『人狼ゲーム インフェルノ』人狼HOUSEクマ×綾部監督対談!

(C)2018「人狼ゲーム」製作委員会 

プレイヤーが互いの正体を探りあう「人狼ゲーム」を題材に描いたシリーズの第7作『人狼ゲーム インフェルノ』が2018年4月7日(土)より公開。この度人狼ゲーム専門店、人狼HOUSEクマさんと綾部真弥監督の対談が実現した。

また、本作を鑑賞した有村昆、月刊Were Wolfの編集長の松尾芳治、そしてこの対談にも登場しているクマからオピニオンコメントも到着している。

──人狼ゲームを対面でプレイできる「人狼HOUSE」を経営されているクマさんですが、プレイヤーとして、やはり人狼ゲームの映画版の存在は気になりますか?

クマ:そうですね。映画を観て人狼ゲームを始めましたと言って来る人もいますし。

監督:そうなんですか。嬉しいです。

──新作『人狼ゲーム インフェルノ』をご覧になったそうですが、感想は?

クマ:僕ね、2014年から渋谷で「人狼HOUSE」というお店をやっていて、大阪、名古屋、福岡と全国4店舗までに大きくなっていっています。最初に綾部監督のものではない初期の映画版を観たんですが、プレイヤーとしての僕らが楽しいと感じるゲームのおもしろさとは違ったんですね。楽しみのポイントというか。

監督:ほお。

クマ:たとえば、人狼が自分で人狼だと明かしたりとか、落とし物がきっかけで人狼が判明したりとか。僕らがやっているゲームとはちょっと違うなと思って敬遠してたんです。僕としては、駆け引きが観たかったんですけど、どちらかというとパニックホラーだったんですね。殺し合いがフィーチャーされていて。もちろんそれも映画の楽しみ方だとは思います。ただ人狼ゲームファンからすると、ちょっと肩透かしを食らった感じがして。それが、先日『インフェルノ』を拝見して、すごくよくできてるなと思ったんです。

監督:ありがとうございます。

クマ:何がよかったかというと、誰を処刑するのか、毎晩の会議がありますよね。あそこでなぜこの人に投票するのか、一度怪しまれたりしたものを、自分じゃなくてこの人が怪しいんだというのを、ちゃんとロジックというか説明でもっていくんです。その辺がすごくよくできていた。

──こうこうこうした理由でこの人が怪しいと。

クマ:そうです。まぁ、その説明自体が嘘だったりするわけですが。それこそが人狼ゲームの楽しさなんですね。そこがすごくおもしろかったので、昨日の夜から時間を作って、綾部監督の『クレイジーフォックス』『プリズン・ブレイク』『ラヴァーズ』までを観てきました。

監督:ありがとうございます! すみません。

クマ:そしたらどんどんレベルアップしていくわけですよ。何か、僕が一方的に話しちゃってますけど(笑)。

監督:大丈夫です、大丈夫です(笑)。

クマ:綾部監督の作品は、議論を大事にしているんですね。だからいい。『インフェルノ』は特にそうですが、主人公が、感情論は置いておいて、今は落ち着いて考えれば、この人が怪しいんだと導いていくのがすごくいいんです。僕は映画では、クローズド・サークルというか、限られたなかで展開していくものが好きなんです。三谷幸喜さんの作品とか、『ソウ』だとか。いわゆるミステリーとか探偵ものですね。驚きってやっぱり映画にとって楽しい要素じゃないですか。綾部監督はそこを作っている。

監督:嬉しいです。

クマ:『プリズン・ブレイク』なんかもそうですし、今回も、観客に対する驚きをすごく用意しているのが、僕は素晴らしいと思いました。

監督:感無量です!

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──映画『人狼ゲーム』は、シリーズとしてのファンも多いと思います。監督は作られる際に、実際のゲームのプレイヤーのことも意識しますか?

監督:僕は第3弾の『クレイジーフォックス』から、このシリーズを監督しました。1作、2作を観て、凄い作品で、なかなか作れない映画だなと感じていました。監督が代わってチームが変わるのであれば、同じテイストでやっても敵わないなと思ったんです。だから映像的にもお芝居の作り方にしても、作劇的にがらっと変えたいという意識はすごく持ってやりました。ゲーム部分に関しては、原作、脚本の川上亮さんが、実際の人狼ゲームをものすごく詳しい方なんです。

クマ:ボードゲームを作られたりしていますね。

監督:膨大な資料のなかから、こういう設定でやればおもしろいというのを、かなり綿密に組み立てて、特に実際の人狼ゲームファンの方を意識して作られているので、僕としては、そこにどうやったら映画的に大どんでん返しにできるか、人間ドラマとしての味付けができるかというところを大事にしています。

クマ:なるほど。

──映像的にも、主人公の表情の変化や、そうした表情の奥で繰り広げられているほかの人物たちの動きの映し方などもおもしろいです。

クマ:そうですね。

監督:ひとつの建物で大部分を撮らなきゃいけないというのは、やはり苦しいんですね。そこの工夫はいつも大変です。どうしたら観客を飽きさせないか。

クマ:全然、飽きないです。『インフェルノ』でいうと、主人公の紘美(武田玲奈)は、もともといい子なんだろうなと思ったんです。人を殺したくなんてないし、それは当然の感情だし。それが、どんどん悪のほうに落ちていく。その心情の変化にすごくドキドキしました。

──監督、特に今回の作品で、ゲームファンに響いたらうれしい、訴えられるんじゃないかと感じている部分はどこでしょうか。

監督:『インフェルノ』ですと、今回は最初に主人公が人狼だとわかるので、推理はしやすいんですよね。だからこそ、預言者や霊媒師を二人出したりしています。誰が人狼かというポイントではなくて、どういうロジックで戦いが推移していくのか。今回に限りませんが、流れを意識しました。

クマ:どの人を説得すればいいのかとか、そういうことを考えるのがおもしろいですよね。シリーズが進むにつれて、バタバタのなかで20時になって投票するのではなくて、ちゃんと議論の比重が増えてきている。『ラヴァーズ』なんてすごい長回しがありましたよね。

監督:8分とか10分とかありましたね。

クマ:あれはすごくおもしろい。映画としてものすごくおもしろいです。

──長回しによって、緊張がこちらにも伝わりますね。

監督:あの議論のシーンは、毎回、スタッフからも長すぎますって言われるんですけど、意図的に長くしています。このシリーズで一番の見せ場が議論のシーンなので。長くても持つように、観ていられるようにしている。各々がどういう感情を抱えてきて、いま判明している事実は何で、誰がカミングアウトしてきているか、そうした条件を見せれば長くても観ていられる。投票のシーンは、毎作4回くらいありますが、1回目の投票はいつも大変です。役者をたきつけて集中したり、怒ったり褒めたり。カットをたくさん割ったり、動きを具体的に指示してやったりしますが、2回目、3回目になってくると、各々に役としてのスイッチが入っているので、僕が何も言わなくても、その役として動けるんです。それこそ『ラヴァーズ』の長回しなんかは、何も言ってないです。

クマ:そうなんですか!

監督:監督としては、現場に入って座らせる。そこまでが勝負なんですよね。投票のシーンでは、基本的に私語は一切禁止です。異様な雰囲気のなかで、ボルテージが沸騰する直前のところで、よーい、スタートとかける。そしたら白熱して、アドリブでも成立してしまう。だから『ラヴァーズ』なんかではカットを一切割っていないんです。
クマ:すごくよかったです。

(C)2018「人狼ゲーム」製作委員会 

──映画を観ていると、実際のゲームもやりたくなりますが、「人狼HOUSE」のようなお店があるのはいいですね。

監督:ありがたいですよね。僕らも映画をやるときに、必ずその都度、本読みやリハーサルとは別に、俳優だけでなく、スタッフも僕も参加して人狼ゲームをやるんです。プロデュサーにゲームマスターになってもらって。

クマ:へぇ。

監督:本当におもしろいですよね。あまりやったことがない子もいるので、単純にゲームとして触れてもらったり、コミュニケーションを取る意味でもプラスになります。僕らからすると、もうちょっとしたたかな部分もあって、この子はこういう子なんだ、こういう表情をするんだといったことも分かります。

クマ:人狼ゲームって、映画の中でも言っていましたが、その人の本質が見えるんですよね。お互いに何を考えているか、想像しあって一緒に勝利に向かっていく。人狼って、疑い合うゲームですが、でも人狼ほどみんなで仲良くなれるゲームもないんです。もっともっと広がっていったらいいなと思っています。

監督:人となりがすごくわかりますね。

クマ:この人、誘導タイプなんだとかね。

監督:僕は正直なほうだから、あるとき、預言者が二人名乗り出ていて、こいつは怪しいなと思っていた人が、僕は監督を占って村人でしたって言ったんです。それを聞いた途端に、あ、こっちは本物だと。こいつは本物の預言者だって、僕、力説しちゃって。結果的に、人狼だったんですけどね。

クマ:あー、嘘ついてたんだ(笑)。

監督:なるほど、お前はそういうやつかと(笑)。あと、自分が村人だと言ってもらえると、こんなに嬉しいんだと発見しましたね。すごく嬉しくて、すぐに信じちゃった。

クマ:みんなが敵かもしれないところから始まって、この人は味方かもと思えると嬉しいですよね。信じたくなる。でも裏切られることもある。ゲームの初心者で嘘をつくのはなかなか難しいですが、でも人狼ゲームはうそつきが出ないと人狼は勝てないんですよね。

──監督は、映画人として人狼ゲームという題材のどんなところに魅力を感じていますか?

監督:大切にしているのは、人狼ゲームというゲーム性としての整合性とか、ハラハラドキドキする楽しさと、もうひとつはやはりドラマとしての突き抜けたおもしろさ。最終的にたどり着きたいのは、生き抜くパワーです。主人公が、一歩強くなって終わること。俳優たちには、誰かのために生きるなんてことは思うなと言ってるんです。まずは自分自身が一番なんだと。だからこそ、初めて本当に人のことを思い合うことができる。僕なんかの場合は結婚しているので、家族や子供が自分より大切になってきますが、映画の登場人物たちは10代だし。そのパワーを見せつけてほしいと。そうした感情のもと、生死をかけた設定することによって、否が応でも生きるために偽らなきゃいけなくなっていく。でもこれって、実生活の縮図のような気もしているんです。不条理さが。そういった社会の縮図として描けるんじゃないかというところも魅力に感じています。一番大切なことは正直であることだけではない。どんなことをしても、生き抜くというパワーが大事。『インフェルノ』でも紘美は悪に落ちていくという見方もあると思うし、強く美しくなっていくという見方もあると思うんです。紘美は、連続ドラマの序盤とでは全く顔つきが違うんですよ。

──ドラマでは怖さで過呼吸に陥ったりしている子でした。

監督:ちょっとポワンとした表情だったりした子が、映画の最後には本当に強く美しく見える。

クマ:なるほど。

監督:ただただ生きるということに特化して、いろんな犠牲を払うことによって、罪の意識を感じたり、大人になっていく。生きるという厳しさを知っていく。だから見方によっては、非常にきれいに見えるんです。

クマ:なるほど。そういう意味では、自立という言葉が浮かびますね。自分が生きるために考えていくことが、高校生という時期、大事な時間なのかなって。

監督:えぇ。

クマ:自分はどうしたらいいのか。映画の設定上、ここでは人を殺すことになりますが、考えることによって成長していって、最後の姿に向かっていくというのは、確かにそうですね。

──主人公たちが高校生というのも効いているということでしょうか。

クマ:おもしろいと思いますね。ちょうど多感な時期ですから。

監督:やっぱり10代の子たちだからこその、まず自分というものをしっかりさせて生きること、そこから本当の友達や恋人ができていくんだよというメッセージが込められる。だから僕は、ある種、青春ドラマとして撮っています。

クマ:なるほど、なるほど。

監督:ゲームとしてのおもしろさと、ひとつの青春ドラマとして。ひとりの女の子が困難に陥って、成長していくということを大切にしていますね。

クマ:あと、プレイヤーの観点からいうと、自分が生き残るためにはどうしたらいいのかという点は、実は僕らがやっているゲームだとそんなに関係なかったりするんです。僕らの場合はゲームで、人は死なないので(笑)、自分の陣営が勝てるのなら、自分が人狼だと言われて吊られてもいいんです。どちらかとコマのひとつというか。

──陣営が勝つなら、自分が死んでもかまわない。

クマ:そうです。そこは決定的な違いですね。映画のような殺し合いなら、自分が死んではダメですから。自分が死んで、陣営が勝ちましたよって言われてもね。それと同じで、勝ち負けとは別に、自分が守りたい人を占ったり、護衛したりする。そうしたところは、普段のゲームプレイヤーからすると、あ、こんな楽しみ方もあるんだなと感じられておもしろかったです。

監督:ゲームのロジック上ではおかしいけれど、感情としては分かる。

クマ:バランスとして難しいと思うんです。そこが監督のすごさだと思いますね。

監督:川上さんが綿密に組み立ててくれていますから。僕としては演出に手を加える感じです。

──クマさん、映画を観て、実際のゲームにも参考にできるよと感じた部分はありましたか?

クマ:ゲームで勝つために大切なのは、自分の言うことをいかに信じてもらえるか。誰が誰に投票するのか、誰が誰をどう思っているのかを客観視することが、人狼ゲームに勝つためには必要。それが、今回の映画ではすごく参考になると思います。あなたは私を信じている。だったら、この人が人狼だと信じてください。その人狼だと思われる人が投票したのはこの人といった具合に。自分が怪しまれたりすることもあって、そこからひっくり返すのは難しいことですが、そこも、確かにそうだなと説得できればひっくり返すことができる。そのノウハウ、劣勢からの逆転の仕方も、この映画にはつぎ込まれている気がしました。

──確かに途中でひっくり返すところが何か所もありますね。

クマ:そうなんです。それが感情論じゃないからまたいい。前提条件として、感情があったうえでの、論理的な説得。

監督:嬉しいですね。実際のゲームを知らない方や、出演者のファンの方とか、多くの方に観ていただきますが、その中でもゲームをプレイされている方からおもしろいと言ってもらえるのは本当に嬉しいです。映画を観て、ゲームをやりたくなってほしいですね。

クマ:そうですね。あともうひとつ、映画を観て学べること。今までロジックの話をしてきましたが、やっぱり実際のゲームでも感情も影響するんです。どんなにゲームとしての戦略がうまかったとしても、その人が勝てるかはわからない。チームプレーですし、どんなに正しいことを言っていたとしても、その言い方や伝え方によっては響かない。信じてもらえるための話し方というのが重要なんです。

──なるほど。

クマ:僕らは「ヘイト」と言ったりしますが、相手をいらだたせたり、強い口調で言う人は、嫌な人に見えてくるから吊られやすい。誰が人狼かわからないんだったら、人狼っぽくて、なおかつ嫌な人に投票しようってなりますからね。そういう点も、映画を観て学べると思います。とにかく、非日常の空間なのに、違和感なしに熱中して観てしまう作品だと思います。

──監督、最後に一言お願いします。

監督:僕は人狼シリーズを監督するのは5作目ですが、今回は連続ドラマから長いスパンで撮影してきていますし、集大成の思いでやりました。人狼ゲームや生きることに対する思いを詰め込んでいます。特に武田玲奈さんは大変な撮影だったと思いますが、彼女の最後の表情をやはり観てほしいですね。彼女がどういう風に生きて、どういう悲しみや苦しみを経て、それでどういう結末をたどるのか。現実世界でも、いきなり変なルールを与えられて、そのなかで生きていかなければいけないこともあると思いますが、そこでも声を上げられる人間でありたいと感じてもらえたらと思います。

オピニオンコメント

クマ(人狼専門店 人狼HOUSE)
 「コレです!コレ!痺れるほどの議論誘導!予想を裏切る展開!僕はコレを待っていたんです!全ての人狼ファンにオススメしたい人狼映画です!」

有村昆(映画コメンテーター)
 「通常、人狼の舞台などでは結果はラストに分かるのだが、あえて「刑事コロンボ」や「古畑任三郎」演出のように、人狼を先に見せているのが斬新!!人狼側の目線から描くことにより、善意と悪意の狭間で苦しむ人間模様をえぐり出している。」

松尾芳治(月刊WereWolf編集長)
 「過去作品よりさらに感情の表現が増した感じがして、開始10分で世界観に引き込まれました!」

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