「僕でなければ作れなかった作品」―映画『木屋町DARUMA』榊英雄監督インタビュー

10月3日(土)公開の映画『木屋町DARUMA』は、元ヤクザで四肢を失った男・勝浦茂雄が借金取りとして生きる姿を描き、その過激な描写により発禁となった小説を原作に映像化された作品。映画化に至った経緯や現場でのお話、今後の展望について榊英雄監督にお話を伺った。
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男が憧れる生き様を描いた作品

――原作を読んだ監督から映画化を提案されたと伺っていますが、出版されていない作品をこういったかたちで映画化されるというのは珍しいことですよね?

そうですね。原作権を押さえて、制作会社が予算を集めて、「さぁ、やりましょう」という通常の流れではないので、成立の仕方からいびつですよね。
映像的な作品だと思ったし、勝浦を中心とした人間模様が魅力的なので「本が出せないなら映画にすればいいじゃん!」と原作者の丸野裕行さんを僕が焚き付けました(笑)。もちろん原作を脚本にするうえで全部を映画化はできないことをしっかり説明して納得してもらって、「逆にこれを丸野さんが脚本化してみたら」とお願いしたんです。脚本においては素人という怖さはあるけれども、丸野さんが脚本化することで自分で枝葉を切れるという強みがあるので。あとは自分なりのアドバイスとして妥協ではなく調和として、予算の中でできることやできないこと、描写として弱くなるかもしれないシーンを説明したりしました。ただし、題名と話の根幹は変えない、取り立てのオープニングは絶対残す、ということは決めてましたね。
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――特にどういったところに惹かれたのでしょうか。

勝浦に四肢がないってことはどうでもよくて、男がいかにして生きて死ぬかという生き様は男として憧れるところだと思います。「転んだだけや、まだまだや」っていう勝浦のセリフからも感じられる、ドン・キホーテ的な生きるパワーを豊かに持っている姿はとても魅力的だと思います。
そんな生命力を持った勝浦を、僕の監督デビュー作にも出演していただいた遠藤憲一さんにぜひ演じていただきたいと思ってオファーしました。遠藤さんはもちろんですが、勝浦の世話をする坂本健太役の三浦誠己くんもすばらしい役者。常に自分の作品に呼びたいと思う俳優のひとりで、彼のしっかりとした肉体と芝居があってこその坂本だったと思いますね。普段の彼も無骨で不器用でシャイ。あまり言葉数が多くなく眼光が鋭い、いい男です。

同性愛的に見えてもおかしくない関係がある

――男同士ならではの勝浦と坂本の関係がとても魅力的だと思いました。

色気がムンムンしてますよね。遠くから観ると同性愛的にとれるところもあるかもしれない。坂本は心のなかでは不請不請で勝浦の世話をするところから始まっているのかもしれないけど、でも勝浦という人間に惹かれていて、どこか甲斐甲斐しくいる。海外の友達には「ふたりはデキてるの?」って聞かれたりして、「そんなこというなよ」って返しても、確かにそう見えてもおかしくない関係性があると思うし、そんなセクシーさのあるふたりに見える人もいると思います。

――遠藤さんと三浦さんの関係も現場でどんどん育っていったと伺いましたが、監督から見ていかがでしたか?

この関係を演じるのに値する相手だっていうのを初日に作らなきゃいけない。それはお見合いみたいなものなので、やっぱり監督の力が必要なんですね。でも、もはや一言二言、芝居をしたときに二人の関係性はできていたし、遠藤さんは達者な人なので三浦くんを引っ張り上げていましたね。先月もドラマの撮影で一緒だったそうなのですが、メールをした時に「今も遠藤憲一学校で学んでます。常に芝居の視野の広さとか、テンションとか教えてもらってます」って返事がきて。やっぱり先輩が後輩を引き上げていくものなので、その関係性が兄貴分と弟分という役どころと重なって、とてもうまくいっていたと思いますね。
シリアスな題材なので現場の雰囲気も決して明るくはないですが、空気が悪いわけではなく、淡々とゴールに向かっていく感じ。うるさいのは僕だけで(笑)、現場を鼓舞しながらやっていました。遠藤さんはずっと後ろで手を組んでいなければならなかったし、ストレスもたまっていたと思いますが、プロですから一切イラついたりということはなかったです。


    ライタープロフィール

    大谷和美

    大谷和美

    高校2年の時に観た「バトルロワイアルⅡ」に衝撃を受け、映画の道を志すも、縁あって雑誌編集者に。特撮誌、若手俳優グラビア誌等の編集・ライター、WEB編集者を経て、現在はフリーランスで活動中。人間の感情や社会の闇を描いた邦画が好きで、気づけばR指定のDVDばかり借りていることも。一方、元々好きだったライダー・戦隊などの特撮作品やコメディ映画も好んで観ます。他、元上司のバカタール加藤が主催するニコ生番組「崖の上の生放送」に準レギュラーで出演中。

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