アニメDVD「英国一家、日本を食べる」—原作者マイケル・ブース氏が語る日本食の魅力

英国一家
(第1話「新宿・思い出横丁Shinjuku Omoide Yokocho」より)

2016年1月6日(水)に発売となるDVD「英国一家、日本を食べる」は、イギリス人フード・ライターのマイケル・ブースさんが日本食について書いた同名の旅行記をアニメ化したもの。
日本にやってきたブース一家が「思い出横町」や「相撲部屋」といった日本ならではの場所や日本各地を訪れ、食文化にふれる様子をコミカルに描いたアニメパートと、アニメに関連した食べ物をロケで紹介する実写パートに分かれた構成で、面白おかしく日本食について学ぶことができる。
外国人からみた日本食や日本文化の面白さはもちろん、普段何気なく口にしている日本食の特徴や魅力を再発見できる内容となっていて、子供から大人まで楽しめる作品だ。

今回は、1月1日(金)放送の年末年始特番「英国一家、正月を食べる」の取材のために日本を訪れたマイケル・ブースさんに、今作や日本に対する印象について話を伺った。

息子たちに学ばせたい日本の文化とは?

——まず、アニメを見た率直な感想はいかがですか?

アニメになるなんて全く夢にも思っていなかったので、お話をいただいた時は本当かな?と思いましたね。でもサンプルを見て、まずイラストから家族それぞれの特徴がうまくとらえられていて、みんなでおなかを抱えて笑いました。
内容については、特に僕から要望を出したりはしませんでした。原作をそのまま番組にしても面白くはないと思ったので、必要に応じて変えていただいて構わないと思っておまかせしたら、想像以上の素晴らしい出来で非常にうれしかったです。
あえて言うなら、僕自身よりイラストの方がハンサムですね(笑)。あと、欲張りで怠け者で威張り散らしているようなキャラクターとして面白く描かれていますが、そこはあくまでアニメの人物像で、僕にはもっと違った面もありますよ。

英国一家
(第11話「カニ、カニ、北海道 Holy Crab!」より)

——ご家族についてはどうでしょう?

アニメでは長男のアスガーがそうですが、実際には次男のエミルも、いつも私にどんどん意見を言ってきます。強い性格なので、私のことを恐れていないんですね。
また彼らを日本に連れてこようと思っていますが、そのときには“親を尊敬しなさい”という日本の教えを学ばせたいと思っています(笑)。

もし日本に住むなら…

——初めて日本に来た時は驚いたことも多いのでは?

イギリスでは日本の情報が少なくて、ありとあらゆるとんでもない情報が新聞に載っていたりするんです。例えば、第2話「最高の天ぷら Super High-Grade Tempura」ではゴシックロリータ姿の女の子が登場していますが、そういう人がそこら中にいると思っている人もいます。だから僕も初めて日本に来たときは、見るものすべてが珍しかったですし、今でも10メートルも歩けば、初めてみるものや興味をひかれるものばかりです。たとえば、東京駅で見た新幹線をかたどったバルーンなど、面白いと思ったものは携帯で写真に撮って記録しています。

英国一家
(第1話「新宿・思い出横丁 Shinjuku Omoide Yokocho」より)

——興味深いものがいろいろとある中で、特に印象的だったものは何ですか?

特に印象的だったのは相撲部屋でちゃんこ鍋を食べたこと! あのときは息子が把瑠都さんに向かっていったのですが、優しい彼はやられたフリをして転んでくれて(笑)。力士が街の中で自転車に乗っていたのも、そのアンバランスさが面白かったですね。
他にも和食店の「壬生」での食事も忘れられないし、沖縄や札幌、伊勢志摩の海岸線もきれいだったし、高野山もよかった。もし日本に住むなら、街の雰囲気がすごくよかったので福岡がいいなと思いました。あと、奈良にはまだ行ったことがないので、ぜひ行ってみたいです。

日本人は日本食の魅力に鈍感

——フードライターとして、マイケルさんから見た日本食の魅力を伺いたいです。

日本人は季節の素材や地元で採れるものを大事に使うし、地域の郷土料理も大事に思っていますよね。シェフに関していえば、ひとつのジャンルに一生を捧げて、その道を極めるという姿勢に非常に感銘を受けます。「壬生」の石田さんも、今日より明日、明日より明後日、と毎日非常に努力して腕を磨いていかれるので、そこをとても尊敬しています。
あと、日本料理には2つの特徴があって、バラエティにとんだいろんな食感を楽しんでいることと、旨味を味わっていること。それも魅力だと思いますね。

——では、日本人が気付いていない魅力はあると思いますか?

日本での他の取材の際に「お豆腐が美味しい」と話したら、「お豆腐なんて味がありませんよね?」というようなことを言われたんです。日本人は国外の人から言われるまで、その魅力に気づかないこともあるんじゃないでしょうか。それに、懐石料理の美しさはフランスの三ツ星レストランと比べても、どこにも匹敵するものはないと思います。だけど、日本人はそれに慣れてしまっていて、その素晴らしさに鈍くなっているところがあるように思います。

英国一家
(第14話「京の魔法・豆腐 Tofu, The Magic of Kyoto」より)

——ちなみに、特にお気に入りの日本料理はなんでしょう?

湯葉、ソバ、天ぷら、お好み焼き、和牛、すき焼き、しゃぶしゃぶ…挙げればキリがないくらいたくさんありますが、その中でもあえていえば湯葉ですね。新鮮で、健康にもよくて、日本の料理にしかない独特の食べ物だと思います。

英国一家
(第14話「京の魔法・豆腐 Tofu, The Magic of Kyoto」より)

家族や幅広い年代に観てほしい番組

——今回は特番の取材で福島に行かれたそうですが。

福島ではお米を作っている農家を取材したのですが、自然に寄り添う特別な形の方法を用いていて、米の食味コンクールでも高い評価を受けた方だそうです。1冊目の本では、お米に関してのストーリーやキャラクターがなくて書けなかったのですが、いかに日本の食文化で重要な食品なのか、とてもよく分かったので、次の本ではお米について書きたいと思っています。

——最後に、今作のDVDをどんな人に見てもらいたいですか?
家族で見ていただければ、それぞれに感じるところがある作品になっています。「日本食は海外の人からこういう風にとらえられているんだ」とか「自分たちが食べているのはこういうものだったんだ、と初めて知った」という読者からの感想が多かったので、あらためて日本食を知るきっかけとして、お子さんも含めてすべての年代の方に見ていただきたいし、お年を召した方には「自分たちの食べてきたものがこういう形で取り上げられてうれしい」と思っていただけたら。
もともとこの番組は深夜の放送だったので、観た後におなかがすいてしまったんじゃないかと思いましたが(笑)、そういう時間帯に起きていらっしゃる方ばかりではないと思うのでDVDという形で幅広い年代の方に届いてほしいです。

Michael-Booth-英国一家

もともと食べることが好きで、パリで料理の修行をした経験もあるというマイケルさん。今回の取材旅行では餅つき体験もして、日本の正月についても知識を深めてきたそう。
特番では、アニメに加え本人登場の実写シーンも交えながら、日本人としてちゃんと知っておきたい「餅」や「おせち料理」など正月料理の世界を紹介する。

年末年始特番は、2016年1月1日(金)22時からNHK総合にて放送予定(49分)。
これまでの放送を収録した番組DVDは、2016年1月6日(水)に全4巻が発売となる。
かわいらしいアニメーションで堅苦しくなく日本食について学べて、筆者も時間を忘れて見入ってしまった番組なので、ぜひ一度観ていただきたい。

DVD『英国一家、日本を食べる』
2016年1月6日DVDリリース
発行:NHKエンタープライズ・販売元:松竹
英国一家、日本を食べる Vol.1~Vol.4(各2800円+税)
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http://www.shochiku-home-enta.com/shop/item_detail?category_id=30741&item_id=1835474
(文・取材:大谷和美)

(C)NHK,NEP

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