『愛を積む人』公開日に関連して、アラサー筆者が生きることを考えさせられた作品4選

いよいよ本日より、『愛を積む人』が公開となります。

愛を積むひと

この作品は、都会から北海道の美瑛に移り住んだ夫婦の愛を描いた作品です。
仕事がなくなり、手持ち無沙汰になった夫の篤史(佐藤浩市)に、妻・良子(樋口可南子)は長年の憧れだった家を囲む石塀作りを頼みますが、石塀の完成を待たずして良子は以前から患っていた心臓病で亡くなってしまいます。しかし、失意の中、良子からの手紙が届き、篤史はまた石塀作りを再開し、ふたりを取りまいていた人々との人生にも関わっていきます。そして、長年疎遠になっていた娘・聡子(北川景子)との再会も果たします。

大切な人を失い、残された人間たちがどのように生きていくのか、また、大切な人に何を残していくのか、考えさせられる作品だと思います。

そこで、アラサーの筆者が、生きるということについて考えさせられた作品を4作ご紹介したいと思います。

『バトルロワイアルⅡ鎮魂歌』(2003年/東映)

クラスメイト同士の殺し合いを描き、社会問題にまで発展した『バトルロワイアル』の続編で、深作欣二監督が9・11テロをきっかけにメガホンを取り、遺作となった作品です(撮影中に欣二監督は亡くなり、息子の健太監督が完成させた作品です)。

前作で生き残った七原秋也(藤原竜也)はこの国の大人たちと戦う決意をし、テロリストになり、宣戦布告をします。しかし政府は、中学生に殺し合いをさせていたBR法をテロリストと戦わせる法に改正し、今作の主人公・青井拓馬(忍也修吾)を始めとする、落ちこぼれを集めたクラスを七原たちが立てこもる孤島へと送り込みます。戦いの中で描かれる、問題や闇を抱える生徒たちの内面やそれを踏まえてのクラスメイトとのやり取りにはグッとくるものがありますし、そのクラスには、かつて七原が殺した担任・キタノの娘であるシオリ(前田愛)も参加を志願して転入してきており、回想を交えながら描かれる親子間の関係や竹内力演じる教師と生徒の姿など、いくつものドラマが見所です。

劇中で、七原が拓馬に向かって「正しく生きることは死ぬことよりも難しい」と言うシーンがあります。“正しく生きる”とはどういうことなのか、簡単なようで答えのない難しい問いだと思いますが、生きていく上で目を背けてはいけないことのように感じました。

賛否両論ある作品ではありますが、単なるスプラッタ系の映画だと思って敬遠している方にはぜひ観ていただきたい作品です。

『東京難民』(2014年/ファントム・フィルム)

『半落ち』『ツレがウツになりまして』などを手がけた佐々部清監督の作品です。
親からの仕送りで一人暮らしをしながら大学生活を送っていた時枝修(中村蒼)は、学費未納のため除籍になっていることを告げられます。実家に帰るも親の行方は分からず、東京に戻るものの家賃の滞納で家を追い出され、ネットカフェ難民に。様々なアルバイトを転々とし、ホストクラブや建設会社での住み込み労働も経験するも、最終的にはホームレスになってしまいます。人生を甘く見ているような修のうかつな行動に、観ていてハラハラしてしまいますが、大学進学で上京してきた筆者にとっても他人事とは思えませんでした。

絶望的な展開に思えますが、面倒をみてくれたホームレスの鈴木(井上順)やホスト時代の客であり、心を通わせていた茜(大塚千弘)との再会などを通して、修はもう一度生きる希望を取り戻します。

普通に生活していると縁のない世界のように思えますが、そんな油断を打ち消すようなリアリティで描かれており、10代~20代前半の方におすすめしたい映画です。

『捨てがたき人々』(2014年/アークエンタテイメント)

“死”を描くことで”生”を描く作品は多々ありますが、こちらは“性”で“生”を表現している作品です。
原作は『アシュラ』『銭ゲバ』など話題作を執筆しているジョージ秋山さんで、俳優としても活躍する榊英雄さんが監督を努めています。

仕事を辞め、故郷に戻った無気力な男・狸穴勇介(大森南朋)は行きつけの弁当店で働く岡部京子(三輪ひとみ)と無理矢理関係を持ち、なし崩しに同棲、子供が出来たことにより、家族になります。
そんなふたりとそれを取り巻く島の人々を描いた作品ですが、男を連れ込む京子の母や社内不倫、勇介と肉体関係を持ってしまう叔母など、欲に逆らえない人間の姿がまざまざと映し出されており、人間の本質について考えさせられます。

監督の故郷である五島列島が舞台になっており、ノスタルジーを感じさせる街の姿や青い海などの美しい景色も見所ながら、登場人物たちの生き方を対比的に映しているようで、なんとも言えない気分になります。

『寝ずの番』(2006年/角川ヘラルド映画)

暗めの作品が続いてしまったので、最後はコメディ映画で締めたいと思います。
津川雅彦さんがマキノ雅彦名義で監督をしている作品で、ある落語家一門の通夜の席(寝ずの番)が舞台となっています。

上方落語会の重鎮・笑満亭橋鶴(長門裕之)の死から立て続けに、その弟子や女将さんが亡くなってしまい、その度に寝ずの番が行われます。
それぞれの寝ずの番で、弟子たちやゆかりの人物が酒を酌み交わしながら、故人の思い出を語りだすのですが、下世話な話ばかり飛び出します。その中で感情的になったり、涙を流したりとにぎやかに故人との最後の夜が過ぎていきます。
葬式に来る人の人数で、その人の人徳が分かるというようなことも言われますが、こうして最後の夜に楽しい思い出を語り合ってもらえるような、濃い人生を送りたいと思えるような作品です。

こちらは“死”と“性”が面白おかしく描かれており、気負いせずにみられるので、重いストーリーが苦手な方でも楽しんでいただけると思います。

『愛を積む人』とはテイストの違う映画を4作紹介しましたが、こちらの作品にも興味を持ってもらえたらうれしいです。

また、『愛を積む人』は人間ドラマに加え、1年をかけて撮影されたという美瑛の美しい四季も見所となっている作品です。

こちらもお見逃しなく!

(文: 大谷和美)

(C)映画「愛を積むひと」製作委員会

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