俳優・映画人コラム

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2022年06月25日

“生田斗真”への期待|Netflixドキュメンタリー「生田斗真 挑む」

“生田斗真”への期待|Netflixドキュメンタリー「生田斗真 挑む」


Netflixドキュメンタリー『生田斗真 挑む』全世界独占配信中

見入ってしまった。
 
俳優・生田斗真が歌舞伎に挑戦した姿を追うドキュメンタリー「生田斗真 挑む」。

歌舞伎俳優・尾上松也が主宰する歌舞伎自主公演シリーズの最終公演『「挑む」Vol.10~完~』に特別出演した生田。初のかつら合わせの日から、公演千秋楽までの約2カ月半に密着したドキュメンタリーだ。

→「生田斗真 挑む」Netflix配信ページ

役者のドキュメンタリー、しかし多くの人の心に刺さる



「挑む」Vol.10の演目は新作歌舞伎「赤胴鈴之助」。

尾上の父、故・六代目尾上松助が子役時代に同名漫画が原作のテレビドラマ版の主役を務めている。当時はドラマも生放送の時代。録画も残っていないため、尾上は父の演技を観ることはできなかったが、思い入れのある作品だという。尾上が赤胴鈴之介を、生田は鈴之介の兄弟子でライバルの竜巻雷之進を演じた

高校の同級生だという生田と尾上は「いつか2人で同じ舞台に立つ」という約束を交わしていた。

11歳から芸能活動をスタートさせた生田と、5歳で歌舞伎役者として舞台に立った尾上。そんなふたりの稽古風景は穏やかではあるが、プロ同士の気合に満ち溢れている。歌舞伎役者ばかりの中で生田がどんな演技を見せるのか、というところがポイントではあるが、素人目から見ても生田のすごさがわかる。小さいころからの経験が必要な歌舞伎というジャンルの中で堂々とした振舞い。

同時に尾上の歌舞伎役者としての凄みも伝わってくる。足を踏み鳴らすにしても、音が違う。が、見本を見せてすぐに飲み込む生田もすごい。

37歳。芸歴はそれぞれ26年と32年、ということになるのだろうか。積み重ねてきた役者としての経験が垣間見える。



とは言え、経験のない生田が歌舞伎の舞台に上がることは異例のこと。劇団☆新感線を始めとして多くの舞台を踏んできた生田がなぜ、新しい挑戦をするのか。

ドキュメンタリーの中でのインタビューで、生田は「自分のお芝居に飽きてくる瞬間がたまにある」と言う。

「また同じ芝居やってんな、とか悲しいときってこういう顔してるな、楽しいときってこういう顔してるな、また俺同じパターンやってるよ、って悲しくなってしまう瞬間がたまにある」

歌舞伎という新しい世界で俳優としての殻を破りたい。同じ状態では満足しない。
年齢を重ねていく中で、どうやって俳優・生田斗真を改革し続けていくか。

生田と同世代からするとドキリとする言葉でもある。同じような仕事の仕方で良いのか、楽なほうに流れてしまいがちなところをどう変えていくか(これは同ドキュメンタリーの中でインタビューに応じていた小栗旬も述べている)。

生田斗真と、尾上松也のドキュメンタリーではある。が、30代から40代が観ると必ず何かが刺さるドキュメンタリーでもある。

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