邦画好きが『グッド・ウィル・ハンティング』を見たら…やっぱり名作だった話

日本が舞台ではしっくりこないストーリー

里親の元をたらいまわしにされ、さらに虐待も受けていたウィル。日本でもできない設定ではないですが、日本を舞台にした場合、その境遇自体が特別なものとして描かれるのではないでしょうか。

劇中でウィルが「スラム街の出身」といわれているように、きっとそういう少年・青年たちが特別ではない環境のなかで、ウィルが際立った能力を持っていた、ということがこの話のキモになっています。

そして、ウィルが心を通わせることになるショーンも、似たような境遇で育ったことを明かします。

親友がマジでいいヤツ!

ウィルがつるんでいるワル仲間たちは、ケンカっ早かったり、下品な発言をしたりと、ウィルが周りからどういう人間に見られているか、わかりやすく映す鏡になっています。

親友のチャッキー・サリヴァン(ベン・アフレック)も、最初はそういうワル仲間のひとりという感じですが、ウィルの才能をわかっていて、彼の背中を押してあげます。

ヨロシクやっていた仲間のひとりだけ、ずば抜けた才能を持っているとしたら、劣等感を感じたり、ひがんだりしてしまいそうなものですが、チャッキーは自分の生きる場所を理解しつつ、ウィルの歩むべき場所を示します。

そういう意味では、チャッキーも決して頭が悪いわけではないと思うのですが…。自分に対しての諦めから、ウィルの足を引っ張るようなことはせず、全ての希望を彼に託しているような姿にグッときます。

また、ベン・アフレックは、プライベートでもマット・デイモンのよきパートナーとして、脚本を共著して、当時はまだ無名だったマットの活躍に一役かっているというのも素敵な話だと思います。

教授たちが見せる、男の友情

ジェラルドは、いち早くウィルの才能に気づく数学者ですが、彼のやり方ではウィルの心を開くことはできず、かつての同級生で心理学を専門とするショーンの手を借りることになります。

ウィルに対して、こうあるべき、という自分の理想を押し付けてしまうジェラルドと、ウィルの意思を尊重しようとするショーン。まるで北風と太陽のようなふたりですが、ウィルの将来に対して意見の相違が起こったとき、お互いに隠していた本音をぶちまけてしまいます。

女同士だったらきっと絶交ものの激しい言い合いをしますが、それによって、お互いに対して感じていたわだかまりがとけます。

殴り合いのあとに友情が深まるようなこのシーンは、男同士ならではの関係を描いていて、憧れる面もありますし、身近な人間の人生も変えるウィルの存在、主人公としてのカリスマ性も感じさせます。

恋愛コミュ障が共感できるラブストーリー

大ヒット映画『ラ・ラ・ランド』の映像も音楽もすごく好きなんですが、ふたりの恋愛について、筆者がイマイチぐっとこなかった理由が、『グッド・ウィル・ハンティング』を見てわかりました。

恋愛と夢の狭間で葛藤する、それはきっと、コミュ障や非リアにとっては贅沢すぎる悩みだから。
一方、『グッド・ウィル・ハンティング』では、ウィルは恋人のスカイラー(ミニー・ドライヴァー)に拒絶される日が来ることを恐れて、彼女に理不尽な別れを告げます。

当時はコミュ障という言葉自体なかったけれど、今でいえば、ウィルはいわゆるコミュ障ですよね。

ウィルはトラウマから、教授たちにも心を開くことができませんでしたが、恋人に対して、相手を試すようなことを言ったり、やったりしてしまうのは、ウィルに限ったことではないように思います。

放送中のドラマ『恋がヘタでも生きていけます』の第2話でも、主人公の美沙(高梨臨)が、自分に猛アタックしてくる雄島佳介(田中圭)に「私と付き合いたいなら社長を辞めて」というようなことを言っていましたが、彼女も恋がヘタな非リアで恋愛コミュ障なんですよね。

コミュ障とまではいわなくても、恋愛偏差値が低い、と思っている人なら、ウィルに共感できるかもしれません。

主人公として常人離れしている部分がありつつ、共感できる部分もしっかりとあり、感動シーンはあるものの、決してお涙ちょうだいのストーリーではない、全体のバランスがほどよく、見終わったあと、この映画を見ずに死ぬことにならなくてよかったと思いました。

もちろん邦画でしか描けないこともあると思うし、そういう作品が好きだと思っていたんですが、筆者が洋画の素晴らしさを知るきっかけになった作品です。
マンチェスター・バイ・ザ・シー ポスター

(C)2016 K Films Manchester LLC. All Rights Reserved.

主演のマット・デイモンがプロデューサーをつとめた『マンチェスター・バイ・ザ・シー』も2017年5月13日(土)より公開されているので、こちらもチェックしたいと思います。

(文:大谷和美)

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