『アリータ:バトル・エンジェル』が驚愕だ!最高だ!ハリウッド快作ラッシュだ!

(C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation 

以前『アクアマン』の項でも書かせたいただいたことではありますが、この春のハリウッド・ファンタジック系超大作群はどれも傑作ぞろいで、映画ファンはお小遣いのやりくりに苦労すること必至になりそうです。

そして、その大本命となるのが、ジェームズ・キャメロン製作、ロバート・ロドリゲス監督の『アリータ:バトル・エンジェル』であることに異を唱える人は少ないことでしょう。

日本の木城ゆきとの漫画『銃夢(ガンム)』を原作とするこの作品……

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街363》

『アバター』をはじめとするキャメロン映画ならではの、これまでに見たことのない映像体験と、ロドリゲス映画ならではのパワフルな演出に唸らされること間違いなし!

驚異の映像世界をお届けする
『アリータ:バトル・エンジェル』

『アリータ:バトル・エンジェル』の舞台になるのは、上流階級が住む空中都市ザレムと、下層階級が住む荒廃した地上の屑鉄都市アイアンシティに分かれた未来社会。

ある日、アイアンシティに住むサイバー医師イド(クリストフ・ヴァルツ)は、がれきの中から生体反応を示すサイボーグを拾い上げ、亡くなった愛娘の身体を与えて再生させ、アリータ(ローサ・サラザール)と名付けます。

イドのもとで大切に育てられていくアリータですが、あるきっかけで自分が300年前の大戦中に作られた最強兵器であったことに気づかされます。

しかし、彼女自身の記憶は未だに失われたままです。

やがて彼女は少しずつ自分の歩むべき道を見出しつつ、恋に落ち、そして分断された二つの世界に対峙していくことになるのです……。

本作は原作漫画の大ファンであったギレルモ・デル・トロが四半世紀前にジェームズ・キャメロンに紹介し、
キャメロンは当時13歳だった愛娘をヒロインに重ね合わせながら脚本を執筆。

本来、自分が監督するつもりでしたが、『アバター2』の製作とぶつかったことで、キャメロンはロバート・ロドリゲスに監督を依頼。

かくして今回は未知の映像世界を追求し続けるキャメロンと、スタイリッシュかつパワフルなロドリゲス、二人のセンスと個性が見事に融合した逸品に仕上がっているのでした。

ユニークなのはアリータ役のローサ・サラゾールの目を日本の漫画風に大きくCG加工していることで、これによって彼女が“作り物”であることと、それゆえに愛らしい存在足り得ていることが巧みに両立しているのです。

そして彼女が織りなす行動の数々、その魅力はもう直にその目で見てくださいとしか言いようのないセンス・オブ・ワンダーな描写ばかり!

『アクアマン』もそうでしたが、特にこの作品、鑑賞可能な環境にある方でしたら多少身を削ってでもアイマックス3Dでご覧になることを強くお勧めします。
(ってか、この春の大作群、実はみんなゴージャスに接していただきたいものばかりなのですけど)。

かつて『2001年宇宙の旅』を今はなきテアトル東京の70ミリ・シネラマで見たことを生涯の誇りにしている人がいるように、『アリータ』も最上級の環境で映写環境で見れば見るほど、映画ファンとしてのカタルシスを得られることでしょう。

え、日本の漫画をあちらで映画化したものだと、あの『ドラゴンボール』の惨劇を思い出すって?

それは100パーセントありません。

だってキャメロンにロドリゲス(にデルトロも加えていいでしょう)、映画に精通した超オタクの面々が取り組んだ作品です。もちろん原作からの改変も多々ありますが、基本的に原作をリスペクトした上で、いかに世界に通用する映画に仕上げるかに腐心しまくっていますから、まったく心配はいりません!

(C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation 

まだまだ続く
春のハリウッド大作群3本!

ではせっかくですので、『アリータ』の後に公開される大作群もここで一挙に紹介しておきましょう。

『移動都市モータル・エンジン』(3月1日公開)

(C)Universal Pictures

おそらくはこの春の大穴映画。ピーター・ジャクソンが製作・脚本を担当しているものの、『アクアマン』や『アリータ』などに比べると正直知名度は低いかと思われますが、面白さにかけては勝るとも劣らないものがあります。

原作はフィリップ・リーヴの小説『移動都市』で、その名のごとく都市そのものが移動しながら狩り合う未来の荒廃世界を背景に、巨大移動都市ロンドンに潜入した少女ヘスター(ヘラ・ヒルマー)の復讐劇が壮大なスケールで描かれていきます。

監督はピーター・ジャクソンの片腕として長年ストーリーボード・アーティストを努めてきたクリスチャン・リヴァース。その濃密な映像世界はやはり可能な限りの大画面で接しておくべきでしょう。

『未来少年コナン』あたりの宮崎駿監督作品がお好きな人には、特におすすめです。

『スパイダーマン:スパイダーバース』(3月8日公開)

ご存知スパイダーマンのアニメーション映画版ですが、主人公はピーター・パーカーではなく、彼の後を継ぐ13歳の少年マイルス・モラレスです。

しかもここでは時空の歪みによって、さまざまなパラレル・ワールドからさまざまなスパイダーマンが集結!(その中には中年太りした別世界のピーター・パーカーも!)

何よりも本作はこの奇想天外な設定を基にした脚本もユニークなら、それを描出する映像技法が秀逸で、なぜこれを実写ではなくアニメーションで映画化したかが実に良く理解できて、すこぶる納得の優れものとなっています。

本年度のアカデミー賞では長編アニメーション映画賞候補と、スパイダーマン映画としては技術部門以外の“作品”として初のノミネート。

この記事がアップされてまもなく受賞結果が出る予定ですが、個人的にはこれが受賞することを強く願っています(『未来のミライ』にも頑張ってほしいとは思いつつ……)。

『バンブルビー』(3月22日公開)

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こちらは『トランスフォーマー』シリーズのはじまりの物語ともいえる第0章。即ち前日譚で、要はシリーズ屈指の人気者バンブルビーがいかにして地球に到達し、この惑星を護るために戦うようになるかを描いたものです。

もっとも本作の本質は、いわばトランスフォーマー版『E.T.』とでも言いたくなるような、バンブルビーと少女の麗しい交流にあります。

舞台は1987年ノアメリカ、父を亡くした哀しみから未だに立ち直れない少女チャーリーは、18歳の誕生日に廃車寸前の黄色い車を見つけ、自宅に乗って帰ったところ、その車が突如トランスフォームしてロボット化!

そう、その車こそ、彼女によってバンブルビーと名付けられる地球外生命体だったのです!

敵との戦いで記憶を失い、のどを破損してしゃべれないバンブルビーは、カーステレオから聞こえてくる歌を用いて感情表現していきますが、そこで使われるさまざまな名曲や当時のファッションなど、80年代を知る世代にも知らない世代にも魅力的に映えわたっていて、なおさら『E.T.』テイストもすこぶる効果的に伝わってくるのでした。

監督は『コララインとボタンの魔女』(09)『パラノーマン プライス・ホローの謎』(12)などのアニメーターで、『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』(16)の監督として日本でも支持されているトラヴィス・ナイト。初の実写映画となるこの大作でも遊び心を失うことなく、ダイナミックかつ繊細な感動を伴う画作りに励んでいます。

正直、日ごろはへそ曲がりでハリウッド大作なにするものぞとひねくれてばかりの私も、今回の大作群の面白さには素直にひれ伏するほかなく、やはりハリウッドが本気を出せばすごいことになるという当然の事実に慄然とまでさせられてしまいました。

先にも記しましたが、アイマックスや3Dなど、せっかくですから可能な限り最上級の映写環境で体験されることを強くお勧めいたします!

(文:増當竜也)

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    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画レビュー・コーナー『戯画日誌』を連載中。近著に『映画よ憤怒の河を渉れ 映画監督佐藤純彌』(DU BOOKS刊)がある。

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