フランス映画祭オープニング作品『エール!』出演者によるトークショーレポート

「好きな事を極めるのは苦にならない」とルアンヌ

質問:言葉のセリフと手話のセリフ、どちらが難しかったですか?また、手話のセリフを理解するために何か準備をしましたか?

ルアンヌ「私はこの映画のために4ヶ月間、手話を覚えるのに1日4時間ほどレッスンを受けました。確かに手話を覚えるのには時間がかかりました。ただ元々私は言語を覚えることは得意だったので、その辺りは有利でした。

かと言って、決して簡単ではありませんでした。しかしながら難しくもありませんでした。自分のやりたい事、好きな事をやるのは、それほど苦にならないものだと思います。」

質問:ルアンヌさんが撮影中に一番難しかったことは何ですか?

ルアンヌ「演技を覚えるのが一番大変でした。私にとって『エール!』は、初めての映画経験なんです。ですから一番難しかったのは演技をすることです。でも、エリックが随分助けてくれました。」

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会話に手話をつけるルアンヌ・エメラさん

脇を固める大物との共演について

質問:フランスを代表する大女優カリン・ヴィアールさんと、いまフランスで最も勢いのある俳優フランソワ・ダミアンさんとの共演についてはいかがでしたか?

ルアンヌ:「感動もしていましたし、ドキドキもしていました。しかし彼らは、すぐに助言をしてくれました。」

質問:母親役のカリン、父親役のフランソワの2人こそ、すべてを手話で演じるわけですが、エリック監督はどのような点に注意しましたか。?

エリック「手話というのは、ある意味ダンスの振付のようでもあり、見ていてとても動きの多いものです。まず私は、手話のリズムを覚えました。手話というのは、それを見て実際に聴覚障害者が理解できないといけない。撮影をしている中で、画面に手元が映らないと意味を成さないんです。常に画面のフレームの中に演者が入るように意識していました。」

質問:ルアンヌさんは初の演技ということですが、次回はまた歌う役をやりたいですか?それともまったく違う役をやりたいですか?

そしてもう1つ、エリック監督への質問です。最後のデュエットのシーンでミュートになる箇所がありましたが、どのような意図がありましたか?

司会:まず1つ目の質問を、ルアンヌさんがお答え下さい。

ルアンヌ「今のところは解りませんが、次回の作品では歌わなくても良いと思っています。」

エリック「では、泳ぐ役なんてどう?」

ルアンヌ「ハハハ…じゃあ、泳ぐ役柄で脚本を書いて下さい(笑)。とにかく、いろいろな役にチャレンジしてみたいですね。」

エリック「そうそう。音を消したシーンですよね。あれは、観客に音の聞こえない聴覚障害者の気持ちになって欲しかったからです。

もちろん私たちは聴覚障害者のような感覚を得ることはできませんが、想像はできるはずです。あのシーンで音を消すことによって、健常者が彼らのように耳の聞こえない感覚を味わうのです。数分という短い間ですが、そういうのを感じ取って欲しかった。」

司会:音を消すことに、周りからの反対はなかったのでしょうか?

エリック「もちろん。プロデューサーはとても反対しました。あのシーンはルアンヌの歌が見せ場で、歌声が聞こえないと意味が無いと言いました。でも、仕上がった作品を見て、プロデューサーも納得してくれました。あそこで音を聴かせないことによって、(少し前に出てきた)父親がルアンヌの喉に手を当てて歌を聞くシーンがより生きるんだと言ってくれました。」


    ライタープロフィール

    大場ミミコ

    大場ミミコ

    小学生の息子を持つ主婦ライター。美大卒業後、ストーリー漫画家を目指してシナリオ学校の門を叩く。その後10年ほど、映画・ドラマ・コミック原作などのプロットやコンペ原稿などの下積みを経験し、出産を機に引退。現役中は、お金を浮かせるために飯田橋ギンレイ、早稲田松竹などの名画座に通う傍ら、フリーペーパーなどのシネマコラムも執筆する。好きな映画は「真夜中のカーボーイ」「アメリカン・ビューティ」「チョコレート・ドーナツ」など、切ない&救いのない系の作品。一方、「ウェインズワールド」「プロデューサーズ」などのおバカコメディも大好物♡好きな俳優は佐藤健、好きな監督は中島哲也、内田けんじ。

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