『暗黒女子』平祐奈の女優魂は『怒り』の広瀬すず以上!千葉雄大の濃厚ラブシーン!
(C)2017「暗黒女子」製作委員会 (C)秋吉理香子/双葉社
秋吉理香子の同名ミステリー小説を、NHK連続テレビ小説「まれ」の清水富美加と、『MARS〜ただ、君を愛してる〜』の飯豊まりえ、二人のダブル主演で実写映画化したのが、4月1日より全国公開中の映画『暗黒女子』だ。
公開直前に、作品本来の内容とはまた別の一件で話題になってしまった本作を、今回は公開初日の夜の回で鑑賞して来た。
観客層はやはり男性中心で、年齢層はやや高め。場内は6〜7割の入りと、かなりの好スタートを切った本作。果たして、その出来はどうだったのだろうか?
予告編
ストーリー
聖母マリア女子高等学院の経営者の娘にして、全校生徒の憧れの存在である白石いつみ(飯豊まりえ)が、ある日校舎の屋上から謎の転落死を遂げた。
彼女の手には、なぜかすずらんの花が握られていた。真相が謎に包まれる中、いつみが主宰していた文学サークルの誰かが彼女を殺したという噂が流れる。いつみから文学サークルの会長を引き継いだ親友の澄川小百合(清水富美加)は、「白石いつみの死」をテーマに、他の部員たちが書いた物語を朗読する定例会を開催する
。部員たちはそれぞれ「犯人」を告発する作品を発表していくが、それぞれの作品の内容は微妙に食い違っていた。徐々に事件の真相が明らかにされて行く中で、事態は想像を超える結末を迎えようとしていた……。
映画で不明な部分は、是非原作小説で!平祐奈の女優魂にも注目!
各登場人物の一人称により、事件の内容が多角的に語られていく原作小説。今回の映画化に当たっては、原作の登場人物が一人減らされているのだが、実は今回のこの選択は賢明だったと言える。
何故なら映画版でも小説の構成そのままで映像化しているため、同じような展開の繰り返しに、正直中盤から段々飽きてくるからだ。
ただ、ついに事件の真相が語られる終盤と大どんでん返しのラストは、やはり面白い!
特に、白石いつみの死に関する重要なあるトリック。映画を見ただけでは「えーっ、それはちょっとできすぎでは?第一、どうやって?」と思ってしまうのだが、実は原作小説では、それについても詳しく書かれている。
その他にも、映画版では主に登場人物たちの私生活描写がかなり省略されているため、映画を観て不満や疑問を持った方は、まず原作小説を読むことを強くオススメする。
それでは、映画版が小説よりも劣っているのか?と言うと、実はそう単純では無い。原作小説では上手く避けている「エロ要素」、実はこの部分の描写に関しては、確実に映画版の方が優れているからだ。
そう、今回の映画版では、どちらかと言うと中性的で清潔感があり、エロ要素的印象が薄い千葉雄大に濃厚なラブシーンを演じさせたり、敢えてその部分を恐れずに踏み込んで描いているのだ!そのため、原作小説に色濃かった青春学園物的要素よりも、ホラー的要素やイヤミス感が更に増幅され、そこがまた新たな映画ならではの魅力となっている。
特に本作で注目すべきなのは、平祐奈の存在だろう!
今年既に公開された『キセキ あの日のソビト』を始め、『きょうのキラ君』『サクラダ・リセット』などにも出演し、今後も主演映画『ReLIFE リライフ』や話題の作品『忍びの国』が控えるなど、正に2017年は大活躍!の彼女だが、本作でのある重要なシーンでの彼女の勇気には驚いた!
詳しくはネタバレになるので書かないが、去年公開の『怒り』で広瀬すずが見せた渾身の体当たり演技を超える女優魂を見せてくれるので、これを見るだけでも今回の映像化の価値と意義は充分にあった!と断言出来るほど。
女性の方や彼女のファンの方にはかなりの衝撃的シーンだが、ここは彼女の女優魂を見届けるためにも、是非劇場へ!
(C)2017「暗黒女子」製作委員会 (C)秋吉理香子/双葉社
最後に
本作鑑賞後に思ったのは、そう言えば今年公開された『愚行録』も、原作小説は同じ様な構成だったがそれを上手く映画用にアレンジして成功していた、ということだ。
本作『暗黒少女』は、敢えて小説の構成そのままに、小説では描かれていない部分を盛り込んで、生身の役者が演じるその世界観に、更に深みを与えることに成功している。これは今回の脚本を担当した岡田麿里、そして演出をされた耶雲哉治監督の手腕によるものだろう。
特に、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』や、『心が叫びたがってるんだ』など数々のヒットアニメを手がけた岡田麿里が、初めて実写映画の脚本を担当した作品として、本作は記憶に止めておくべきだろう。
10月に公開予定の広瀬すず主演による話題の映画『先生!』の脚本も、実は岡田麿里が担当していると知り、男の自分でさえ「これは劇場に行かねば!」と思ったほどの脚本の出来と、これからの邦画界を牽引するであろう若手女優が揃った、この『暗黒女子』。
原作を未読の方がラストの衝撃を楽しめるので、できれば事前の情報を入れずに劇場へ足を運んで頂ければと思う。
■このライターの記事をもっと読みたい方は、こちら
(文:滝口アキラ)
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。