ハリウッドにおけるアジア人のイメージ

主要キャストがアジア系俳優のみというハリウッド映画では珍しい画期的な映画『クレイジー・リッチ』。本国アメリカではもちろん、日本でも話題となりました。

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ですが、『クレイジー・リッチ』を観た方なら本作のちょっとおかしなアジア人のイメージに気づいた方も多いのではないでしょうか。そんな『クレイジー・リッチ』を本記事ではハリウッドに置けるアジア人のイメージと一緒そんな『クレイジー・リッチ』では色々なアジア人の私達から見ると「ん?」となるような設定もあります。

『クレイジー・リッチ』あらすじ

レイチェル・チュウは全米トップクラスの大学の経済学部の教授として働くニューヨーカー。ある日彼女の恋人・ニック・ヤンの誘いで突然親友の結婚式にするためにシンガポールに行くことになる。お金の心配をするレイチェルだったが、レイチェルはニックの秘密を知らなかった…。実は彼はとんでもないお金持ちだった!

彼氏が実はとんでもないお金持ちだったということから始まる『クレイジー・リッチ』。お金持ちの生活をただ単に描いただけではなく、ここから、彼の母親や周りの人々の嫉妬や妬みなど様々な困難にレイチェルは立ち向かうことになります。

設定から見るアジア人のイメージ

『クレイジー・リッチ』では色々な日本人の私達から見ると疑問に思う設定があります。

(1)アジア人は頭がいい?

まず、主人公のレイチェルがとんでもなく頭が良いキャラクターということ。彼女が教鞭をとるニューヨーク大学はアメリカでもトップクラスの大学です。「物語だから」と考えるそんな人もいるでしょう。ですが、ハリウッド映画やドラマで描かれるアジア人キャラクターはだいたい頭がいい設定が多いのです。よくある役柄がダントツで医者。というのもまず、アジア人はメインキャラクターやサブキャラクターになっていることも少ないのが現状です。なので、ハリウッド的に人種の多様性を表現したい場合、ちょい役でもアジア人を起用するのがありがち。よくドラマで主人公が病院に行くと必ずと行っていいほどアジア人ドクターが対応しています。悲しいですが、それが今のハリウッドでほとんどのアジア人の起用例です。

(2)シンガポールを舞台に選んだ理由

『クレイジー・リッチ』を観ていて、なぜシンガポールが舞台なのに主人公の実家やその他の建物が、とても中華風と思った方も多いのではないでしょうか。というのもシンガポールでは中国系の人口が7割を超えるそうです。ここの設定は理にかなっています。ですがなぜ中国や韓国、そして日本ではなく、シンガポールをアジアの代表として選んだのか、わざわざ多様な国籍や人種をかかえる国を選んだのか、国際情勢など色々な考察ができますが、それはズバリ原作者がシンガポール出身だからです。原作者であるケヴィン・クワンは中国系のシンガポール出身の作家です。彼の曾祖父がシンガポール最古の銀行の創設者だったりと、彼の家系はリッチだったことが伺えます。そんなクワンが11歳だったときに家族はアメリカに移住します。アメリカに移住し、アジア人の存在意義を示したかったからこそ、このストーリーを思いついたのではないでしょうか。

(3)家族の絆が強い?

『クレイジー・リッチ』の表現方法で印象的なのが、アジア人は家族の絆を大切にしているというイメージが強いことです。出てくる役柄はほとんどが恋人であるニックの家族や親族。日本人に当てはめてみると、核家族という言葉もあることから、あまり当てはまらないように感じます。ですが、ニックの家族が中国系ということで中国では親戚付き合いがよく行われているようです。中国語で父方と母方で名称が違ったり、その他の親族でもそれぞれ名称が違うそうです。『クレイジー・リッチ』はアジア系の映画というより、中国系の映画という認識をしたほうが良いようです。

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ハリウッドにおけるアジア人俳優の立ち位置

続いてハリウッドにおけるアジア人俳優の立ち位置についてです。

先程少しご紹介したとおり、アジア人におけるハリウッドでの役柄はだいぶ狭いです。

こんなデータがあります。南カリフォルニア大学が行った調査によると2007年から2014年までのトップ700の映画の中での人種の配分は白人が73.1%、ヒスパニックが4.9%、黒人が12.5%、そして、アジア人は5.3%だったそうです。脇役での登場がほとんどと考えるとそれで5%という数字には、ハリウッドにおけるアジア人の立ち位置の低さが見えてきます。

参考:https://www.pbs.org/newshour/nation/30000-hollywood-film-characters-heres-many-werent-white

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『クレイジー・リッチ』が大ヒットした理由

続いて『クレイジー・リッチ』が大ヒットした理由についてです。

(1)ベストセラー小説の映画化

原作はさきほどご紹介したゲヴィン・クワンのベストセラー小説『クレイジー・リッチ・アジアンズ』日本語訳されたものも発売しています。この小説は2013年に発売され、ベストセラーとなっていましたが、映画が人気を博して150万冊増刷されたそうです。

(2)今までにないすべてがアジア系キャストの映画

やはりアジア人俳優をメインキャストにすべて起用したことがこの作品の大きなチャレンジと言えるでしょう。最近では日本のアニメのハリウッドで実写化する際に白人俳優を起用し問題になったことも記憶に新しいです。そんな白人優位のハリウッドで、アジア人のみメインに起用し、成功したことはアジア人俳優にとっての希望となり、革命とも言える出来事でしょう。レイチェルを演じたコンスタンス・ウーは本年度アカデミー賞にも出席しています。まさに『クレイジー・リッチ』が大ヒットした証ですね。

(3)原題はまさにアジア人を意識しているタイトル!

日本でのタイトルは『クレイジー・リッチ』ですが、原題が違うことをご存知でしたか?原題は『Crazy Rich Asians』となっていて、アジア人を全面に押し出すタイトルとなっています。こんなにアジア人を強調した映画が今まであったでしょうか。私自身、公開時アメリカに滞在していましたが、テレビCMが多く放送されていたのを覚えています。ですが、こんなタイトルで本当にアジア人以外で観たいと思う人はいるのか?というのが正直な考えでした。ですが、蓋を開けてみればびっくり!週末興行収入ランキング第一位となりました。

(4)ラブストーリーとしても楽しめる

なんだかんだ言っても、『クレイジー・リッチ』はラブストーリーとしてもとっても楽しめる女性だったらキュンキュンしてしまうシーンやあこがれのシーン、恋愛や家族の素晴らしさをまるごと詰め込んだ映画です。ラストシーンは本当にスッキリ!という一言に尽きるぐらい清々しいシーン、そして主人公・レイチェルの芯の強さを感じられるシーンとなっています。ニックを演じたヘンリー・ゴールディンの筋肉美にも注目です!

まとめ

『クレイジー・リッチ』の成功は日本人の私達にとっても素晴らしいことで、ハリウッドにおけるアジア人俳優の捉え方の向上にもつながったような気がします。ストーリーも演出もこだわっていて、観て頑張ろう!と思える作品なので、ぜひおすすめしたい一本です。『クレイジー・リッチ』に出演している俳優さんたちの今後にもぜひ期待したいで

(文:ひろこがね)

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