映画コラム
デヴィッド・ボウイ大回顧展『DAVID BOWIE is』が日本で開幕―その前観ておきたい映画6選
デヴィッド・ボウイ大回顧展『DAVID BOWIE is』が日本で開幕―その前観ておきたい映画6選
(c) Victoria and Albert Museum, London
音楽表現を改革したとされているボウイが2016年1月10日に他界し、世界中で衝撃を受けたファンが少なくありません。また、ボウイが京都で暮らそうと思っていたほど日本と独特な関係をもっていたことを考えると、日本のファンにとっても彼の急逝が大きなショックだったはず。
コアなファンが知らないはずがないですが、2017年1月8日から4月9日まで東京でデヴィッド・ボウイのキャリアを総括した大回顧展『DAVID BOWIE is』が開催されます。そこでボウイが出演した映画『戦場のメリークリスマス』 も紹介されますが、今一度デヴィッド・ボウイと映画との関係を振り返ってみませんか?
1:『地球に落ちて来た男』(1976年)
ウォルター・テビスの同名SF小説を映画化。ある日宇宙船が地球に落下する。地球に落ちてきた異星人は、不毛の地となりつつある母星を救うため、世界的な特許をもとにある弁護士と一緒に巨大企業を作り上げる。しかし、そのビジネスの成功が全米の注目の的となり、予想外の結果を招く。地球に落ちて来た男が故郷の星に戻ることができるのか…?
『地球に落ちて来た男』がデヴィッド・ボウイの誕生日(1月8日)と命日(1月10日)前後の日程にて現在全国22館で追悼上映されています。
2:『戦場のメリークリスマス』(1983年)
1942年、ジャワ島山岳地帯(当時日本の統治下だった)レバクセンバタにある日本軍捕虜収容所が舞台。軍曹ハラ(ビートたけし)と日本語が流暢な英国軍中佐ロレンス(トム・コンティ)、収容所長のヨイノ大尉(坂本龍一)、そしてある日そこへ連れてこられた英国軍少佐セリアズ(デヴィッド・ボウイ)。極限状態におかれた人物たち(全て男性!)を通じて大島渚監督が奇妙な友情や同性愛で結ばれる男同士の絆を描きます。
3:『ハンガー』(1983年)
現代のニューヨークで人間に紛れてひっそりと暮らす美しい女吸血鬼(カトリーヌ・ドヌーヴ)は、時代ごとに愛する人間を伴侶とするため不老不死の血と永遠の美を与えてきた。18世紀のヨーロッパでミリアムと出会ったジョン(デヴィッド・ボウイ)が彼女から吸血鬼の力を手に入れましたが、二人の間に大きな差があります。つまり、生まれながらの吸血鬼であるミリアムが人間の生き血を吸うことで永遠の若さを保つことができますが、後天的に吸血鬼となったジョンに突然老化の兆候が現れ始めるのです。
「ホラー」に分類されている映画ですが、老いへの恐怖を描く、一般的な吸血鬼映画と異なる作品です。
4:『ラビリンス/魔王の迷宮』(1986年)
主人公のサラは、空想世界で遊ぶのが大好きな少女。ある日幼い弟トビーの子守をしていた彼女が、泣き止まないトビーにうんざりして、愛読書に登場するおまじない「お願い、今すぐこの子をどこかへ連れ去って」と叫んでしまう。途端に、ゴブリンの魔王・ジャレス(デヴィッド・ボウイ)が現れ、サラの希望通りゴブリンの世界「ラビリンス」へトビーを連れていってしまう。弟を助けるためにサラが13時間以内に迷宮を抜けてジャレスの城まで到着しないといけませんが、果たしてサラが弟を取り戻すことができるのだろうか?
5:『最後の誘惑』(1988年)
マーティン・スコセッシ監督が描いた、神の予言者の役割と、一人の人間としての欲求との葛藤で悩むキリスト。
紀元前一世紀のパレスチナが舞台。ナザレのイエスは、神からの啓示を待ちわびていた。しかし、ユダによって裏切られたイエスが、ピラト総督(デヴィッド・ボウイ)の裁判を受け、ゴルゴダの丘で十字架にはりつけにされます。そこでイエスは、マグダラのマリアと結婚し、たくさんの子どもを設けてから普通の人間として死ぬという幻覚、つまり「最後の誘惑」を見るのだが……。
6:『バスキア』(1996年)
天才画家ジャン・ミシェル・バスキアを中心に80年代ニューヨークのアート・シーンを描く映画です。ストリート・アーチストだったバスキアが、ある日美術評論家ルネに注目されたことから、アンディ・ウォーホル(デヴィッド・ボウイ)に認められ、現代美術世界のスターとなった。しかし、名声を博するにつれて、孤独感も強くなっていくのだった。
ボウイがウォーホルの格好のままで街を歩いて人を驚かせたと言われるほど二人がそっくりです。
まとめ
カメオ出演も含めて、デヴィッド・ボウイが俳優としての才能を見せた映画は他にもたくさんあります。また、大回顧展『DAVID BOWIE is』の開幕を契機に回顧展で撮影されたドキュメンタリー映画『デヴィッド・ボウイ・イズ』も1月7日から全国で順次上映されます。コアなファンはもちろん、そうでない方もぜひボウイの世界に入るチャンスを見逃さないで!
(文:グアリーニ・レティツィア)
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