『シン・ゴジラ』から連想する10の映画


6.『太陽を盗んだ男』
=クライマックスが同じロケーション


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実は、終盤で矢口(長谷川博己)が指揮を取る科学技術館の屋上は『太陽を盗んだ男』のクライマックスと同じ場所だったりします。

『太陽を盗んだ男』は『日本のいちばん長い日』同じく、日本映画の金字塔と呼ばれる傑作であるので、こちらも是非ご覧になってほしいです。

7.『コンタクト』
=謎解きの過程がそっくり!


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『コンタクト』と『シン・ゴジラ』と似ていると感じたのは、“謎解き”のシーンです。

『コンタクト』では、宇宙人からの暗号のような図画を3次元にしてみることで、その意味がわかるというシーンがあります。
『シン・ゴジラ』では、折り鶴からヒントを得て、折り紙のようにすることで、牧教授の残した図面を解読できていました。この“2次元から3次元への展開で謎が解ける”ことが同じなのです。

ちなみに、『シン・ゴジラ』に登場した折り紙の図面は、タンパク質の比喩になっているという見方があります。

タンパク質はヒモ状の分子ですが、複雑に折り畳まれて立体的な形状になることで機能を発揮するため、しばしば分子生物学において“折り紙”に例えられているのだそうです。

つまり、牧博士が遺した図面は、ゴジラのタンパク質の立体構造を表したものであり、その解明がゴジラの生理機能(どう凍結されればいいか)の解明の手掛かりになったのではないでしょうか。

8.『風立ちぬ』
=直接的には死を描かない


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『シン・ゴジラ』の劇中では、ほとんど死体を見せることはありませんでした(靴を履いたままの足が瓦礫から見えているシーンはある)。むごたらしい描写ではなく、あくまで破壊された瓦礫などで、“間接的に”死を見せているのです。

アニメーション映画である『風立ちぬ』もまた、零戦の設計者の人生を描きながらも、戦争映画によくある物資不足や空襲も、直接的な死さえも描いていない作品でした。
しかし、“残骸”ではその被害がわかる……戦争で死ぬ人間を描いていないのは“あえて”なのでしょう。

これはごく個人的な印象になるのですが、『シン・ゴジラ』と『風立ちぬ』は、“作り手の、破壊をするものへの、大好きな気持ちと、嫌悪している気持ちが共存している作品”であると感じています。

『風立ちぬ』の監督である宮崎駿さんは、軍事オタクで、飛行機が大好きでありながらも、戦争を否定しているお方です。そうした自身にはらんでいる矛盾が、“戦闘機を扱いながらも(戦争による)死を描かない”という作風につながったのではないでしょうか。

『シン・ゴジラ』で直接的に死を描いてなかったのは、実際に東北大震災で被害に遭われた方への配慮と、それ以上に“大好きなゴジラが人を殺すところを見たくない(見せたくない)”という気持ちが表れた結果のように思えるのです。

9.『インデペンデンス・デイ: リサージェンス』
=描かれているのはこういう国だ!


インデペンデンス・デイ:リサージェンス


(C)2016 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved


『インデペンデンス・デイ: リサージェンス』は、前作とまったく変わらない “アメリカ万歳!”“人類皆兄弟”“細けえことはどうでもいいんだよ!”な作風がとっても素敵な映画でしたね(笑顔)。

愛国心が多分に込められているのは、『シン・ゴジラ』も同じです。

おもしろいのは、日本とアメリカという“お国がら”が両者で表れまくっていること。

例えば『シン・ゴジラ』では作戦が成功しても「うおおおー!」な感じの歓声を一切あげないのが日本人らしくて大好きだったのですが、アメリカンすぎる作風の『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』では……(言わずもがな)。

10.『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズ
=ゴジラの造形そのものが……


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『シン・ゴジラ』は庵野秀明さんが総監督・脚本・編集までを手がけた作品。その代表作である『新世紀エヴァンゲリオン』は、もっとも多くの人が連想する作品でしょう。

レーザーを発射し、ビル群を破壊するゴジラは“エヴァ初号機”そのものです。

会議シーンの雰囲気、カット割りの多さにも、『エヴァ』らしさを存分に感じられました。

英語混じりのルー大柴のような喋り方をするカヨコ・アン・パタースン(石原さとみ)は、英語が堪能で自信家ということが共通している“真希波マリ”というキャラを彷彿とさせますね。

また、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』と同時上映された短編作品『巨神兵、東京に現れる』も、『シン・ゴジラ』との共通点が多い作品です。

これは『風の谷のナウシカ』に登場する“巨神兵”が現代の東京に現れた様子を、特撮技術を用いて描いた作品。この巨神兵が放ったビームの表現や、ビルの破壊表現は、かなり『シン・ゴジラ』に似ているのです。

まとめ


ここで上げた映画以外にも、『シン・ゴジラ』に似ている作品がきっとあるはずです。

本作について議論をする際、こうした“連想する作品”を話のネタにすると、さらに会話に花が咲くでしょう。

ぜひぜひ、“オマージュ(または元ネタ)”を感じる作品を見つけてみてください。

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(文:ヒナタカ)

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