ニュース
日本のみんなは本当に映画好き―『コンビニ・ウォーズ』ケヴィン・スミス監督、インタビュー
日本のみんなは本当に映画好き―『コンビニ・ウォーズ』ケヴィン・スミス監督、インタビュー
ジョニー・デップの娘リリー=ローズ・メロディ・デップが映画初主演を務める映画『コンビニ・ウォーズ~バイトJK VS ミニナチ軍団~』が、今週末2017年7月1日より日本公開となる。本作でメガホンをとったケヴィン・スミス監督への、オフィシャル電話インタビューがシネマズに到着した。
『コンビニ・ウォーズ~バイトJK VS ミニナチ軍団~』ケヴィン・スミス監督インタビュー
映画『コンビニ・ウォーズ~バイトJK VS ミニナチ軍団~』は、女子高生2人がひょんなことから地下に眠っていた“ミニナチス軍団”を呼び覚ましてしまうホラー・コメディ作品。ジョニー・デップとヴァネッサ・パラディの娘、リリー=ローズ・メロディ・デップが映画初主演を務めるほか、本作でメガホンをとるケヴィン・スミス監督の娘、ハーレイ・クイン・スミス、そしてジョニー・デップが出演する。リリー=ローズ・メロディ・デップとジョニー・デップが父娘共演を果たすのは『Mr.タスク』以来となる。
ケヴィン・スミス監督
――2人の女子高生たちが呼び覚ましてしまう“ミニナチ”ですが、このキャラクターはどのようにして生まれたのでしょうか?
もともとは小さなヒトラーを作ろうと思っていたんだ。『ジェイ&サイレント・ボブ 帝国への逆襲』(2001)のジェイ役のジェイソン・ミューズにこの役を演じてもらおうと思っていたんだ。最初はグレムリンならぬヒットリーを考えていたんだよ。でもジェイソン・ミューズが髭をつけてヒトラーの衣装を被って演じてるだけだとつまんないなって思ったんだ。
――もう少し個性が欲しいと。
『Mr.タスク』(2014)もこれから製作予定の『Moose Jaws(原題)』もゴム怪獣ものなんだけど、ジェイソン・ミューズを見ていたらゴム感が足りない!ってことで、『Mr.タスク』の特殊メイクのロバート・カーツマンに話して「ヒットリーズってやろうと思ってるんだけどなんかつまんないんだよね」と相談したんだ。
――ミニナチは、監督が演じられていますよね?
僕は「ナチスはドイツから来たやつらだから、僕はドイツといえば黒い森のシュバルツバルトを連想するんだ!顔に木目調のメイクをするのはどうだろう」って言ったら、ボブが「いやいや、ドイツと言ったらブルートヴルスト(ソーセージ)でしょ!」って言われて、「ソーセージか!それじゃあジェイソン・ミューズがソーセージの格好をしている絵を書いてくれ!」って頼んだんだ。それを見た時に「これでいこう!」となったんだよ。ただジェイソンが被り物が苦手だから演じることができなくなって結局僕が代わりに演じたんだ。
写真左からハーレイ・クイン・スミス、リリー=ローズ・メロディ・デップ
――本作に出演する娘のハーレイ・クイン・スミスは、この映画についてどんなことをおっしゃっているんですか?
監督:最初にジョニー・デップの娘と自分の娘を主演にした映画を撮るってことを周囲に知らせたときはだいぶバッシングにあったんだ。「こんなのただの子守ごっこ+カメラみたいなもんじゃないか」って言われたよ。でも僕としてはどんなに酷評されようとも、娘たちが40歳、50歳になったときに「そういえばあんな映画作ったね」ていう思い出に残ることが大事だと思うんだ。その時は僕は死んでるかもしれないけどね。
――それは父として、監督としてということですね。
それに僕はこの映画は意外と長生きする映画だと思っているんだ。映画を作るっていうことはこういうことなんだって娘たちも理解したと思うし、彼女たちにとってもいい思い出になってくれたらいいなと思っているよ。この映画がきっかけで娘のハーレイも本格的に女優のキャリアを積んでいきたいと言うようになったんだ。それもまた嬉しいことだよね。
――日本版ポスターは、かなり個性的だと思いますが、監督の印象は?
日本のポスターは娘も大のお気に入りなんだ。僕は日本のポスターを見た時は涙を流したよ!壮大で楽しいワンダフルな感じがとても良いよね。このポスターをアメリカの宣伝でも使ってくれたら良かったのに!映画以上のポスターが出来たね!映画よりポスターの方が良かったよ!
――本作ではジョニー・デップ一家が総出演していますよね。ヴァネッサ・パラディとジャック・デップが出演することになった経緯は?
僕は優秀な映画監督ではなく自分のことをそこそこの映画監督だと思っているんだ。ただ自分が上手いと自負しているのはキャスティングなんだよ。キャストは毎回OKしてくれるんだ。
――どの作品でも、驚きのキャスティングをされていますよね。
『ドグマ』(1999)でもベン・アフレックやマット・デイモンなどかなり有名なキャストが参加してくれたし、『ジェイ&サイレント・ボブ 帝国への逆襲』(2001)にもベン・アフレック、キャリー・フィッシャー、マーク・ハミルなどかなり有名なキャストにたくさん出てもらっている。どうやら人を出演させる才はあると思っているよ。
――その名前が並ぶことが、本当に驚きです。
映画『コンビニ・ウォーズ~バイトJK VS ミニナチ軍団~』もロスで撮影して、バジェットもすごく小さい映画だったのが助かったんだ。
――小さいから良かった?
例えばノースカロライナへ飛んで映画の撮影へ参加してくれとなると難しいけれど、LAだったら大体みんなそこに住んでいるし、とても便利で出演しやすいといことが利点だったんだ。
――場所の利点を活かしたと。
それに役者というものはひとえにいろんな役をやってみたいというものがあって、そこが僕の強みでもあるんだ。今までにないものをやる機会を与えることができるっていうのが僕の映画の強みだよ。『Mr.タスク』(2014)や『コンビニ・ウォーズ~バイトJK VS ミニナチ軍団~』みたいな映画は他にはないんだ。彼らもビッグバジェットな映画とはまた一歩違った毛色のものをやりたいんだろうね。だからそういう意味では僕がB級映画ばっかり作ってきたのはラッキーだったんだ。
――役者心をくすぐっているというわけですね。
僕の映画はバジェットの小さい映画だから、僕の周りのスタッフも最低賃金で働いているようなものなんだけれども、意外と現場が楽しくてそれをさっさと撮れる作品ならみんなOKしてくれるんだよ。幸い僕は今までのキャリアがあるから“あの作品を撮ったあの監督ね”てことでみんなOKしてくれているんだ。『コンビニ・ウォーズ~バイトJK VS ミニナチ軍団~』という企画を気に入ってくれているかは別として、昔あの作品を撮った監督という風に思って出てくれているところもあるんだろうね。みんな僕のことを大好きだと言ってくれればいいんだけど、そうでもないと思うんだ。
――日本での公開は、監督にとっても待望だとのことですね。
僕はアメリカでずっとインディペンデント系の映画をやってきたわけだけれど、『クラークス』(1994)をやっていたときにこの映画がニュージャージー以外でウケるなんてことは考えていなかったから、他の国でウケたことがとっても嬉しいし誇りに思っていたんだ。ところが『クラークス』は他の国どころか地球の反対側の日本まで行ってしまったんだ!それはやっぱりビックリしたよ。
――自分でも予想外だったと。
だって習慣も文化も違う国で受け入れられたんだからね。当時はインターネットも無かったから情報もそんなにないはずだからね。日本で『クラークス』がウケたことを経験して、初めて俺のアイディアって他の文化でも通用するんだってことがわかったんだ。
――日本での反響は、監督にとって刺激になったと。
1994年に「サンダンストーキョー」という、サンダンス映画祭で上映された作品を集めた映画祭があって、その時に日本に行ったんだよ!すごくいい経験をさせてもらったよ。日本のみんなは本当に映画好きだってことを知ったしね。僕も日本のフィルムメーカーから影響を受けている監督だから、その場に行くことができてすごくインスパイアをされたよ。ということで日本のみなさんには恩恵を感じているんだ。
――日本のファンに向けて、監督から伝えたいことは?
まず日本のみなさんは『Mr,タスク』を受け入れてくれた。アメリカでは、映画祭でウケたけど興行的には芳しくなかったからね。『Mr.タスク』が無事日本での公開しようとしている時に、友達がたまたま日本の宣伝の様子を写メで送ってくれたんだ。それで僕は感動して、これは日本のみんなに受け入れられたことがわかったし、さらに小島秀夫さんからもコメントをいただけることができた。さんざん『コンビニ・ウォーズ』が酷評されていた時期に『Mr.タスク』の日本の宣伝を目にすることができてとっても嬉しかったよ。
劇場では当たらなくてもビデオではカルト的に売れるっていう確信はあったけれども、それにしても日本の反響は嬉しかったんだ。そしてもう一つ日本の反響で嬉しかったことは『コンビニ・ウォーズ』のポスターなんだ。地球の反対側にいる日本のみんなが心底俺のこの作品を理解してくれてるんだと思えて涙を流したよ!日本のみんなに俺の作品を理解してくれてありがとうと伝えたいね!
映画『コンビニ・ウォーズ~バイトJK VS ミニナチ軍団~』は2017年7月1日(土)より、新宿シネマカリテほか全国順次公開。
(C)2015 YOGA HOSERS, LLC All Rights Reserved.
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。