『3月のライオン』はアクション映画!有村架純の下着と胸の谷間に注目!

3月のライオン ポスター


(C)2017 映画「3月のライオン」製作委員会



名作コミック、「ハチミツとクローバー」の作者である羽海野チカが、青年コミック誌「ヤングアニマル」(白泉社)で2007年から連載を開始、記念すべき連載10年目を迎えた今年、遂に実写映画化されたのが、現在公開中の映画『3月のライオン』だ。

監督は『るろうに剣心』シリーズや、昨年公開の『秘密 THE TOP SECRET』『ミュージアム』など、人気コミックの実写化に定評のある大友啓史監督。主演には、昨年の大ヒット作『君の名は。』の声優としても新境地を開いた神木隆之介を迎え、前後編の2部作として製作され2本が連続公開される本作。

今回は現在公開中の前編を、地元のTOHOシネマズ公開2日目の午後の回で鑑賞して来た。強力なアニメ作品と同時期に公開されたからか、公開2日目にも関わらず、残念ながら場内は3割程度の入り……。

すでにTVアニメ化もされている本作だが、果たして実写版の出来はどうだったのか?

予告編


ストーリー


幼い頃に交通事故で両親と妹を亡くし、父の友人である棋士・幸田(豊川悦司)に引き取られた桐山零(神木隆之介)。
深い孤独を抱えながらすがりつくように将棋を指し続けてきた零は、中学生でプロ棋士の道を歩みはじめる。しかしある事情から幸田家での居場所を失い、東京の下町でひとり寂しく暮らしていた。そんなある日、和菓子屋を営む川本家の三姉妹(倉科カナ・清原果耶・新津ちせ)と知り合った零は、彼女たちとの賑やかで温かい食卓に自分の居場所を見出していくのだがー。


豪華キャスト陣が渾身の役作りで臨んだ本作!実写化する価値がそこにある!


神木隆之介演じる主人公が、原作マンガのキャラそっくりなことでも話題の本作。

3月のライオン


(C)2017 映画「3月のライオン」製作委員会




今回の様に人気マンガを実写映画化する場合、どうしても生身の役者の方がマンガのキャラクターに外見を寄せてしまうため、かなりの違和感と現実感の無さを観客が感じてしまうことが多い。残念ながら、原作マンガのファンであればあるほど、実写化の際の違和感や不満を敏感に感じてしまう様だ。

だが、この作品は違っていた!

何よりこの作品にとって幸せなのは、全出演キャストが充分に役作りをされた上で、撮影に臨んでいることだ。
たとえ短い出演時間やセリフ一言だけの出演であっても、皆それぞれに自分の役に命を吹き込む努力をされていることが、スクリーンを通して観客に伝わって来る。

短い出演ながら、『シン・ゴジラ』での演技を思わせる様なキャラの高橋一生。
3月のライオン 林田高志(高橋一生)


(C)2017 映画「3月のライオン」製作委員会




その人相までも普段と変貌させて登場する佐々木蔵之介。
3月のライオン 島田開(佐々木蔵之介)


(C)2017 映画「3月のライオン」製作委員会



後述するが自分の頭をスキンヘッドにして登場する奥野瑛太などなど。
3月のライオン 山崎順慶(奥野瑛太)


(C)2017 映画「3月のライオン」製作委員会



本作に登場するキャスト陣はどれも素晴らしい演技を見せてくれる。

特に、特殊メイクで原作キャラ通りの外見に変貌した、二階堂役の染谷将太の予想外?の好演には驚かされた。
3月のライオン 二海堂晴信(染谷将太)


(C)2017 映画「3月のライオン」製作委員会



ともすれば、このキャラ一人だけが突出して映画全体の雰囲気を壊しかねないのだが、終盤に用意された彼の秘密と過去にまつわる見せ場により、このキャラに対する観客の印象が180度逆転するので、ここは是非劇場で!

更に感心したのが、誰か一人の演技が突出し過ぎてバランスを崩す事無く、見事に各シーンや映画全体での調和を保っている点!

これは正に、『るろうに剣心』で大勢のキャストを扱い、見事な交通整理振りを見せた大友監督の演出力によるところが大きいだろう。どうしても軽く見られがちなコミックの実写化作品だが、人気コミックの知名度を借りた安易な実写化作品群とは違う、真摯な態度が本作には確かに存在する。本作の様な「理想的な形でのコミックの実写化作品」が、今後も増えて行くことを願って止まない。

将棋の映画=地味・退屈じゃない、実は立派なアクション映画!


「だって将棋の映画でしょ、座って考えてるだけじゃ退屈しちゃうよ」。

周りの映画ファンからは、そんな声も聞こえてくる本作だが……。いや、今回そんな心配は一切無用!

本来、お互いに座ったまま無言で展開するはずの対局シーンにも、その勝負に臨む覚悟と勝たなければならない明確な理由、そして登場人物各人の弱点・欠点の設定が成されており、こうした様々な工夫のお蔭で昨年の『ちはやふる』並みの躍動感が味わえるからだ。

そう、さすが『るろうに剣心』の大友監督だけに、実は本作はアクション映画としても見事に成立しているのだ!

自身が背負った物の大きさに潰されそうになりながら、それでも闘い続ける彼らの姿は、まさに『ロッキー』であり、あるシーンでのモノローグの使い方はまるで『燃えよドラゴン』!新人王戦決勝でのある展開では、何故か『スパルタンX』でのジャッキーVSユキーデ戦を思い出してしまった。

特に新人戦でのラスボスとして、観客に強烈な印象を残す奥野瑛太の素晴らしさ!毎回作品毎に、凝った役作りで全く違うキャラに成りきる彼だが、本作では下手に演じると単なる嫌な悪役になりかねない敵キャラに、一言のセリフも発することなく微妙な表情の変化だけで、その奥底に秘めた人間性と勝負に賭ける真剣な姿勢を表現する。

彼が背負った「勝ち続ける理由」。それに観客が気が付いた瞬間、当初は単純な悪役と思われていたキャラが、実は……という展開になり、一気に映画自体にも深みを増すことになるのだ。

昨年も数々の作品で印象に残る脇役を演じてきた彼だが、今年は『キセキ』でのバンドマンなど、セリフも多く重要な役を演じることが多くなってきた。個人的に今一番注目している若手演技派俳優の一人として、是非読者の皆さんにも彼の名前を覚えておいて頂ければと思う。

3月のライオン 桐山零 神木隆之介


(C)2017 映画「3月のライオン」製作委員会



最後に


前述した通り、実は映画『ロッキー』並みに、激しい戦いや師弟愛・友情といった「男の世界」が展開する本作において、鑑賞後に一番印象に残ったのは、実は有村架純の存在だった!

3月のライオン 幸田香子(有村架純)


(C)2017 映画「3月のライオン」製作委員会



いつもと違い、本作では嫌な性格の姉をリアルに演じていて、その態度の裏に隠された弟と父への複雑な感情までも、見事に表現している彼女。

ところが、何故かいきなり弟の眼の前で着替えて下着姿になったり、胸の谷間を強調した下着姿でシリアスな会話を繰り広げるなど、観客へのサービス?としても満点のシーンが多いので、将棋に興味の無い男性の方も期待して大丈夫!

普段殆どお目にかかる機会の無い、これらのお宝シーンを見るだけでも、劇場に駆けつける価値は充分過ぎるほどにある!そう断言しよう。

3月のライオン 有村架純


(C)2017 映画「3月のライオン」製作委員会




また、エンドクレジットに流れる「ぼくのりりっくのぼうよみ」による主題歌も、主人公の心情をそのまま表現した様なその「歌詞」により、鑑賞後の余韻を倍増する効果を上げているので、ここも是非お楽しみに。

なお、エンドクレジット後には後編の予告編も流れるので、最後まで絶対に席を立たないように要注意!

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(文:滝口アキラ)

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