「津山30人殺し事件」の事実をベースとした『八つ墓村』の恐ろしさ

金田一耕助シリーズで何度もリメイクされている作品が『八つ墓村』。名前だけでも聞いたことある方は多いのではないでしょうか。実はこの題材、実は元となった事件があるのです。つまり実話を元にした映画…。今回は1977年10月29日に公開された松竹配給の『八つ墓村』(野村芳太郎監督、渥美清主演版)の魅力をお伝えして参ります。

八つ墓村

(C) 1977 松竹株式会社

作品概要

今から四百年前。戦国時代、山あいの或る村に流れ着いた八人の落武者たち。しかし村人たちは彼ら尼子一族に懸けられた恩賞金に目がくらみ、皆殺しにする。その後、奇怪な出来事が続発。惨殺した八人の落武者に祟られている。

いつからか、この村は八つ墓村と呼ばれるようになった。そしていま、忌まわしい血を持つ寺田辰弥(萩原健一)が妖艶な未亡人、森美也子(小川真由美)と共にこの八つ墓村に帰ってきた。村人たちが恐れるなか、再び血にまみれた戦慄の事件が次々と村を襲う。怨念か。それとも計画的な殺人か。

御存知の名探偵、金田一耕助(渥美清)が登場。名推理が奇妙な事件を飄々と紐解いていくのだが…。横溝文学とエンターテイメントが見事に融合。オカルト色に彩られた、いまなお語り継がれる金田一耕助映画屈指の異色作!

現実の事件「津山事件」が与えた影響

この映画で有名な殺戮シーン、これは実際に起きた1938年(昭和13年)に実際に起きた津山事件をベースにしており、殺された人間の数、犯人の衣装が現実の事件の犯人に即した物となっております。

今ではネタになることが多いですが、現実の事件も同作も頭にハチマキを付け、そこに2本の懐中電灯を角のように結びつけて、猟銃に日本刀というスタイル。この冒頭の事件が布石となっており、過去の出来事、因縁のある血族の行く末、終盤の展開などが映画の見所になっています。

その描写は言葉を選ばずに言うならば「凄まじい」。

映画を見てトラウマとなった人が多いそうですが、映画としての評価も高くなっており、金田一作品としては歴代最高とも言えます。なお、映画自体も大ヒットを記録しました。

八つ墓村 萩原健一 渥美清 野村芳太郎

(C) 1977 松竹株式会社

ミステリーを模したホラー映画

原作はおどろおどろしさを交えつつもミステリーを強調した作品、映画の方は祟り、恨み、怨念などが映像として全面に押し出された恐怖が増したものに。殺人描写も苦手な人にはなかなか厳しいレベルかと思います。しかし映画的な魅力を引き立てる意義を持った場面でもあると言えます。

また他の方の金田一作品と違う点は、時代設定が昭和初期ではなく劇場公開当時(1977年)となっているところ。服装も着物ではなくスーツ姿にアレンジ。

ホラー要素を強調した作品にはなっていますが、ミステリー要素は健在。そこにホラー要素が追加されれたと言うのが正しいかと思います。

その両面で楽しめる作品ということです。

ちなみに、渥美清版のヒットを受け、その後に制作された石坂浩二版も豊川悦司版も殺人描写が陰惨でエグいものへと変化していきます。渥美清版の『八つ墓村』の影響の強さが分かります。

衝撃的で、映画的面白さを備え、当時大ヒットしたこの『八つ墓村』。涼しくなってきた秋の夜長に背筋を凍らせながら見てみるのも良いのではないでしょうか。

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『八つ墓村』 | 1977年 | 日本 | 151分 | (C)1977 松竹株式会社 | 監督:野村芳太郎 | 萩原健一/小川真由美/田中邦衛/夏八木勲/藤岡琢也/山崎努/渥美清 |

(文:波江智)

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    ライタープロフィール

    波江智

    1978年生まれ。映画ライター。シネマトゥデイややcinema Ala Carteなどに寄稿。ジョージ・ルーカスとガイ・リッチーを敬愛。ベストムービーは『ロックストック&トゥースモーキングバレルズ」。

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