バレンタインに、誰とでも、一人でも、この素晴らしい映画を見てほしい。『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』

「なんでもいいから、ほっこりする映画教えてよ」とか、「明日からちょっと元気に生きられる映画、ない?」と聞かれたとき、僕がいつも全力でオススメしている映画があります。

その映画は、制作した監督自身も「これまででもっともノーマルな作品が撮れた」と述べるほど、劇的な展開も、派手なアクションも、壮大なエンディングもありません。ただただまっすぐに、ある青年の恋愛・家族愛を描いた作品です。

それでも、とにかく人に薦めたい。なんだか忙しなく、ただただ慌ただしく生きてしまっている人にこそ、そっとブルーレイやDVDを手渡して、「いいから、見てみろって。絶対ハマるから」と言いたくなる、そんな作品『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』を全力で紹介させてください。

アバウト・タイム~愛おしい時間について~

(C)Universal Pictures

とにかくヤバいくらい最高! ってことを伝えたい

まずはパッションで今作のすばらしさを伝えたいのですが、とにかく、もう、ヒロインのレイチェル・マクアダムスがかわいすぎて、「いい加減にしろ!」 って怒りたくなるレベル。僕は基本的に宮﨑あおいみたいな素朴な日本人顔が好きなので、外国人の女優さんを好きになったことがあまりないのですが、レイチェル・マクアダムスだけはもう別格(2位はキーラ・ナイトレイ)です。「邦画じゃないとちょっと……」と思っている方も、ぜひこの作品をきっかけに洋画を好きになってもらえればと思います。

ちなみに「今作オススメのレイチェル・マクアダムス2選」は、「初めて主人公と出会ったときに段差からちょっとコケそうになって少し恥ずかしそうな顔をするときのレイチェル・マクアダムス」と、「『娼婦』がドレスコードになっているパーティに参加して、テラスでつまらなそうにしてるときのレイチェル・マクアダムス」です。この2つはどちらも満点過ぎるので、ここだけ400回ずつ見てもOK。

ほかにも映画の魅力がもりもりだくさんなので、それらをこれから熱意を持って書いていくつもりですが、とにかく①レイチェル・マクアダムスがかわいい ということと、②タイムトラベルっていう超特殊な設定が出てくるのに、それが脇役になってるのがスゴい ということと、③セリフの言い回しがとにかくオシャレ過ぎて最高 というところと、④こんなに毎日を大事に生きようって思える映画ほかにあったっけ? と思える点に、着目してもらえればと思います。

それでは参りましょう。というか、本当はこの時点でもうブルーレイを買いに行ってほしいと思ってるんですけど、まだ見る気になっていないということですよね? 承知しました。この後も読み進めてください。絶対にレンタルビデオショップにあなたの足を向かわせてみせます。

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(C)Universal Pictures

シンプルなストーリーに埋め込まれた、たったひとつのアクセントが光る

「もしもタイムマシンがあったら、いつの時代に戻りたい?」

という話を、誰でも一度はしたことがあると思います。

本作は、ストーリーこそ一人の青年の恋愛・結婚・家族愛を描いたシンプルな作品なのですが、一つだけアクセントとなる設定が加わっています。それが主人公ティム(ドーナル・グリーソン)に与えられた特殊能力・タイムトラベル。

21歳になった年、父親(ビル・ナイ)に呼び出されたティムは、自分の家系の男性のみ、タイムトラベルが使えることを知らされます。

今作のタイムトラベルは特別なグラフィックやワイヤーアクションが入るわけでもなく、「暗くて狭いところで、手をギュッと握って、目を強くつむるだけ」というとってもシンプルなつくり。ティムはたったこれだけの動きで戻りたい過去まで一瞬で行けて、現在まで戻ってこられるようになります。

まるで夢のような話に聞こえますが(まあ映画なので夢みたいなものですが)、ティムの父親はこの能力に対して「そんなにドラマチックなものじゃない」と極めて冷静に言います。本編をご覧いただければわかることなのですが、タイムトラベルは(少なくとも今作では)世界を変える力を持っているわけではないし、人生を劇的に変える能力ではないのです。

これまでいくつもタイムトラベルをテーマにした作品はあったと思いますが、本作の魅力は、このようにタイムトラベルがとにかく地味で、決してメインテーマにならないところ。SFが好きじゃない人でも、これだったら大丈夫。この作品がレンタルビデオショップのSFコーナーに置いてあったら正直引くレベルで、SFっぽさは皆無です。それほど、「タイムトラベル」という奇抜な設定を見事に脇役にしているのが、今作の魅力なのですから。

きっとこの映画を見たあなたは「いや今こそタイムトラベルしろよ!」「いやそこはタイムトラベルしちゃダメじゃない!?」「え、このタイミングでタイムトラベルしたらどうなるの?」と、いちいちハラハラすることになるのですが、そのハラハラ、きっと最後にはどうでもよくなってると思いますよ。

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(C)Universal Pictures

魅力的な会話と何気ない日常に惚れる

ティムがタイムトラベル能力を使う目的は「ガールフレンドを作るため」なんですが、基本的に頼りなくておっちょこちょいなティムも、口説くときはとにかくロマンチックかつストレートに攻めるんです。そこがこの映画のグッとくるポイントのひとつ。

そのまっすぐな姿勢に共感を持てますし、ヒロインのメアリー(レイチェル・マクアダムス)との会話のテンポや、ウィットに富んだジョークを聞いていると、思わずニヤついてくるはずです。

また、描かれている日常も、「(あくまでも個人的に)ああ! そういうの! そういうのやりたい!」と、思わず声に出てしまうほどド真ん中を着いてくるものばかり。

まずティムが住んでいる家は、イギリスの南西端にあるコーンウォールという場所。豊かな自然とすぐ近くが海というロケーションに恵まれた大きな館に暮らすティムとその家族は、スローライフを満喫しています。

毎日、海辺でサンドウィッチを食べ、石投げをし、週末は家の壁にプロジェクターを映して、映画の上映会。「のどか」と言う言葉がこんなにもふさわしいティムとその家族の暮らしぶりを見ると、「いつかこんな暮らしができれば……」と思うはずです。というか、今すぐ引っ越したい。魅力的すぎる。

そう感じるのは、この作品の美術担当をしていたスタッフが、俳優陣にこの家を気に入ってもらうために、「好きなものを置いていいよ」と言ったことにあるそうです。それぞれが自分好みのものを置き、まるで自分の家のような感覚になることで、あれほどリラックスされた画を撮ることができたのでしょう。序盤から憧れしか抱かせません。

しかしティムの就職を機に、舞台はコーンウォールからロンドンへ。雰囲気も都会的なものにガラリと代わります。そこでは、ヒロインのメアリーとティムの日常に心動かされるはずです。

とくにザ・ウォーターボーイズの『ハウ・ロング・ウィル・アイ・ラヴ・ユー』をジョン・ボーデンがカバーしたBGMに合わせて、最寄り駅と思われる地下鉄内を二人が通勤したりパーティに出かけたりするシーンは、台詞こそないものの、順調に2人が恋人として成長していく様子が描かれていて、心温まります。

個人的には「レイチェル・マクアダムスと通勤」というシチュエーションひとつだけで萌えきることができるのですが、レイチェル・マクアダムスに僕ほどハマっていない方でも、このシーンは絶対好きになるハズなので、鑑賞される際にはぜひ注目してもらえればと思います。必ずほっこりします。今すぐ恋人に会いたくなります。手をつなぎたくなります。倦怠期なら初々しさを取り戻せます。

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(C)Universal Pictures

とにかく日常を大切にしたくなる

見る人によって「好きだ」と感じるシーンはそれぞれだと思いますが、僕がおすすめしたいのは、二人が運命に翻弄されながらも出会い、付き合って、結婚するまでの前半。萌えどころばかりで本当にたまりません。

しかし、本作のメインディッシュはあくまでも後半にあります。結婚し、子どもを持ち、一人の人間として成長していくティムとメアリーの姿と、二人を囲む家族の愛情に、きっと心が打たれるはずです。

そして、どれだけ時を戻しても変わらない事実があることに直面することで、きっとあなたは人生や命の儚さと、一日一日の大切さに気付くことになるはずです。

どうしても後半部分はネタバレしたくないので今この場で言えないのがツラいのですが、今作のタイムトラベルが、ほかの映画のように万能で理想的なものではない点が、いまこの一瞬の大切さを教えてくれるようにできています。

そんな魅力をどうにかネタバレせずに伝えたいのですが、映画の知識も何もない僕からは難しいので、最後に監督リチャード・カーティスがこの映画を作る際に言った言葉を借りて、締めたいと思います。

「タイムトラベルができたら、今この一瞬に戻りたいと思った」

一日一日を大切に生きようと思える名作、『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』。バレンタインを恋人と過ごす方、子どもや家族と過ごす方、一人でモヤモヤとしている方、すべての人に届けばいいなと思える作品です。どうぞ、ご鑑賞ください。

※別にバレンタインは、全く本編に出てこないんですけどね!

(文:カツセマサヒコ)

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