映画『氷菓』はアニメ版のファンにも大推薦!その理由とは?

(C)2017「氷菓」製作委員会

映画『氷菓』が公開中です。“学園ミステリー”である本作の魅力とは? キャストの魅力とは? 原作およびテレビアニメ版からどのように変わったのか? 以下より、大きなネタバレのない範囲で、たっぷりと紹介します!

1:広瀬アリスの“目力”がすごい!「わたし、気になります」の決めゼリフに圧倒的な説得力があった!

本作は米澤穂信による小説“〈古典部〉シリーズ”の第1作目を原作としています。同作は2012年、京都アニメーションによるテレビアニメ化がされ、若者を中心に絶大な人気を得ていました。

その原作およびアニメ版の内容を端的に表せば、「学園生活の日常に存在する謎を解き明かす」というもの。殺人などの物騒な事件はほとんど起こらず、その推理の過程は良い意味で淡々としており、静かな雰囲気で、青春時代のほろ苦い出来事(記憶)を追体験できる、というのが作品の大きな魅力になっていました。

その原作およびアニメ版を楽しんでいたファンにとって……広瀬アリスが高校1年生のヒロインを演じる、ということに違和感を覚えた方もいるのではないでしょうか。

なにせ、広瀬アリスは現在22歳、もともとオトナっぽい雰囲気がありますし、今回のメイクはかなり濃い目に見えます。アニメ版のヒロインは見た目も含め、とにかく清楚でかわいらしい雰囲気だったので、今回の映画のポスターや予告編を観て「役に合わないのでは?」と思ってしまうのも致し方がないでしょう。実際の映画を観ても、さすがに高校1年生の役が苦しく見えるシーンも少なくはなかった……というのが正直なところです。

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しかしながら、(年齢に関しての違和感があったとしても)このヒロインに、広瀬アリスは適役であったと断言します。なぜなら、彼女はもともと大きな目を、さらに“見開く”ことで、「好奇心が旺盛で、そのパワーで主人公を引っ張っていく」という役柄にぴったりとハマっていたからです。決めゼリフの「わたし、気になります!」も、アニメ版に負けず劣らず「こいつがこう言ったら、もう断るわけにはいかないな」という説得力が抜群!

なお、広瀬アリス自身、「20歳を過ぎてから制服を着るのは初めてで、まずはそこから不安でした」、「ヒロインはお嬢様でフワフワしていてかわいくて……自分とはかけ離れた性格だったので悩みました」と、役に対する苦悩を語っていました。

そこで彼女が心がけたのが、“(今回の映画はあくまで小説が原作であるので)アニメ版を意識しつつも、それに囚われないアプローチ”の演技だったのだとか。結果的に、広瀬アリスは本人が元々持っている雰囲気を捨てることなく、“お嬢様気質ではあるけれど、気になることについてはパワフル”……そんな原作およびアニメ版にあったヒロインの魅力を、見事に表現しているのです。

なお、広瀬アリスは安里麻里監督からも、「目力を絶対に強くして欲しい」と告げられていたのだとか。今回の役に説得力が生まれたのは、その演技指導の賜物でもあるのでしょう。圧倒的な“目力”をもって、特徴的なヒロインの性格を表現しきってしまうことに、広瀬アリスの女優としての底力を見せつけられました。

出色は、リハーサルに2日間を費やしたという、山﨑賢人演じる主人公と初めて出会うシーンです。その後ろ姿は、撮影の美しさも相まって、「あのヒロインがこの場所にいる」という実在感がありました。これだけでも、原作およびアニメ版のヒロインが好きだった方に、観てほしいのです。

ちなみに、安里麻里監督はホラー映画を多く手がけており、少女に近い年齢の女優を魅力的に見せることに定評があります。特に『劇場版 零 ゼロ』では、『散歩する侵略者』などの黒沢清監督の元で学んでいたからこその、“光”と“陰”の表現が魅力になっていました。この“出会い”のシーンも、安里監督の手腕がいかんなく発揮されていた、と言っていいでしょう。

2:山﨑賢人の“表になかなか出さない優しさ”にも注目!

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主人公を演じたのは、現在は主演映画の『斉木楠雄のΨ難』も公開中、押しも押されもせぬ人気俳優の山﨑賢人です。今回は“灰色の学園生活”を目指す、冷めた態度の“省エネ男子”を演じていましたが、これが実にハマリ役!

その理由は、主人公が“ぶっきらぼうのように見えて、実は優しい”から。これまでも山﨑健人はドSな役や、感情をなかなか表に出さない役も演じてきましたが、その内面には確実に“優しさ”も感じさせていました。それは、『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』の不良の役でさえも同様、本人が元々持っている温和なイメージが、“本当は優しい”というキャラの内面と絶妙にシンクロしているのです。

今回の『氷菓』では、“好奇心旺盛な広瀬アリスに振り回されてしまう”というのも面白いところ。山﨑賢人は『四月は君の嘘』で広瀬すずに振り回されていたと思ったら、今度はその姉の広瀬アリスにも逆らえなくなるというキャラクターになっているんですよね(笑)。彼は、そういう“巻きこまれ型”の役にもぴったりです。

氷菓 ポスター

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ちなみに、山﨑賢人は研究に余念がない方で、「完璧!」と思えた今回の役でも、「謙遜ではなく自分には満足していません」「“もっとこうしたい”と思っても、それを演じきれるだけのスキルが伴っていません」などと、自分の力不足と、向上心の高さを語っていました。“2.5次元俳優”と呼ばれるほどに実写映画作品において抜群のハマり具合を見せていた彼は、いったいどこまで成長するのでしょうか……良い意味で、末恐ろしくなってきます。

これまでの山﨑賢人の一番のハマり役は『一週間フレンズ。』のかわいらしいキャラだと思っていましたが、本作はそれを超えているかもしれません。これも、山﨑賢人ファンならずとも、原作およびアニメ版のファンに観て欲しい理由なのです。

また、サブキャラクターでは、主人公の親友である岡山天音も素晴しかった! 人懐っこくて明るく、でも冷静な立場で分析するという性格は原作およびアニメそのままのイメージで、「ごっめーん、まったー!?」という羞恥心がなさすぎるセリフも実にハマっています。

その他、かわいいけれど毒舌な女の子を演じた小島藤子、過去の出来事における中心人物となる本郷奏多もまた、役者本人の持ち味を生かしつつ、『氷菓』のファンの期待に十分に応えるだけの存在感を見せていました。総じて、若手俳優の魅力を堪能できる作品と言えるでしょう。

3:“映画ならではの工夫”はこれだ!

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『氷菓』の原作小説は、一貫した大きなストーリーがあるというよりも、短いエピソードからなる短編集という印象が強い作品でした。テレビアニメ版が基本的に原作に忠実な内容になっていたのも、毎回30分未満というフォーマットにぴったりだったからでしょう。

しかし、映画においては2時間という時間の制約の中で、起承転結のある、ダイナミズムのある展開が求められます。ただ原作のエピソードを並べ立てしまったのでは退屈に感じてしまうでしょうし、それは集中して観る映画だからでこその魅力を削いでしまうことに他なりません。

実際の映画を観てみると……その心配はまったくの杞憂! まさに“映画ならでは”の工夫があって感動しました。終盤の真実に関する伏線は、原作と提示の順番を変えて、巧妙に仕組まれています。さらには、原作にない“プラスα”の仕掛けも施されていたのですから。

原作およびアニメは、物語の規模が良い意味で狭く、淡々と真実が浮かび上がることも魅力でした。しかし、今回の映画におけるクライマックスの“真実”は、オリジナルの演出で、この上なくドラマチックに仕上がっているのです。原作およびアニメを知らない方はただただ驚けるでしょうし、『氷菓』のファンにとっては、物語の新たな解釈に感動できるでしょう。

さらに感動したのは、初めに提示される“主人公の姉からの手紙”についても、新たな解釈が加えられていることです。手紙の内容は原作そのままなのですが……これ以上はネタバレになるので書けません。『氷菓』のファンであれば(そうでなくても)、とある優しいメッセージにつながることに、驚きと、原作への多大なリスペクトを感じられるでしょう。

余談ですが、アニメ版は放送年に合わせて2012年の時代設定がされており、それに伴い「33年前の真実」は「45年前の真実」に変更されていました。今回の映画では、原作と同じ2000年が舞台となっているようで、「33年前の真実」のまま、スマホではなく“固定電話”で電話をするシーンもありました。映画にどこかレトロな雰囲気を感じられるのは、この時代設定のおかげもあるのでしょう。

なお、映画のロケ地はアニメ版(のモデル)と同じく、飛騨高山です。その風景は実に魅力的なので、この機会に“聖地巡礼”してみるのもいいかもしれませんよ。

まとめ:原作者もお墨付き! アニメ版も尊重した実写映画だった!

原作者の米澤穂信は、Twitterで今回の映画について、以下のように発言しています。

「映画はその偉大な先行作(アニメ)に対し、殊更に背を向けようとするのではなく、かといってむろんのことそれに寄りかかるのでもなく、蓄積は大切にしつつ別の表現をしてくださいました。」

まさにこの通り。映画『氷菓』は、広瀬アリス演じるヒロインの魅力を先頭に、絶大な人気を得たアニメ版をないがしろにはせず、原作も尊重した、映画ならではの表現で誠実に作られている、と言っていいでしょう。

原作およびアニメ版のファンはもちろん、まったく『氷菓』を知らないという方にも、今回の映画を観て欲しいです。“原作に忠実であるが、映画ならではの解釈もある”という、理想的な実写映画化作品を、ぜひ劇場で堪能してください。

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(文:ヒナタカ)

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