『グレートウォール』は、何とスペクタクル怪獣バトル・アクション映画だった!

■「キネマニア共和国」

グレートウォール メイン

(C) Universal Pictures

 現在、アメリカ映画界は中国の巨大なマーケットを視野に入れた映画制作を積極的に進めていますが、本作『グレートウォール』もハリウッド・スター、マット・ディモンと中国映画界の巨匠チャン・イーモウ監督のコンビで贈る一大スケールの超大作です。

もっとも、これは単なる歴史スペクタクルではありません……。

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街vol.224》

何と、無数の怪物を万里の長城で向かい討つという、いわば怪獣バトル・アクション映画なのでした!

万里の長城を舞台に繰り広げられる人間VS怪物の攻防戦

『グレートウォール』のストーリーは、シルクロードの中国国境にて馬賊の襲来を受け、辛くも生き残った傭兵ウィリアム(マット・デイモン)とトバール(ペドロ・パスカル)は、やがて万里の長城の巨大な壁にぶちあたり、長城防衛の任を受けている禁軍に投降し、捕虜となります。

まもなくして、長城に圧倒的な数の怪物が襲い掛かってきます。

それは饕餮(とうてつ)と呼ばれる、人間の欲深さを罰するために60年に一度現れる伝説の怪物であり、実は万里の長城が建築された真の理由も、饕餮から国を防衛するためだったのです。

この戦いでウィリアムとトバールは饕餮に対して決死の活躍を示し、リン・メイ司令官(ジン・ティエン)やワン軍師(アンディ・ラウ)ら軍の面々に受け入れられていきますが……。

本作のキモとなるのは、やはりチャン・イーモウ監督がこのような怪獣バトル映画を作ってしまう度量の広さにあるといってもいいでしょう。

もともと『紅いコーリャン』(87)や『菊豆(チュイトウ)』(90)『紅夢』(91)などのアーティスティックな作品で世界的名声をつかんだ彼ですが、実は『英雄〜HERO〜』(02)『LOVERS』(04)といったCGを駆使したエンタテインメント色満載の武侠アクション映画も手掛けており、さらには『あの子を探して』(99)『初恋のきた道』(99)のような素朴で可愛らしい作品も多数あります。

実はジャンルの別なく多彩な監督なのです。

しかしながら、そのすべてにおいて共通しているのは濃密なまでの映像設計で、いわば画そのものが圧倒的色彩感覚によってスペクタクルたりえています。

『グレートウォール』も万里の長城の強大さをこれでもかと見せつけながら、その上で人間VS饕餮の壮大なるバトルを見事に具現化しています。

またこういった娯楽性の高い作品でも、チャン・イーモウ監督作品の場合、中国の歴史と伝統文化に根差しながらリスペクトを捧げていることでは共通しており、本作もその点によって壮大かつ奥深い真のエンタテインメントを構築せているといえるでしょう。

グレートウォール サブ

(C) Universal Pictures

怪物の狂暴な構築にヒロインの美貌至れり尽くしのエンタメ映画

と、まあ、理屈はともかく、本作のキモは圧倒的数で万里の長城に襲いかかる饕餮の狂暴かつダイナミックな描写の数々にあります。

グロテスク極まりない饕餮の造型は実際に映画を見て確認していただくとして、1匹1匹のおぞましさと、彼らが群れを成したときの、あたかも天地を揺るがすかのような迫力は、個人的には我が国の傑作怪獣映画『ガメラ2 レギオン襲来』(96)の小レギオンの群れを彷彿させるものもあり、これはもう劇場の大スクリーンで堪能すべきもので、ちょっと贅沢に3Dや4D、アイマックスで鑑賞しても十分モトはとれるでしょう。

また、これまでコン・リーやチャン・ツィイーなどを発掘してきたチャン・イーモウ監督作品ならではの美しきヒロイン、リン・メイ司令官に扮したジン・ティエンにも大いに着目していただきたいところです。

かつて『ポリス・ストーリー/レジェンド』(13)でジャッキー・チェンの反抗的な娘を演じて注目された彼女ですが、本作でハリウッド・デビューを飾り、『キングコング:髑髏島の巨神』(17)にも出演と、今後の活躍が大いに期待できる逸材です。

それにしても類まれなる美貌と高い身体能力、双方の魅力を併せ持つ彼女のような存在をフルに活かす演出の術を知るチャン・イーモウ監督の手腕にも改めて唸らされます。

上映時間も1時間43分と、本来映画を観賞するのにちょうど適したランニングタイムといえるでしょう。

GW、とりあえず何を見ようか思案中の方、迷わずこれをお勧めします。もちろん怪獣映画ファンも!

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(文:増當竜也)

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    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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