『ラ・ヨローナ〜泣く女〜』の「3つ」の魅力!ファミリー層にもオススメできる理由はこれだ!

(C)2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

本日5月10日より『ラ・ヨローナ〜泣く女〜』が公開されます。結論から申し上げれば、本作は「誰もが楽しめるしっかり怖いホラー」として、ファミリー層にもオススメできる優秀な作品でした!その魅力を以下にお伝えします!

1:母の愛×子供が大活躍するホラー!
『IT/イット』や『ストレンジャー・シングス』が好きな人にも!

『ラ・ヨローナ〜泣く女〜』のあらすじを簡単に紹介しましょう。ソーシャルワーカーの主人公がある家に訪問すると、母親が2人の子供を部屋に閉じ込めている様を目の当たりにします。もちろん主人公は虐待であると認識して子供たちを保護するのですが、その母親は子供たちに危機が迫っていることを理由に部屋から出すことに反対をし続けていました。その後、主人公はこの母親が言っていたことの本当の意味に気づき、恐怖の対象である“ラ・ヨローナ”に立ち向かうことになるのです。

重要なのは、この主人公がシングルマザーであり、彼女もまたラ・ヨローナから自身の2人の子供を守る立場となるということ。主人公の行動理由は「愛する子供を守るため」という普遍的かつ絶対的なもの。そのためならどんなことでもできるという“母親の愛”が前提としてあるため、誰にでも感情移入がしやすくなっているのです。しかも、彼女は子供の心身を見守る仕事に従事しているソーシャルワーカー。母親としても仕事としても子供を守るその立場は物語上でも重要となり、それは(ネタバレになるので詳しくは書きませんが)ある悲劇をも招く“足枷”にもなり得るのです。

さらに、その2人の子供も、ただ母親に守られるだけの存在ではありません。彼らは最初は孤独のまま恐怖におののいているばかりですが、やがて子供なりにラ・ヨローナと戦う術を見つけて行くのですから。本作がファミリー層にもオススメできる理由は、この“母親と子供2人”を主軸に描いていることが筆頭。子供は彼らと同年代の登場人物に自身を投影し(大人も母親としての主人公に感情移入し)、彼らを心から応援しながら観ることができるのですから。

また、子供が恐怖の対象に立ち向かう作品には、最近ではNetflix配信のドラマ『ストレンジャー・シングス』や、日本でも大ヒットしたホラー映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』などもあります。そちらが好きだという方も、きっと『ラ・ヨローナ〜泣く女〜』を気に入ることでしょう。その『IT/イット』の脚本を手掛けたゲイリー・ドーベルマンは今回は製作で参加していますよ。

さらに、この『ラ・ヨローナ〜泣く女〜』はしっかり怖い反面、直接的な残酷描写はほぼなく、日本ではG(全年齢)指定になっています。『IT/イット』がR15+指定であるため劇場で(子供と一緒に)観られなかった……という方も、ぜひ映画館に足を運んで観て欲しいのです。

さらにさらに、本作は上映時間も93分とタイトに仕上がっています。子供でも飽きずに最後まで観られるでしょうし、気軽にホラー映画を選んで「あー怖くて面白かったー!」と劇場を後にできる“ちょうどいい”内容と言えます。詳しくは後述しますが、本作はドラマ面に手が込んでいる以上にアイデアとサービス精神も満載であるため、最初から最後まで存分に楽しめるはずですよ。

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2:ラ・ヨローナとは?
その存在がとてつもなく怖い理由はこれだ!

本作の恐怖の対象となるラ・ヨローナとは、中南米の民話を通じて、殺人鬼、悪霊、母親、軽蔑される女などの様々な形容で、何世紀にも渡り親から子に語り継がれている有名な存在なのだそうです。その物語は、子供が友達を怖がらせたり、または親が子供に言うことを聞かせるためにも使われることもあるのだとか。ラ・ヨローナの意味はメキシコ語でサブタイトル通りに“泣く女”であり、英語では“Weeping Woman”や“Woman in White”とも呼ばれているそうです。

本作の冒頭および中盤でも、ラ・ヨローナの物語が語られます(内容は地域や年代によって微妙な違いがあるそうです)。それは「ある理由から、女は自身の愛する子供を水で溺れさせて殺してしまう。女はそのことを後悔し、嘆き苦しんだため自ら川に身を投げる。彼女は死んだ後も呪いとなってこの世をさまよう存在となり、他人の子供たちをさらっていく……」というもの。ラ・ヨローナは「自身の子供を失うという悲劇を他の母親にも味あわせようとする」とんでもなく理不尽な存在である一方で、決して全てが理解できないわけではない(あるいは同情の余地もある)ということも重要になっていました。

本作の出演者であるパトリシア・ヴェラスケスも、子供の頃に「きちんとしないとラ・ヨローナが迎えにくるよ」と聞かされていたため良い子にしようと努めていていたそうで、彼女によると「ラ・ヨローナの物語で育った子供は、大人になった今でもその恐怖が植え付けられている」のだとか。主演を務めたリンダ・カーデリーニもラ・ヨローナの物語が聞く者の背筋を凍らせる理由について「誰しも子供だった時があり、誰しもが母がいて、子をもつ親になるから」と語っていました。

確かに、このラ・ヨローナ物語は子供はもちろん、子供を持つ親にとっても恐ろしいものです。言うまでもなく親にとって子供を失う以上の恐怖はないでしょうし、子供を狙うそのラ・ヨローナは自身の子供を自らの手で殺した上に自殺をするというこの世の地獄のような経験をしているのですから。また、悪霊や化け物でなくとも、愛する子を理不尽かつ突然に失ってしまうというのは、災害や事故などで現実にも起こり得る悲劇です。誰もがラ・ヨローナが来た時のように自身の子供を死なせてしまうかもしれない(もしくはラ・ヨローナ自身になってしまうかもしれない)……だからこそ、ラ・ヨローナの物語は普遍的に人の恐怖心を呼び起こし、今に至るまで語り継がれて来た、この映画でも絶対的な恐怖として映るのでしょう。

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3:サバイバル・ホラーアトラクションとしてのサービス精神が満載!
4DX上映もオススメだ!

ここまで書いてきたように、本作は「家族が民話で語り継がれて来た悪霊に立ち向かう」という内容です。これだけであると地味に思えるかもしれませんが、そんなことは決してありません。本作は”サバイバル・ホラーアトラクション”として銘打たれていることも納得の、「あの手この手で怖がらせる」なアイデアがたっぷり、終盤には凝りに凝ったギミックも展開する、サービス精神が満載な内容であったのですから!

その怖がらせアイデアの中では、特に“クルクルとハンドルを回して車の窓を開ける”であったり、”プールの近くで傘を開く”シーンに驚きました。この手のホラー映画では怖がらせ方や驚かせ方が類型的になりがちですが、まだまだフレッシュな怖いシーンが作れるじゃないか!と感心しきりでだったのです。1970年代が舞台であることも、現代のように携帯で助けを呼んだり、ネットで情報を集めたりできないという“制約”として上手く働いていました。

さらに、以下の“ラ・ヨローナが襲ってくる条件”があり、これを認識しておけば攻防戦を有利に進めることができる、というゲーム的な面白さもあるのです。

出現条件:水がある場所すべて

獲物:水に近づいた者

警告:泣き声が聞こえたら、終わり。

つまり“水に近づかなければ大丈夫”ということなのですが、このラ・ヨローナは“一滴の水さえあればどこにでも現れる”ということもポイント。川はもちろん、プールやバスタブや水たまり、はたまた雨漏りのすぐそばにいてもアウトになりかねないのです。“陸に上がれば大丈夫”なサメ映画のサメよりもよっぽど厄介でうっとおしいですね。

その攻防戦の面白さが極に達するのは終盤の一軒家でのバトル。ここでもある“ルール”が提示され、それを守ればラ・ヨローナに勝てるはずなのですが……敵はその“ルールの隙を突いて”襲ってくる、あるいは“味方のほうからルールを破ってしまうかもしれない”危うさも描かれているので、全く安心させてくれません。物語の序盤に、“登場人物を追っていくカメラ”でこの一軒家の構造を見せておくことも実に効果的でした。単に怖がらせるだけでなく、勝つためのロジックがしっかり積み重ねられていて、なおかつゴージャスなギミックも用意して視覚的に楽しませてくれる、ということも『ラ・ヨローナ〜泣く女〜』の美点でしょう。

また、筆者は試写で4DX(座席の移動のほか水や煙や香りなどの演出を体感できる上映方式)を体験してみたのですが、これが本編との相性が抜群! 水の演出は元より、随所にある“風”の演出が秀逸で、“ラ・ヨローナがやって来る”ことと“風が吹く”ことがシンクロしていることがさらに恐怖を呼ぶ他、風そのものだけでなくその“風音”が本編の一部のように感じられるつくりになっていたのです。繰り返しになりますが、本作は”サバイバル・ホラーアトラクション”として銘打たれていること納得のサービス精神満載の作品ですので、4DXでさらにアトラクション要素を“上乗せ”してみることもオススメですよ。

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おまけその1:主演のリンダ・カーデリーニの名前を覚えて!

本作で主演を務めるリンダ・カーデリーニの名前を聞いてもピンと来ない方もいるでしょうが、ぜひこの方を覚えて欲しいです。過去にも『キューティ・ブロンド』や『ブロークバック・マウンテン』など有名作に出演していますが、近年ではさらに次々に話題作で印象的な役を演じているのですから。直近では潜水艦映画の『ハンターキラー 潜行せよ』に出演した他、アカデミー賞3冠に輝いた『グリーン・ブック』では夫の身を案じながらも優しく見守る妻を演じ、片やブラックコメディの要素が強いスリラーの『シンプル・フェイバー』では酒瓶をラッパ飲みする売れない画家と、役にもかなりの振れ幅があります。『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のホークアイの妻役で、その存在を知ったという方もいるでしょう。

本作『ラ・ヨローナ〜泣く女〜』では、リンダ・カーデリーニは「愛する子供を守るためなら何でもできる」女性を文字通りの体当たりで熱演しています。彼女は初めて脚本を読んだ時、子供たちにふりかかるひどい悲劇にショックを受け、数日は眠れなかったのだとか……ご本人はとても良い人なのでしょうね。今回の役は『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』の役を彷彿とさせるところもありましたし、出演作を追うと、さらにその存在感や魅力に気づけますよ。

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おまけその2:『死霊館』シリーズの1つ!でも、どの作品からでも楽しめる!

これまで説明していませんでしたが、本作『ラ・ヨローナ〜泣く女〜』は『死霊館』というホラーシリーズの1つとされています。

シリーズでは、これまで以下の作品が作られていました。

・『死霊館』(2013年)

・『アナベル 死霊館の人形』(2014年)

・『死霊館 エンフィールド事件』(2016年)

・『アナベル 死霊人形の誕生』(2017年)

・『死霊館のシスター』(2018年)
(※これは公開年の順番で、物語との時系列とは異なります)

いずれの作品でも、他の作品につながるアイテムや”つながり”が示されており、シリーズを通して観ることで「ああ、この時のこれがこうなのね」と気づけるという楽しさがプラスされていました。その一方で、物語としてはいずれもほぼほぼ独立しているので、他作品を観ていなくても単体で十分楽しめるというのも本シリーズの美点。また、いずれも『ソウ』や『アクアマン』などの監督でも知られる実力派のジェームズ・ワンが監督ないしは製作を務めていることも共通しており、そのおかげで一定以上のクオリティが保証されていると言っていいでしょう。

今回の『ラ・ヨローナ〜泣く女〜』も「シリーズを観ていなくても楽しめるけど、観ているとさらに楽しめる」というバランスになっています。今回から『死霊館』シリーズを観る人にももちろんオススメできますし、シリーズを追っているとニヤリとできるシーンがありますよ。

また、この作品がシリーズ化していく、同一世界の出来事の物語が連なっていくというのは映画というエンターテインメントの1つの潮流とも言えます。『アイアンマン』や『アベンジャーズ』などは“マーベル・シネマティック・ユニバース”、『マン・オブ・スティール」や『シャザム!』などは“DCエクステンデッド・ユニバース”と呼ばれるシリーズの作品ですし、5月31日公開予定の『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』も『GODZILLA ゴジラ』(2014年)から続く“モンスターバース”の最新作なのですから。(『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』から始まるはずだった“ダーク・ユニバース”は、残念ながら企画が止まっているようですが…)

この“シリーズを追える”というワクワク感はこの“ユニバース化”の形式ならでは、その楽しみがホラーというジャンルで生まれたのがとても嬉しいですね。そして、『死霊館』シリーズの最新作である『アナベル 死霊博物館』は早くも2019年9月20日公開……楽しみにして待ちたいと思います。

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おまけその3:2019年はホラー映画の当たり年!
ラインアップを紹介!

2019年は他にもホラー映画が大充実していることをご存知でしょうか。すでに『サスペリア』や『ハロウィン』や『マローボーン家の掟』や『アンフレンデッド:ダーク・ウェブ』や『コンジアム』や『ザ・バニシング -消失-』(約30年の時を経て日本で劇場初公開)などが上映された他、公開日と合わせて紹介するとこれほどのラインアップになっているのです!

2019年5月10日(公開中):『オーヴァーロード』

ナチス占領下のフランスの小さな村で、思わぬ敵との戦いを余儀なくされる軍兵士達の姿を描く。『スター・ウォーズ』や『ミッション:インポッシブル』シリーズの製作でもおなじみJ・J・エイブラムスがプロデュースしている。R15+指定。

2019年5月10日(公開中):『映画 としまえん』

都市伝説を元にしたホラー。女子大生が高校時代に仲の良かった友人たちと共に古い洋館に訪れると、メンバーが1人また1人と姿を消していく。元“NGT48”の北原里英が主演を務めた他、小島藤子、浅川梨奈、松田るかなど若手女優が共演。

2019年5月24日:『貞子』

すっかり日本のホラーのアイコン的存在となった“貞子”がまたも恐怖の対象となる、『リング』シリーズの最新作。現代を舞台にしているだけあり、YouTuberが再生回数を稼ぐために団地の火事跡に忍び込んで心霊動画を撮ろうとしたりもする。監督は1作目を手がけた中田秀夫が復帰。

2019年5月24日:『バイオレンス・ボイジャー』

アニメーションと劇画を融合した“劇メーション”という表現方法で描く、子供たちが本気で怖い目に遭うホラー……だけでなく、アクション、コメディ、クライム、ドラマ、ファンタジー、ミステリー、ロマンスなど、あらゆるジャンルを詰め込んだ内容になっている。PG12指定。

2019年5月31日:『アナと世界の終わり』

ホラー映画……とは呼べないかもしれない、まさかの“青春ゾンビミュージカル”と銘打たれた作品。田舎暮らしにうんざりしている女子高生とそのクラスメイトが、ゾンビが蔓延した町で戦う様をミュージカル形式で描く。PG12指定。

2019年6月14日:『パージ:エクスペリメント』

1年に一晩、12時間の間だけ殺人を含む全ての犯罪が合法化される法律が設定されるというホラーシリーズ『パージ』の第4作。シリーズの核となるこの法律がなぜ施行されたか、その謎が明かされる。R15+指定。

2019年6月28日:『ハッピー・デス・デイ』

誕生日に殺された主人公が、目を覚ますと……再びその日の朝に戻ってしまう!その後も自分が殺される誕生日を何度も繰り返すことになる姿を描いた“タイムループ”型のホラー。日本でもSNSで話題になっていたが、本国での公開日の2017年10月から約2年を経てのやっとの公開となる。続編の『ハッピー・デス・デイ 2U』も7月12日に連続公開。

2019年7月19日:『チャイルド・プレイ』

無邪気な姿をした人形チャッキーが襲ってくる『チャイルド・プレイ』シリーズの通算8作目かつ1988年のリブート(やり直し)作品。『スター・ウォーズ』シリーズのマーク・ハミルがチャッキーの声を務めることも報じられている。

2019年9月20日公開『アナベル 死霊博物館』

前述した通り『死霊館』シリーズの最新作。製作を務めるジェームズ・ワンによると「アナベル版『ナイト ミュージアム』になる」のだとか?シリーズで超常現象研究家の夫婦を演じたパトリック・ウィルソンとベラ・ファーミガが続役する他、『ギフテッド』や『キャプテン・マーベル』の子役のマッケナ・グレイスが出演。

2019年11月1日:『IT/イットTHE END “それ”が、見えたら終わり。』

日本でも大ヒットをした『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』の完結編。前作で生き残った子供たちが成長した姿が描かれる。アンディ・ムスキエティ監督、ペニーワイズ(ピエロ)役のビル・スカルスガルドが続投。

他にも日本公開はアナウンスされていませんが、『Pet Sematary』(『ペット・セマタリー』のリメイク)や『Zombieland:Double Tap』(『ゾンビランド』の続編)や『47 Meters Down:The Next Chapter』(サメ映画『47m』の続編)や『The New Mutants』(『X-MEN』シリーズのスピンオフのはずなのにホラーテイスト?)や『Escape Room』(脱出ゲームのハリウッド映画化)や『3 from Hell』(『マーダー・ライド・ショー』シリーズの第3弾)や『Us』(『ゲット・アウト』の監督最新作)や『Midsommar』(『ヘレディタリー/継承』の監督最新作)も日本公開が待たれるところです。

もうどれもこれも「どんなに怖くてワクワクできるんだろう…!」と楽しみな作品ばかり!ホラー映画ファンとして、2019年は忘れられない年になりそうです。

(文:ヒナタカ)

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