映画ビジネスコラム

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2017年02月13日

『レゴバットマン ザ・ムービー』が『Fifty Shades Darker』に勝利!全米興収ランキング速報

『レゴバットマン ザ・ムービー』が『Fifty Shades Darker』に勝利!全米興収ランキング速報

全米興収ランキング(2/10~2/12)


1位(NEW)『レゴバットマン ザ・ムービー』
2位(NEW)『Fifty Shades Darker』
3位(NEW)『John Wick: Chapter Two』
4位(↓)『スプリット』
5位(↓)『Hidden Figures』
6位(↓)『A Dog’s Propose』
7位(↓)『Rings』
8位(↓)『ラ・ラ・ランド』
9位(↑)『LION/ライオン 25年目のただいま』
10位(↓)『The Space Between Us』
(速報値/Box Office Mojo参照)

 今週は久々に上位陣に大きな変動があった。上位3作品を、初登場の新作が独占するのは昨年の11月の第1週目、『ドクター・ストレンジ』が公開された週以来のこと。その強力タイトルの三つ巴を制したのは、ワーナー・ブラザーズ・アニメーションの最新作『レゴバットマン ザ・ムービー』だ。
レゴバットマン ザ・ムービー


(C)The LEGO Group. ™ & (C)DC Comics. (C)2016 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.



世界中で大人気のおもちゃ、LEGOで作り上げられ、2014年に大ヒットを記録した『LEGOムービー』につづき、DCコミックのヒーロー、バットマン(もちろんLEGO製)が大活躍を見せる本作。監督は前作のフィル・ロード&クリス・ミラーに代わり、エミー賞受賞経験のあるクリス・マッケイが務めていることにも大きな注目を集めた。

3年前の同じ週に公開された前作は、3890スクリーンで、オープニング6900万ドルを記録したが、今回は4088スクリーンで5500万ドルほど。ほとんど強敵がいなかった前作と比べれば、ロケットスタートとまではいかなくとも、1位スタートを飾ったことに大きな意味があるだろう。前作の最終興収2億5000万ドルを超えることが当面の目標となるが、そのためには前作以上の口コミ力が必要となるだろう。そしてやはり、狙うべきは来年のアカデミー賞の長編アニメ賞候補。前作は主要批評家賞を総なめにしながらも、本選のノミネートを獲得できなかっただけに、その雪辱を晴らすことができるかどうか。

一方で、金曜日の興収では『レゴバットマン ザ・ムービー』から首位を奪った『Fifty Shades Darker』だが、やはりアニメーション作品を土日で封じ込めるほどの勢いはこのシリーズにはもうないのだろう。

2015年に世界的にセンセーショナルを巻き起こした問題作『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』の正統続編がついに公開したにもかかわらず、それほど大きな話題になっていないのが何よりも気がかりなことである。案の定、金曜日に2000万ドルを稼ぎ出すも、土日で大きく失速。当時2月公開作の歴代オープニング記録をたたき出した前作から、大きく数字を落とすどころか、5000万ドルにも届かない寂しい結果となった。しかも、批評は前作以上の批判の嵐。これは再びゴールデン・ラズベリー賞で旋風を巻き起こすにちがいない。

 3位にはキアヌ・リーヴス主演のアクション映画『ジョン・ウィック』の続編『John Wick: Chapter Two』がランクイン。こちらもずいぶんとひっそりとしたスタートではあるが、前作のオープニングを大きく上回る滑り出しを見せ、オープニング3日間で前作の最終興収の7割近くを稼ぎ出した。このカルト的人気作によって、長年低迷が続いているキアヌ・リーヴスに復活の見通しがようやく見えてきたと言っていいだろう。
『マトリックス』シリーズが終わってから早くも14年。多くの主演作が公開されているものの、オープニングで2000万ドルを超えたのは『コンスタンティン』と『地球が静止する日』に続き、およそ8年ぶり3度目。その2作も超えられなかった1億ドルの壁を、本作は越えることができるだろうか。その可能性は決してゼロではない。いずれにしても、さらなるシリーズ化に期待が持てる好内容だ。

これまで3週連続首位を飾っていたM.ナイト・シャマランの『スプリット』は、公開19日目となる火曜日に1億ドルを突破。
スプリット ポスタービジュアル


(C)2017 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.



まさに今年最初のサプライズヒット作となったわけだ。今週末の時点で1億1千万ドルに到達し、推移に落ち着きが出ていることから考えるに、最終的には『エアベンダー』の1億3000万ドルをかろうじて超えるぐらいだろうか。
ベストテン圏外では、毎年恒例となったアカデミー賞候補の短編作品の一挙上映が速報値20位にランクイン。近年のオープニング成績と比較してみると、一昨年は40万ドルほど、昨年は55万ドルほどときて、今年は66万ドル。年々その注目度が上がっていることは一目瞭然である。

さて来週は、チャン・イーモウ監督のハリウッド進出作となる超大作『グレート・ウォール』が公開。

すっかりハリウッドきっての大スターとなったマット・デイモンを主演に迎えた成果が出るだろうか。迎え撃つは、こちらもヒット作が相次ぐアイス・キューブと、『パシフィック・リム』の演技が印象に残るチャーリー・デイが共演したコメディ『First Fight』。この強力な2タイトルのどちらかが首位を勝ち取るか、それとも『レゴバットマン』が2週連続Vに君臨するか。来週も目まぐるしく入れ替わる全米興収となりそうだ。

(文:久保田和馬)

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