『奥様は、取り扱い注意』真の魅力!これは意表を突いてきた傑作だ!

10月期の新ドラマが始まったが、その中の1本『奥様は、取り扱い注意』が意表を突いてきた作品だったのでここで紹介したいと思う。

この作品、主演の綾瀬はるかをはじめ共演に西島秀俊や本田翼、広末涼子とやたら出演者が豪華なことが特徴だ。綾瀬と西島は夫婦役で、本田と広末は綾瀬の主婦友という設定である。

タイトルやここまでの設定を踏まえると、なんとなく夫婦の物語やご近所トラブルを描いたストーリーなのかな、と思う。それはそれで間違ってはいないのだが、この物語の変化球的なポイントはご近所トラブルの解決方法にある。なんと、文字通り“拳で解決”するドラマなのだ。イマイチぴんと来ないかもしれないし、こうして改めて文章にしていても「?」となるのだが、面白いのは綾瀬が「元特殊工作員」という役どころになっていることだ。

元特殊工作員役の綾瀬はるかのスキルとは

ドラマの第1話は、綾瀬演じる工作員が、いきなり中華人民共和国で拘束されている状態から始まる。いきなり急展開すぎやしないか。しかしツッコミを入れる間もなく菜美はなんなく拘束を解き、向かってくる中国人マフィアを1人また1人と薙ぎ払っていく。その動きは単なるアクションではない、しっかりと徒手拳や足技を使ってのもので、中には手先をクイっクイっと手招きポーズを取ってブルーズ・リーにオマージュを捧げているような場面もあった。ドラマの原案は金城一紀によるものだが、近年のカンフー映画やマーシャルアーツ映画の流行りに乗せた感がある。

結局彼女はこの事件を機に特殊工作員という身分を捨てて、一般人の“菜美”として暮らすことを決意。合コンで出会った伊佐山勇輝(西島)と結ばれ、優里(広末)や京子(本田)と親しくなる、のだが、とにもかくにも菜美は引退したとはいえ一般人には到底持ち合わせていないスキルがある。そのスキルを使って“ご近所トラブル”を解決していくのだから、なかなか珍しいタイプの作品ではないか。

例えば第1話では、料理教室で親しくなった主婦友のDV夫が繰り出すパンチを華麗に捌ききり逆に圧倒。

第2話では着付け教室で親しくなった主婦友を強請る恐喝グループに単身突撃。ナイフをものともせず、まさかの孫の手で余裕の勝利を収める。

第3話では偶然遭遇した学生のいざこざをやはり拳で解決。それを見ていた主婦からトレーニングを申し込まれ、彼女が受けていた主婦同士のイジメ問題すらも拳で解決してしまう。

昨今の「暴力はダメ」「暴力では何も解決しない」という風潮の中で敢えて「(ご近所トラブルは)拳で解決する」という姿勢を貫いているのが逆に潔い。アクションがテーマのドラマではないにも関わらず、そこに物語のオチとしてだけでなく、ドラマとしても“爽快感”を与えているのは面白い挑戦ではないだろうか。イマイチ設定がぴんとこないという人のために説明するならば、変な例えだがドニー・イェンがアクションスターを引退し身分を隠して暮らすものの、トラブルが起きれば持ち前のカンフーでコッソリ解決する、という感じか。

主婦が繰り出すアクション、と言っても実感が湧かないかもしれないが、主人公 ・菜美を演じる綾瀬は意外にもアクションをこなす機会が多い女優でもある。以前には勝新太郎の代表作『座頭市』を女性に置き換えた『ICHI』や、現在もシリーズの放送が続く大河ファンタジー『精霊の守り人』などでも見事なアクションを披露するなどその身体能力を生かしている。今回のドラマでも綾瀬は、岡田准一や小栗旬が学んだ“カリ・シラット”という武術を特訓しており、その成果は見事にドラマに活かされている。

綾瀬はるかと西島秀俊によるイチャつきぶりも堪能できる!

アクションとは別に、このドラマではもう1つ見所が用意されている。綾瀬と西島によるイチャイチャシーンだ。

夫婦役なのだからイチャイチャして当然なのだが、毎回毎回狙ったようなタイミングでその時間は訪れる。一応、主婦同士のトラブル対応を描く作品なので西島の出番はそれほどない。菜美の良き理解者であり(菜美の素性は知らない)、良き協力者にもなる。そんな西島演じる勇輝だが、物語が一件落着を迎えるとなぜか“男の顔”を見せるのだ。

第2話ではちょっとした下心から菜美ら主婦友が着付け教室に通い、思い思いの着物姿で夫の帰りを待つ。菜美も両手を床について勇輝を迎えたものの、勇輝は突然の菜美の振る舞いについていくことが出来ない。さらに「男の夢、叶えたくないの?」というまさかの逆“悪代官”プレイの指名を受けても勇輝は菜美の頭をポンポンして「また今度」とはぐらかしてしまう。

ところが、トラブルが解決して再び菜美が着物姿で迎えると今度は勇輝もそれを受け入れ、玄関先で菜美の帯をほどきスルスルと悪代官プレイ。さらにそのまま菜美を腕に引き寄せて──。頭ポンポンもさることながら、着物姿の綾瀬とスーツ姿の西島による悪代官プレイのなんたるいやらしさ。そんな、ファン心を意図して刺激しているとしか思えないイチャイチャシーンが視聴者の心をくすぐるのも、ある種の見どころになっている。

まとめという名の今後の考察

さて、そんな『奥様は、取り扱い注意』だが、菜美の生い立ちに関しては今のところ毎回オープニングのモノローグでほんの僅かに明らかにされていっているだけ。一気に設定を明かさず情報を小出しにすることで、のちのち菜美の過去が大きく本編そのものに絡んでくることも予想されるが、実は“ある人物”が菜美と同じく特殊部隊、或いはそれに近い役職なのではないか、という予測を立てる声がある。

その人物こそ、西島演じる勇輝だ。菜美と合コンで出会い数カ月後には結ばれた2人だが、実は勇輝の素性に関してもほとんど描かれていない。どうやらセレブに近い財力・役職は有しているようだが、どういった人物なのか分からない部分が多い。何より“あの”西島秀俊が演じることで「いつか菜美と勇輝が対決するのでは」と考える向きもある。理由は単純で、西島は『MOZU』などで格闘センスを見せているほか、小栗旬とともにドラマ『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』で綾瀬と同じカリ・シラットを特訓した過去があるからだ。

果たしてカリ・シラットの使い手が偶然夫婦役になったのか、それとも何らかの意図があってなのか。もちろんそれらは推論にすぎず、まったく当てはまらなかったり、もっと意外な人物が隠された素性を明かす、なんてことも考えられる。いずれにせよ、『SP 警視庁警備部警護課第四係』シリーズや『BORDER』シリーズなどを手がけてきた金城一紀作品であるので、何かしらのサプライズがあってもおかしくはなさそうだ。

映画にも目劣りしないアクションや夫婦の睦まじい描写だけでなく、ストーリーになにか秘密が隠されていないか手探りで細部に目を光らせてみるのも、このドラマの楽しみ方の1つかもしれない。

(文:葦見川和哉)

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    葦見川和哉 映画が好き。旅が好き。小説が好き。 映画開眼と同時に映画音楽の魅力にも取りつかれたサウンドトラック収集家。

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