『ブラック・シー』に見る新たな潜水艦映画の魅力

■「キネマニア共和国」

映画ファンの間では長らく「潜水艦映画に外れなし」といったジンクスがありました。残念ながら、最近はこの言葉を裏切る作品もないわけではありませんが(あえて作品名は挙げませんが!?)、それでもおおかたの潜水艦映画は、映画的昂揚をもって見る者を堪能させてくれます。

というわけで
《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街vol.6》

潜水艦映画の最新作『ブラック・シー』をご紹介。

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(C)2014 Focus Features LLC.ALL Rights Reserved.

戦争&軍隊映画としての側面を裏切る新手の冒険映画


潜水艦映画といえば、真っ先に思い浮かぶのがアメリカ軍駆逐艦とドイツ軍Uボートのスリリングな戦いをスポーティかつダイナミックに描いた『眼下の敵』(57)や、海中の地獄を冷徹に描いた、そのものずばり『U・ボート』(81)、日本映画にも和平交渉の密使を乗せた潜水艦乗組員たちの忸怩たる想いを描いた『潜水艦イ‐57降伏せず』(59)といった名作がありますが、これらはみな第2次世界大戦を舞台とした戦争映画です。
その他、核ミサイルの使用をめぐる米原子力潜水艦内の確執と反乱をダイナミックに描いた『クリムゾン・タイド』(95)や、また最近作『ファントム/開戦前夜』(13)のように米ソ冷戦時代の秘話を描いたものも多くありますが、総じて潜水艦映画は軍隊映画として機能するものが大半で、軍事メカとしての側面が強い潜水艦ゆえ、当然といえば当然でしょう。

しかし、この『ブラック・シー』は軍隊映画ではなく、黒海の海底に沈んだUボートの中に眠る金塊を探す男たちの姿を描いた冒険映画です。
主人公は元海軍のイギリス人で、サルベージ会社をクビになって途方にくれていたところ、仲間から金塊の話を聞きつけ、スポンサーを探してロシアの旧式ディーゼルオンボロ潜水艦をゲットし、イギリス&ロシア混合の乗組員12名で黒海へ潜っていくのです。

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