死の直前、ジェームス・ディーンは何を見た?『ディーン、君がいた瞬間(とき)』舞台挨拶を完全レポート!

デイン・デハーン&ロバート・パティンソン起用のウラ話

―― 続いて、ジェームス・ディーンとデニス・ストックを演じた、お二人の俳優についてお伺いします。デイン・デハーン、ロバート・パティンソン共に、日本でも人気急上昇の俳優ですが、この2人を起用した理由について…また、それぞれの魅力についてお聞かせ下さい。

コービン監督「ジェームス・ディーンというのは、非常に有名なアイコンです。それを他の俳優が演じるというのは、とても難しいことでしょう。デイン・デハーン自身も、ジェームス・ディーンの大ファンということもあり『僕には出来ない』と、最初は監督の私に会ってもくれませんでした。

ですが、最終的に会ってくれて、この役を演ると承諾してくれました。いやぁ、デインがいなかったら、私は本当に困っていたでしょう。

デイン・デハーンという俳優は、どんなキャラクターを演っても『ああ、この人は実在するんだな』と信じさせてくれんです。『アメイジング・スパイダーマン2』であれ、『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ』であれ、色んな役をやっていますが、どれも『あ、この人は存在するんだ』と観客に思わせる才能を持っています。

ジェームス・ディーンについで言うと、外見を似せることはある程度は出来ると思うんですが、やはり本物ではないわけですよね。その本物ではないギャップ…距離を縮めるのは俳優の能力なわけですが、デイン・デハーンは、そのギャップを埋められる俳優さんだと思いました。

dean03

一方、ロバート・パティンソンは、『トワイライト』という小さなカルトフィルムに出て成功しましたが(←コービン監督ならではの冗談(笑))、そのあと彼が求めていたのは、お金ではなく“役者として成長できるような面白い役”でした。つまり彼は、自分の才能を証明することに今一生懸命なのだと思います。

そして、彼が演じるデニス・ストックというカメラマンは、やはりカメラマンとして自分の才能を世に知らしめたいと思っているわけで、ロバートと考え方が似ていると感じました。彼は直感的な俳優ですし、それゆえの苦悶も抱えているわけですが、その点も役と同じだと思ったんですね。だからロバート・パティンソンは、この役をやるのにピッタリだと、理想的な俳優だと思いました。

また、この2人の役者が居ることで、すごく良いエネルギーが現場に生まれましたし、一緒に仕事をしていてとても楽しかったです。

デイン出演に一役買った、意外なアーティストとは?!

―― デイン・デハーンについてお伺いします。最初会ってもくれなかったという彼を、どうやって口説き落としたんですか?

コービン監督「あの、僕を見なかったことにするのはとてもむずかしいと思うんです。こんなに背高いし(190センチ以上の長身です)。
まぁ、とにかくデインは会ってくれなかったわけですが、共通の友人がおりまして。その友人…メタリカのドラマー(ラーズ・ウルリッヒ)なんですが、彼がデインを説得し、僕に会わせてくれました。」

―― では次の質問です。日本のアーティストの中で、監督が興味を持ってらっしゃる方はいますか?

コービン監督「カメラの世界に限って言いますと、森山大道さんとかアラーキー(荒木経惟)さんが凄く好きなので、お会いしてみたいです。また、彼らを写真で撮ってみたいです。」

dean04

―― 日本の印象なども併せて聞かせてください。

コービン監督「私は、今まで6回ほど来日しています。前回は『コントロール』という映画を撮って日本に来ましたが、それより前は、U2やスージー・アンド・ザ・バンシーズなどと一緒に、カメラマンとして来日しています。

毎回日本に来るたび、素晴らしい国だと驚かされます。ハイテクでありつつ、人々、色合い、食べ物などのコンビネーションも最高ですよね。僕はベジタリアンなんですが、日本の食べ物の大ファンです。毎回とても楽しいので、もっと長く滞在できればいいな〜と思っています。私の感覚を常に刺激してくれるところ、それが日本なのです。」

メッセージ性よりも、ニュアンスを楽しんで

―― 最後になりますが、作品の見どころを、ポイントを踏まえてお教えいただけますか?

コービン監督「この映画というのは、大きなメッセージを伝えるための映画ではなく、ニュアンスを楽しんでいただく映画だと思っています。

原題は『LIFE』というんですが、その『LIFE』というのは、雑誌『LIFE』の他に、“人生”という意味も兼ねています。誰かに出会い、互いが影響され合うことで展開する人生…。

また、映画では直接言及されていませんが、『LIFE』には“死”も根底に流れているわけです。皆さんご存知のように、ジェームス・ディーンはこの映画のエピソードがあった直後に亡くなっています。『LIFE』の反対側にある“死”というものも、この作品から感じられると思います。

本作に携わることで、微妙なニュアンスの表現も楽しみました。また、先程も申し上げましたが、カメラマンと被写体との関係やバランスというものも、若き2人の俳優さんが素晴らしい演技で見せてくれたので、作り手として凄く楽しかったです。」

―― ありがとうございました。

(コービン監督舞台挨拶 終了)

『ディーン、君がいた瞬間(とき)』は12月より順次公開!

いかがでしたか?U2をはじめ、ローリング・ストーンズ、デペッシュ・モード、ニルヴァーナ、ボブ・ディランなど、錚々たるスターを作品に収めてきた写真家であり、映画監督でもあるアントン・コービン。
時おり冗談を挟みつつ、人懐っこく笑うその姿は、まるで少年のようでもありました。飾らないその人柄に、多くの著名人たちは心を開いていくのでしょうね。

そんなコービン監督がメガホンを取った最新作『ディーン、君がいた瞬間(とき)』は、2015年12月から順次、全国の映画館で公開となります。今もなお、世界中の人々を虜にするジェームス・ディーン。彼の最も美しい時代の光と影を、ぜひ劇場でご堪能下さい!

公式サイト:http://dean.gaga.ne.jp/

(文・取材:大場ミミコ)


    ライタープロフィール

    大場ミミコ

    大場ミミコ

    小学生の息子を持つ主婦ライター。美大卒業後、ストーリー漫画家を目指してシナリオ学校の門を叩く。その後10年ほど、映画・ドラマ・コミック原作などのプロットやコンペ原稿などの下積みを経験し、出産を機に引退。現役中は、お金を浮かせるために飯田橋ギンレイ、早稲田松竹などの名画座に通う傍ら、フリーペーパーなどのシネマコラムも執筆する。好きな映画は「真夜中のカーボーイ」「アメリカン・ビューティ」「チョコレート・ドーナツ」など、切ない&救いのない系の作品。一方、「ウェインズワールド」「プロデューサーズ」などのおバカコメディも大好物♡好きな俳優は佐藤健、好きな監督は中島哲也、内田けんじ。

    ピックアップ

    関連記事

    新着記事

    WP Facebook Auto Publish Powered By : XYZScripts.com