インタビュー

2014年01月09日

新米ライター・ナオの突撃レポート 映画『ジャッジ!』永井 聡監督インタビュー

新米ライター・ナオの突撃レポート 映画『ジャッジ!』永井 聡監督インタビュー

本作が長編作品“監督デビュー”となった永井監督。本作の製作に至る経緯から監督の夢・・・等など、またまた映画ライターになる夢を目指し奮闘中の私 ナオが聞いてまいりました~。

監督インタビュー


◆永井監督にインタビュー開始!


『ジャッジ!』永井聡監督インタビュー


これまで広告業界で活躍され、15秒、30秒といった時間で構成されるCM作品を手がけられている永井監督が「映画を撮ろう」と思ったきっかけを教えてください。

(永井) もともと美大生時代には映像を専攻しており、自主映画なども撮っていたので「映画」には昔から魅力を感じていました。
ただ映画監督になろうとは思っていなかったんです。卒業後、広告業界に入りディレクターをやっている中で、CMディレクターで活躍されている先輩たちが映画業界に進出されている姿をみて、自分も諦めなければ、この先「映画監督としての将来があるんだ!」と思うようになりました。

それから演出方法を工夫してみたり、映画を意識したCMを撮るようになったんです。

今回、ご自身も働いている「広告業界」を舞台に、作品を製作しようと思った決め手はなんでしょうか?

(永井) 実は、最初に脚本をいただいたタイミングで1回断ったんです!
海外の広告祭での出来事なんかも、僕たち広告業界の人間にとってはすぐイメージできますが、一般の皆さんには伝わらないのでは…と思って。
ところが、妻が脚本を読んで「面白い!」と笑っているのを見て「第三者にも伝わるおもしろさがある」と分かったんです。

そして、このストーリーはCMディレクター自身でないとリアルに描くことが出来ないと感じていました。それなら、自分が監督をする意味もあるなと思って、このお話を受けることにしたんです。

本作には個性的なキャラクターがたくさん登場しますが、ご自身は“誰”に近いと思われますか?

(永井) 僕が一番近い人物でいうと…豊川悦司さん演じる「大滝」ですかね。割とチャラチャラしてみえると思うので(笑)

てっきり妻夫木聡さん演じる主人公の「太田」なのかと思っていました(笑)

(永井) 僕はあんなに純粋じゃないです!もっとずる賢く…(笑)
実は作品に登場するキャラクターには、全てモデルが存在するんです。まだまだ僕も広告業界に残って仕事していたいので、名前を挙げる事は…控えさせてください(笑)

映画をご覧になられた同業者の方からは、どんな反響がありましたか?

(永井) 広告業界の仲間からは「リアルに起こっていることだね」と。「こんなに描いちゃって大丈夫?」と心配もされましたが!


◆驚くべき広告業界の裏側?!


『ジャッジ!』永井聡監督インタビュー

作品を拝見させていただいて、とても完成されたエンターテイメント作品だ、という印象を受けました。その一方で、「こんなこと本当にあるの?」と疑ってた部分もありまして(笑)
私には事実とフィクションの境目が分からなくなったんですが、お話いただいたように、限りなく“リアルに近いフィクション”ということなのでしょうか?


(永井) そうですね!多少オーバーに描いてはいますが、全部本当に起こっていることです。
かなり事実に忠実なエピソードも題材にしていて、CMプランナーでもある脚本の澤本嘉光さんが実際に海外の広告祭で審査員をした時には、「太田」のようにアニメのキャラクターTシャツを着ていましたね。

ちなみに…“カマキリ”は?

(永井) “カマキリ”はやってないですね(笑)

作品ではリリー・フランキーさん演じる「鏡さん」が、広告祭にメガホンを持ち込んだシーンがありましたが、実際にメガホンではなくマイクを持ち込み注目を引いた人もいたんです。

本作を演出される上で苦労された点はどこですか?

(永井) 実は広告業界ってすごく複雑なんです!
メディアごとに部署が分かれていて、さらにその先もCMプランナーやCMディレクター…など役割が細分化されているため、誰が何を担当しているか把握が難しい。そのせいで、責任の所在も分からなくなって “無茶ぶり”といったようなハプニングも起こるんだと思います。

今回、それを表現するのはとても難しい題材でした。だから、僕は「人間としての上下関係」さえ表現すれば、観客の皆さんが自分の経験に置きかえて作中のハプニングを汲みとってくれるだろう、と思って広告業界に関する説明を一切入れなかったんです。

十分汲みとれました!個性豊かな登場人物たちの“真剣な”駆け引きも、観ている側としてはとても滑稽に映り、ずっとニヤけてしまいました(笑)

本作で、観客の皆さんに伝えたいメッセージは何ですか?

(永井) この作品のテーマは“好きだったことをもう一度再認識しよう”です。
ストーリーに出てくる登場人物たちのように、大人になって言いたいことが言えなくなってしまっている人が広告業界に限らずいると思います。
そんな方々に、もう一度自分が“ここにいる理由”を思い返してもらえる作品になれば嬉しいですね。

それと、ここ数年、広告業界の元気がなくなっていると言われています。昔に比べ、華やかなイメージが減ったと思っている方もいると思います。
まずは、そういう人たちに「広告業界って面白そうだな!」と感じてもらい、CMに注目するきっかけになってくれればと思っています。

ここでシネマズから“ムチャぶり”の質問を!


『ジャッジ!』永井聡監督インタビュー


ハリウッドからオファーが来たら、どのようなテーマの映画を撮ってみたいですか?

(永井) ラブストーリーが良いですね!
実は、今まで「恋愛」を描くことを避けてきたんです。今回の『ジャッジ!』でもLOVEの要素はありましたが、やっぱり演出していてすごく恥ずかしかったですね(笑)

でも、そんな僕だからこそ表現できる恋愛モノがあるかもしれない、と思っています。
愛は万国共通なので、この普遍的なテーマで人々を感動させることが出来ればいいなと思っています。

監督が好きな映画を教えてください。

(永井) すごく好きな映画があります!トッド・ソロンズ監督の『ハピネス』(1998)という映画です。

なぜお好きなんですか?

(永井) 実は『ジャッジ!』にも通じているんですが、登場人物たちが恋愛や日々の生活に、とにかく一生懸命なんですが…その一生懸命さが、傍から見るとバカバカしくて本当に滑稽でしょうがないんです。

かなり暗い事件もエピソードとして出てくるんですが、もうそれさえも笑えてしょうがないところがツボですね。海外作品って物語全体のバランスを取るのがとても上手くて、暗い内容のはずなのに、なんでこんなに笑っちゃうんだろうって思わせる凄さがあると思います。

僕は、ずっと苦しみ続けたり、ただ深刻だというよりも、映画を観終わって“ちょっと幸せになれる”ような作品が好きなんです。
各国の文化も反映されると思いますが、『世界にひとつのプレイブック』のように病気がテーマでも明るくカラッと描いてしまう魅力があるじゃないですか。そういうのって素晴らしなと思います。

永井監督。本日はお時間をいただき、ありがとうございました!

インタビューを終えて


『ジャッジ!』永井聡監督インタビュー


これまで多くの有名なテレビCMを手掛けている永井監督。私自身も広告業界に対して漠然とした憧れを抱いていたので、とてもインタビュー当日を楽しみにしていました!

ご自身は「チャラチャラしている」なんて仰っていましたが、とても丁寧に質問に応えてくださいました。ヒットメーカーとして第一線で活躍し続ける素晴らしいセンスとともに、その才能以上に、非常にストイックな方なんだと感じました。
本作のテーマにも通じる「好きなことに対しての追求心」。そして、最後まで諦めない姿勢は私にとって刺激的であり、インタビュー終了後には『夢をかなえるためには諦めないことが近道』と声をかけていただきました。

また次の映画を撮りたいと語ってくださった、永井監督。今後の活躍にもご注目ください!!

作品紹介


ジャッジ!

恋と仕事、人生最大の審査(ジャッジ)!
妻夫木聡さん&北川景子さんが偽の夫婦役で共演し、華やかな広告業界の裏側で繰り広げられるドタバタを描いたオリジナルコメディ作品。
あなたの生き方にポジティブな力をくれる全く新しいエンターテイメント作品、映画『ジャッジ!』は1月11日(土)全国ロードショー!

永井 聡監督


1970年、東京都生まれ。武蔵野美術大学を卒業後、1994年に葵プロモーションに入社。
CMディレクターとして数々の話題作を手がけ、2012年52nd 、2013年53rd ACC CM Fesivalクラフト部門ディレクター賞を2年連続受賞。
主なCM演出作品は、ダイハツ工業【日本のどこかで】、大塚製薬カロリーメイト【とどけ、熱量。】、サントリーBOSS【ゼロの頂点】などがあり、映画は2005年『いぬのえいが』で短編監督をし、『ジャッジ!』で長編監督デビュー。

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