『ゆずり葉の頃』の中(岡本)みね子監督 祝!山路ふみ子賞映画功労賞受賞!

■「キネマニア共和国」

毎年優れた映画人に与えられる山路ふみ子映画賞、今年の受賞者が発表され、その中ではっと目を見開かされる人物の名前がそこにありました……。

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街 vol.46》

『ゆずり葉の頃』の中(岡本)みね子監督です!
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岡本喜八監督の妻として
岡本映画のプロデューサーとして

山路ふみ子映画賞は、女優の山路ふみ子(1912~2004)が私財を投じて76年に設立した「山路文子文化財団」が授与する映画賞で、今年度の映画賞は是枝裕和監督の『海街ダイアリー』が、女優賞は樹木希林、新人女優賞は広瀬すず、文化賞は原恵一がそれぞれ受賞していますが、その中で映画功労賞を受賞したのが岡本みね子さん。
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岡本みね子さんは、『独立愚連隊』(59)や67年版『日本のいちばん長い日』などで数多くの映画ファンの支持を得てきた、日本映画界を代表する“アルチザン”岡本喜八監督夫人で、これまで『肉弾』(68)以来、多くの岡本監督作品をプロデュースし、夫をサポートし続けてきた才女です。
91年の『大誘拐 RAINBOW KIDS』では、優れた映画製作者に与えられる藤本賞を、女性として初めて受賞しています。

岡本作品以外にも、写真家・浅井慎平がタモリ主演で初監督した『キッドナップブルース』(82)や脚本家・高山由紀子監督の平安時代ファンタジー『風のかたみ』(96)などをプロデュースしています。

岡本映画のスタッフ&キャストのみならず、映画界やマスコミなどの信頼も厚く、岡本監督やみね子ママ(親しい人はみな、彼女をそう呼びます)のためならと、何をおいても駆けつけるツワモノは今も多数います。

そして岡本監督は惜しくも2005年に亡くなってしまいましたが、映画を撮り続けたいという夫の願いを受け継いで、みね子さんは今年『ゆずり葉の頃』で、旧姓・中みね子名義で(学生時代、シナリオライターを目指していた頃の初心に戻るという意味を込めて)、76歳にして映画監督デビューを飾りました!

76歳の新人監督が描く
人生の“想い”を貫くことの美しさ

『ゆずり葉の頃』は、少女の頃に想いを寄せ、今では国際的に名を馳せている画家が個展を催すことを知った市子が、たった1枚の思い出の絵を求めて晩秋の軽井沢を訪れるラブ・ストーリーです。
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これは単に老いらくの恋を描いたものではなく、人が生きていく上で“想い”を貫くことの難しさと美しさを、世代を超えて伝えようとする中監督の次世代へのメッセージにもなりえており、そのみずみずしい映像美には新人監督ならではの初々しさと、長きにわたる人生を駆け抜け続けるベテラン映画人の誇りが巧みに同居した秀作になっています。

キャストも、岡本監督が助監督時代に就いていた谷口千吉監督夫人で数々の名作に出演し続けてきた名優・八千草薫と、岡本監督とはデビュー当時からの親友でもある仲代達矢。
また岸部一徳、風間トオル、本田博太郎、嶋田久作などなど、岡本映画の常連俳優たちが競って新人・中監督にエールを送るべく出演しています。

今年5月に東京・岩波ホールで公開された『ゆずり葉の頃』は、今も全国各地で上映中ですので、ぜひ作品のホームページなどをご参照ください。
http://yuzurihanokoro.com/index.html

岡本夫妻の映画に対する想いは
これからも永遠に!

映画プロデューサー・岡本みね子&映画監督・中みね子、どちらも映画のために尽力し、日本の映画界に貢献してきたことに違いはありません。
その意味でも今年度の山路ふみ子賞受賞は当然の帰結ではありますが、やはり素直におめでとうございます! とお祝いを述べさせていただきます。
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さて、そんな岡本みね子さんの夫・岡本喜八監督の全貌を記した単行本『岡本喜八の全映画』(小林淳・著/アルファベータブックス/2000円+税)が現在発売中です。
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これは文字通り、岡本映画全39作品(サンキュー)を紹介したもので、今まで岡本映画に接したことのない若い世代などにはまたとないガイドブックになることでしょう。
また、岡本作品は音楽が常にユニークだった事実を踏まえて、ここでは各作品の音楽評も含まれています。
特に39作品中、何と32本を担当した映画音楽界の名匠・佐藤勝とのコンビネーションの素晴らしさは、スティーヴン・スピルバーグ監督とジョン・ウィリアムスの関係性に勝るとも劣らぬものがあり、まさに映画監督と作曲家の理想的ありようとして強く訴えておきたいところです。

岡本映画と中映画のこれからに幸あらんことを!

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(文:増當竜也)

映画『ゆずり葉の頃』公式サイト http://yuzurihanokoro.com/

(C)岡本みね子事務所


    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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