第五章の注目ポイントは?羽原信義監督×神谷浩史『宇宙戦艦ヤマト2202「煉獄篇」』を語る!

本日5月25日(金)より公開中の『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第五章「煉獄篇」』。本作の監督・羽原信義と、キーマン役の神谷浩史の対談インタビューが到着した。

監督・羽原信義×神谷浩史インタビュー

©西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会

──まずは、神谷さんにお伺いします。第四章までキーマンを演じられてきて、改めて彼はどのような人物だと思われますか。

神谷:相変わらず何を考えているのか分からないガミラス人の男がヤマトに乗っている…それ以上のことは第四章までご覧になっているみなさんも感じ取ることができないと思いますし、その先を感じ取らせてはいけないなと僕は思っています。キーマンの人物像については羽原監督と福井(晴敏)さんから話を伺っていますが、それが活かされてくるのは第五章以降なので、第四章までだと言えるのは…ガミラス人の怪しい男ということくらいですね(笑)。

──羽原監督から見て、神谷さんが演じるキーマンはいかがですか?

羽原:シナリオを読んだ段階から僕の中でキーマンのセリフは神谷(浩史)さんの声で聞こえていたんですけど、収録の時には僕が想像していた以上のキーマンになっていたのでとても満足しています。

──過去のインタビューなどで羽原監督は「シナリオを読んだ時からキーマンは神谷さんの声しか浮かばない」と仰っていましたが、その話を聞いた神谷さんはどのようなお気持ちですか?

神谷:嬉しいです、役者冥利に尽きますね。仕事での繋がりは一期一会と言いますけど、(作品が終わってすぐに別れてしまうのは)嫌だなと常々思っているので(笑)、すごく好きなスタッフの方々と再び一緒に仕事ができる喜びはとても大きいです。『ブレイク ブレイド』(2010年~2011年に上映された劇場アニメ)のオーディションで僕の声と芝居や人となりを羽原監督に知っていただき、その作品で役をいただくこともできました。そういった今までの関係値を踏まえた上で、今回のキーマンという役を任せていただけたと感じているので、1作品だけ1クールだけのサイクルが短い付き合いとは違った情熱の注ぎ方ができると思っています。過去に演じたあの役があったからこの役に辿り着けているんだというありがたみは演じている役に情熱や愛情を傾ける理由の一つになるので、より強い覚悟を持って現場に参加することができますし、その信頼関係が作品を育むことに繋がればいいなと。アニメーションは特に「また同じキャスティングかよ…」って言われがちな世界ですけど、何度も組んでいるスタッフとキャストだからこそできる何かが絶対にあると僕は思います。今回の『ヤマト』ではそれを表現できたらいいなと思っています。

羽原:そう言っていただけると本当にありがたいですし、嬉しいですね。スケジュール的には相当厳しかったそうなんですけど、「神谷さんしかいないのでお願いします!」と無理なお願いをさせていただきまして。その結果はみなさんがご覧の通り、素晴らしいものになりました。

神谷:羽原監督が手掛ける『ヤマト』だからということで事務所もスケジュールを調整してくれた部分があるので、それもやっぱり信頼関係の表れですよね。

羽原:嬉しい~(笑)。

©西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会

──古代進役の小野大輔さんは過去のインタビューで「福井さんに熱心に質問している神谷さんの姿が印象的だった」と仰っていましたが、神谷さんはキーマンという役に対してどのような演技アプローチを行っていますか。

神谷:置かれた状況に対してこのキャラクターがどういう行動を取るのかというところがメインになってくると思うので、まずはキャラクターの基本情報を聞いてベースを作り上げていくために「どういうつもりなんだ!」と福井さんを直撃しました(笑)。色々教えていただいたことを自分の中にインプットした上で芝居に臨んでいます。基本的にキーマンはこういう人であるという軸はありながら、当然状況が変われば心境も変化するので反応はその時々に寄ると思います。

──羽原監督は神谷さんの演技に対して何か演出をつけられたりしていますか?

羽原:基本的にはしません。ただ、絵がまだ上がっていない中でアフレコを行っているので(笑)、「距離感はこのくらいですよ」といった情報はお伝えしています。神谷さんのアフレコを見ていてビックリすることはいくつかありますね。何もお伝えしていないのにラフで描かれた細かい表情や息遣いの変化も全部拾ってくださり、勘が鋭い方だなと。未完成の絵を見てもきちんとキャラクターを感じ取れるところは、大きな信頼を置いています。

神谷:たまに羽原監督が絵コンテを描かれている時があるんですけど、僕は羽原監督の絵がとても好きなのでその時はちょっとテンションが上がりますね(笑)。

──キーマンはヤマトクルーを客観的かつ冷静に観察する立場ですが、キーマンはヤマトをどのように見ていると思いますか。

神谷:どう見ているんでしょうね(笑)。ただ、ヤマトに乗っていた経験が、彼が今後取っていく行動の変化に繋がっていくような気はしますね。

──第四章までのアフレコで印象に残ったキーマンのセリフがあれば教えてください。

神谷:ヤマトに乗る時に古代に言い放った「乗せろ、いいから」ですね。こんな無茶苦茶な言葉はないですから(笑)。何かしらの野心を持っているガミラス人が地球人しか乗っていないヤマトに乗るにあたって、あまりにも説得力のないセリフだなとは思ったんですけど。ただ、そこにコイツを乗せなきゃいけない何かを感じさせる強さはありますよね。でも、みんな何であれで納得したんだろう?古代は分かりますけど、真田さんは「ちょっと待て!」とか言いそうですけどね(笑)。

羽原:あのセリフは“乗せろ”と“いいから”の間をどれくらいにするか編集の時にすごく悩みました。他で印象に残っているキーマンのセリフは、やはり「お仕置きだ」ですね。シナリオを読んだ段階から、ここのセリフはアップで抜きだなと思っていたんですけど、ヘルメットを被っていることをすっかり忘れていまして…。絵コンテの段階では確かヘルメットを描いていなかったんですけど、後から気付いてこれじゃ表情が見えないと焦り(笑)、ガラスを透けさせたりして何とか対処しました。

──印象に残っているシーンはありますか?

神谷:キーマンが戦闘機に乗って出撃していくのは意外でした。戦闘機は一人なので常に死と隣り合わせじゃないですか。そんな危険な環境に自ら身を置くというのは僕の中では衝撃で。死の危険があったとしても自らが単身で出撃した方が使命を達成できる確率が上がると考え、自分の腕を信じて出て行っている。相当な自信と使命への強い想いがあることが表れていますよね。結構出撃している印象があるんですけど、その度に「またコイツ行くんだ」と思いながら観ていましたね(笑)。

──共演するシーンが多い古代役の小野さんとのアフレコはいかがでしたか?

神谷:小野(大輔)さんは前作の『宇宙戦艦ヤマト2199』で26本分、ヤマトのセンターとして作品を引っ張ってきた実績があるので、何の不安もなく芝居をさせていただいています。ただ、古代自身はかなり不安定な人間なので(笑)、キーマンがそれとなく正しい方向に導こうとするシーンが何度か出てきます。キーマンは伝わりやすいように言葉を選んだりする人ではないので僕自身も突き放した言い方で演じているんですけど、果たして古代はその言葉の真意を汲み取ることができるんだろうかって不安になる時がたまにあります(笑)。

──第五章ではデスラー、そしてキーマンについての大きな謎が明かされます。衝撃の展開が続く第五章の台本を読まれて神谷さんはどのような感想をお持ちになりましたか。

神谷:キーマンが負っている使命がどの程度のものなのかは計り兼ねていたんですけど、彼が存在する理由はそこにあると考えて、その強い使命感から取るいくつかの行動には納得していました。ただ、第五章でデスラーと出会うことによってキーマンがあんな風に変化するのは驚きでした。第四章までずっとフラットにきていた彼がここにきて急にブレ始める、そのブレ幅がどこまでいってどこに収束していくのか。第五章から先の展開もすごく楽しみにしています。

──ブレるキーマンを演じていていかがでしたか?

神谷:楽しいですよ。感情のブレがない人って楽なように見えて実際はしんどいんですよね。今までは抱えている想いが本当はあったとしても表現できないですし、それっぽいことを意味あり気に言っているだけのキャラクターになってしまうのは嫌だなと思っていたので、やっと考えていることと表情と出ている音が一致してくる感覚がありました。第五章を観て、改めて良い役をいただいたなと思いました。第十五話のアフレコが終わった時にすごく楽しかったのを鮮明に覚えています。デスラーが出てきて山寺(宏一)さんと掛け合いで芝居をしたんですけど、本当にスキルがあって芝居が上手な人とやると自分が行けなかったところまで到達できるんですよね。僕でも思いも寄らないキーマンが画面の中にいて、キーマンを演じられて本当に良かったなと思いました。

羽原:第十五話のデスラーとキーマンのシーンは掛け合いが本当に凄くて、ブースにいるスタッフも息を飲んで見ていました。

──キーマンが変化していく第五章について羽原監督はいかがですか?

羽原:ドラマの作り方のセオリーとして立場が上の人は仰角、下の人は俯瞰で見せるというものがあります。例えば、ズォーダー大帝はあおりで、彼の言葉を聞いているゲーニッツたちは俯瞰で見せるといった形でカメラを選びます。基本キーマンは誰に対してもフラットな人なので、第四章まではカメラのアングルもみんなの目線と合わせることが多かったんですけど、第五章からは今までにないアングルのキーマンがいくつか出てくるようになります。彼の立場の変化を表したカットによって、新たなキーマン像が見えてくるんじゃないかなと思います。また、キーマンの心情がブレるシーンでは、絵で表現するにあたってもかなり気を遣いました。例えば、シナリオでは小走りに立ち去ると書かれていても、この場面ではキーマンだったら走らないなと思えば早歩きに変えるといった、微妙な描き方の違いで彼の心情を表現しています。カメラアングルも含め、今まで見たことのないキーマンが出てきますので、それがこの後の展開にどう繋がっていくのかを楽しみにしていただければと思います。

©西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会

──第五章で注目して欲しいポイントを教えてください。

神谷:第五章ではデスラーの過去が描かれますが、その微妙な年齢感を演じ分けていく山寺さんが本当に凄くて。スタジオ内で実際に聞いている時も凄いなと思っていたんですけど、マイクに乗ってスピーカーから出ている音が全然違うんですよ!実際の映像を拝見したら、スピーカーに乗った時の効果的な音の使い分けを繊細にしていらっしゃることがよりハッキリと分かって、やっぱり山寺さんの技術は半端ないなと思いました。

羽原:デスラーが少し若い頃のシーンを山寺さんが演じられるのはもちろん分かっていながら、僕らスタッフは台本と画面を見ているんですけど、「あれ、今誰が喋ったの?」と思わずスタジオ内を確認してしまうくらい自然に若い頃を演じられていました。本当に微妙な年齢差を完璧に演じ分けていらっしゃったので、「この人は声帯の太さが変えられるのかな?」と疑ってしまうほどでしたね(笑)。

神谷:これはブースの中に一緒にいたからこそよりその凄さを感じられた部分ではあるんですけど、あの体験は衝撃的でした。

羽原:それと、第五章はゲストが豪華ですよ。

神谷:そうですね、デスラー家のメンバーは半端ないですね(笑)。

羽原:キャスティングの要望はまず予算とかを考えずに出すんですけど、現場に行ったらみなさん本当にいらっしゃったので、『ヤマト』は凄いなと思いました(笑)。

神谷:エリートって感じがしますよね。

羽原:デスラー家の人たちは、万が一スピンオフがあっても全然いけますね(笑)。この方たちをキープしておけばどんな物語が展開しても絶対大丈夫です!

──最後に、第五章の上映を楽しみにしているファンへメッセージをお願いします。

神谷:羽原監督が仰っていたカメラアングルや細かい表現の違いといったこだわりは多分観ている側にとっては些細なことだと思うんですけど、それを実際に描いている人がいると考え出すと膨大な話になってきます。キーマンだって何人ものアニメーターによって描かれている訳で、総合芸術としてそれを一つの作品に集約させている羽原監督の苦労を思うと果てしない気持ちになってくるんですよね。今までは制作側のことを考えず割と自由にやってきたんですけど、最近はこの監督だったらきっとこういう絵にしてくれるはずだと思いながら演じることが多くなりました。羽原監督はそういう期待通りの絵を作ってくださる方なので、カットに含まれた意図を考えながらアニメーションを観ると物凄く深い楽しみ方ができると思いますし、そういうところから次の世代の羽原監督たちが生み出されていくんじゃないかなと思っていて(笑)。そういった目線で作品を観て頂けたら嬉しいです。

羽原:アフレコの段階でまだ絵が完成していないという部分を利用しているところも実はありまして。演じている方に感情が乗って想定よりも大きな声になった場合はそちらの方が正解なので、その場合は口の開き具合を少し大きくするなど、逆に絵の方を描き直したりしています。これは絵ができていないからこそできる芸当ですよね(笑)。アニメーション作品は監督だけのものでは決してなくて、みんなで作っている感覚なんですけど、『ヤマト』では特にそれが顕著です。画面は制作スタッフで作っていますけど、フィルムとしては役者さんや音響さんを含めたみんなで高めているという印象が凄く強いですね。そう言った部分も含めて、ぜひ最後まで楽しんで観ていただければと思います。

第六章のサブタイトルは「回生篇」に決定

©西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会

『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』の第六章のサブタイトルが「回生篇」となり、劇場上映および特別限定版Blu-rayの劇場先行販売、デジタルセル版配信日が2018年11月2日(金)に決まった。本日5月25日(金)より、「回生篇」の前売券とムビチケの発売がスタート。それぞれの特典内容は数量限定で異なり、森下直親による「銀河とヤマト」の描き下ろしB2ポスターも数量限定でプレゼントされる。

©西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会

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