続・朝ドライフ

SPECIAL

2024年04月29日

「虎に翼」ウルトラマンとウルトラセブン俳優が大物政治家役で登場<第21回>

「虎に翼」ウルトラマンとウルトラセブン俳優が大物政治家役で登場<第21回>


「木俣冬の続・朝ドライフ」連載一覧はこちら

2024年4月1日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「虎に翼」。

日本史上で初めて法曹の世界に飛び込んだ女性をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。困難な時代に生まれながらも仲間たちと切磋琢磨し、日本初の女性弁護士となる“とらこ”こと猪爪寅子を伊藤沙莉が演じる。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第21回を紐解いていく。

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お父さんが罪を認めた!?

官僚や大臣たちが逮捕され日本を震撼とさせた共亜事件。取引の実務に関わったとして直言(岡部たかし)も勾留されていました。

国民から敵視される事件のため、直言の弁護人を引き受けてくれる人も現れず、寅子(伊藤沙莉)も大学に行きづらくなっていたところ、穂高(小林薫)が刑事事件は専門外ながら、直言の弁護人を引き受けようと申し出ます。
第5週「朝雨は女の腕まくり?」(演出:安藤大佑)のはじまりは不穏です。
穂高はいい人かと思えば法廷劇では男子学生のヤジを本気で止めないし、仮病を使っているようだし、本音の見えない狸親父です。たぶん、徳川家康の”狸親父”のイメージって穂高ぽい人ではないかなと想像します。つまりじつは大物なんじゃないでしょうか。

穂高を演じている小林薫さんは「カーネーション」(10年度後期)では糸子(尾野真千子)の父で、男尊女卑で家で威張ってるダメ父を演じていたとは思えない、フラットな知性を感じさせる演技です。

穂高といっしょに寅子の家にやって来た花岡(岩田剛典)は、家族同然に居座っている優三(仲野太賀)を意識しています。国民的犯罪事件を前に緊張感漂う物語が少しだけ緩みました。

また、あとで寅子が大学に復帰したとき、彼女と話すとき花岡の回りくどさを「不器用でいろいろ考えすぎちゃう人なのね。ほんとうの花岡さんは」と指摘されてしまうくだりもホッとする場面です。

穂高に促され大学に復帰した寅子ですが、また小橋(名村辰)稲垣(松川尚瑠輝)に何を言われるか……と思ったら、引きつった微笑みで迎えられます。その理由をナレーション(尾野真千子)が説明。予想どおり小橋らは悪口を言っていましたが、轟(戸塚純貴)が体を張って阻止したのです。

寅子の見ていない場面を描くとき、たとえば、昨日こんなことがあったと梅子(平岩紙)などが回想するなど、たいていは誰かの伝聞になるものです。でも、そうではなくナレーションがまるで神の目のように語ります。

ナレーションは寅子の感情もことごとく説明します。今回もよね(土居志央梨)たちがノートをとっておいてくれていたことに「じわじわ来ている寅子」などとかぶせてきます。 はて? これにはどういう意図があるのでしょうか。

客観性です。ナレーションは俯瞰して物事を見ている存在です。法律の物語なので、誰かの一人称ではなく、俯瞰して物語を見ている目線として置かれているのでしょう。裁判所にある、天秤を掲げている正義の女神かもしれません。

穂高が弁護人を引き受けてくれたにもかかわらず、直言は予審で罪を認めたため、弁護できなくなりました。
いよいよはじまる裁判の前に一時帰宅した直言は、身も心も弱りきって見えます。こういう弛緩した演技は岡部たかしさんの真骨頂。検事・日和田(堀部圭亮)に厳しく取り調べられていたので無理もありません。

でも、いわれなき罪をかぶっているのなら……。
穂高は、家族なら直言の真実にたどりつけるのではないかと、寅子に託します。
「君にしかできないことがある」と。
法を学んでいる寅子の本領が発揮されるときです。

この回、ちらっと登場した水沼淳三郎(森次晃嗣)若島武吉(古谷敏)のふたり。
クレジットに並んだふたりがSNSで注目されました。

水沼は貴族院議員で、日和田とつながっている人物。若島は逮捕された現職大臣のひとり。
森次さんは、ウルトラセブンの主人公モロボシ・ダン役、古谷さんは「ウルトラマン」のアマギ隊員かつ初代ウルトラマンの中の人(スーツアクター)で有名です。
朝ドラで「べっぴんさん」に「帰ってきたウルトラマン」の団時朗さんが出演されたこともあり、ウルトラ俳優が出るたび、盛り上がります。
地球を守る正義の人を演じたおふたりが演じる水沼と若島、はたして、いい人? 悪い人?


【朝ドラ辞典2.0 ヒーローもの俳優(ひーろーものはいゆう)】
朝ドラは国民的番組。ウルトラマンシリーズや戦隊シリーズも国民的番組。というつながりなのか、ウルトラ俳優や戦隊俳優が出演するとSNSが沸く。それだけ知名度があるということで、
ネットニュースのネタになりやすいのがメリットであろう。
年代的に、戦隊出身俳優は若手、ウルトラ俳優はシニア層の役でキャスティングされている。


(文:木俣冬)

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