもおバカすぎて吹き出してしまいかねない?)、そもそもこういった作品に緻密なものを求めるほうが野暮というもので、要はいかに作品に乗って楽しむかがキモともいえるでしょう。

個人的には、やはり何といってもジャン=クロード・ヴァン・ダムです。

マッチョでいかついがゆえに、ここでの彼のキャラはどことなくユーモラスで可愛く見えるところもあります。

そういえば『ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル』のドウェイン・ジョンソンも、心の中はオタクな高校生という設定だったのが実に愛らしい限りだったのですが、それと同様の印象をヴァン・ダムにも抱いてしまうのです。

やはりギャップというものは常に人を萌えさせてくれるものですね!?

[2018年4月6日現在、配信中のサービス]
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(文:増當竜也)

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ライタープロフィール

増當竜也

増當竜也

増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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