サルに負けた小学生N君のことを『キングコング』を見て思い出した
サルに負けた小学生N君のことを『キングコング』を見て思い出した
(C)2016 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC., LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS, LLC AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED
動物園ではゴリラを見るのが好きなゆうせいです。ゴリラと言えばキングコングを思い出しますが、みなさんはもう『キングコング:髑髏島の巨神』をご覧になりましたか?
でっかいゴリラが暴れるだけの映画でしょ?と思っている方にこれだけは言わせていただきます。でっかいゴリラが暴れまくる最高のアクション超大作です!
大生物の前では人間がいかに無力な存在であるかをこれでもかと教えてくれます。人間の知恵を持ってすれば、武器を上手く使えば勝てるとか思っているあなたにこそ見てほしい作品です。
ただ、私は本作を見ながら小学生のときにサルに負けたN君のことを思い出さずにはいられませんでしたが…
私が通っていた小学校の横には大きめの公園があり、園内ではサルや孔雀が飼育されていました。(檻の中で)
下校時にはその公園を通って帰る児童も多く、サルと遊ぶことは珍しくありませんでした。私はサルと遊ぶというか、様子を見て帰る程度だったのですが、友人のN君はとにかくサルに餌を与えることに夢中でした。
例えば給食のみかんをあえて食べずに残しておいて、下校時にサルにあげる。サルは受けとってそれを食べる。これに無上の喜びを感じていたのです。
そう、あの事件が起きるまでは……。
Photo via Visualhunt
サルとの楽しいふれあいがホラーに変わった瞬間
ある日のこと、N君はいつものように給食のみかんをサルにあげるために、放課後すぐにダッシュで公園に向かっていきました。
私が追いついたころにはみかんは半分ほどになっており、サルも次の実を投げてくれと興奮しているところでした。
N君はいつものように喜びを感じながら、急いでみかんの皮をむき、実を投げた、そのはずでした。
しかし、慌てすぎたのか実ではなく皮の方を投げてしまったのです。
そうとは知らないサルは一目散に皮に向います。そして拾い、きょとんとした顔でN君を見たのです。
「え?これ、皮じゃん……」
と言わんばかりに。
まさかの展開にN君は自分で自分の失敗を笑ったわけですが、ここで小学生ならではの天邪鬼が出てしまったのです。
もう一度サルのあの表情を見たい……。
そう思ってしまったN君はみかんの実ではなく皮を何度もサルに与えてしまったのです。当然ながらサルだって何度も騙されないわけで、3回目からは見向きもしないように。
そこでN君もようやく我に帰り、サルに悪いことをしたなと反省し、残った半分のみかんを全部サルに与え、握手して帰ると言い出したのです。
左手にみかんを持ち、右手を差し出しながら檻に近づいて行きます。周りで見ていた児童みんながにこやかに、平和解決の瞬間を讃えようとしていました。
しかし、サルは完全にキレていたのです。N君の左手のみかんには目もくれず、右手をつかむと信じられないスピードで噛みついたのです。
あまりの出来事に記憶が途切れ途切れなのですが、
指を噛む
↓
N君絶叫
↓
児童逃散
↓
みかん落下
↓
先生駆付け
↓
保健室直行
みたいな流れだったと思います。
あんなに楽しかったサルとのふれあいが、一転してホラーになった瞬間でした。
人間はサルには勝てないんだ。気がついたら指が噛まれているほどのスピードの差が、圧倒的な身体能力の違いがあるんだと胸に刻み込まれたのです。
Photo via VisualHunt.com
サルにさえ対抗できないものが、キングコングに何ができようか
檻に入っているサルにさえ対抗できない私たちが、キングコングに対して何ができるというのでしょう。
何もできない、です。
コング様のご機嫌を損ねないように、とにかく穏便に、平に平に事を進めるしかないのです。しかし、本作では圧倒的な差があるにもかかわらず抗おうとする人間の愚かな姿が描かれています。
どうしてそんな無駄な抵抗をするのか、よしなさい、やめなさいと、N君の泣き顔を思い出しながら本作を鑑賞しておりました。
無力な人間と、圧倒的なキングコングの姿を、ぜひ劇場でご覧ください。いつかどこかで感想を語り合いましょう。
それではまた。ご存じ、ゆうせいでした。
(文:ゆうせい)
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