インタビュー

2019年02月19日

「劇場版 仮面ライダーW」応援上映イベントで制作秘話や松岡充への熱烈オファーが明らかに!

「劇場版 仮面ライダーW」応援上映イベントで制作秘話や松岡充への熱烈オファーが明らかに!

2019年2月16日(土)東京・渋谷TOEIにて「平成仮面ライダー映画リバイバル上映会イベント」が開催。このイベントは『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』の公開を記念し、同作に加え、「みんなで応援したい平成仮面ライダー映画」の投票で1位を獲得した『劇場版 仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ』(2010)を応援上映するというもの。



左から、塚田英明プロデューサー、坂本浩一監督、三条陸さん
脚本家の三条陸さん、塚田英明プロデューサーがトークを繰り広げ、さらにゲストとして、「運命のガイアメモリ」のメガホンをとった、坂本浩一監督がステージに立った。

「応援上映したい映画No.1」を獲得した感想を尋ねられると、「うれしかったですね」と顔を見合わせる三条さんと塚田P。

「街に救われたな、仮面ライダー」という劇中のセリフが好きだと話した塚田Pは、「それにリンクするところがあって、この映画が1位を取ったのではなく、皆さんに取らせていただいた、そんな感じです」と笑顔を浮かべ、「今日は、いいことを言おうと思って来ました(笑)」と続けた。

三条さんは「映画の構造自体が、最後に逆転するときにみんなで仮面ライダーを応援するという、斜に構えた映画ではなく熱い映画なので。公開当時も子供たちが『仮面ライダー!』って叫んだのを劇場で見ていましたし、皆さんの中で変わらずWが1位というのがうれしかったです。俺も投票するならこの作品だなと思います(笑)」とコメント。




さらに、今回客席に混じって一緒に映画を観ていたという三条さんは、塚田Pと坂本監督から「それぞれのキャラクターに決め台詞を持たせて、ここぞというところで使いたいという要望があった」と執筆時を振り返り、「そこに皆さんが合いの手を入れてくださるので、考えた甲斐があったなぁ」と、8年の時を経ての応援上映に思いを馳せた。

そして、サプライズで客席から登場した坂本監督がステージに飛び乗ると、客席から悲鳴のような歓声が上がった。

今作が初めて監督を務めた仮面ライダー映画となった坂本監督は、「歳をとると涙もろくなって、ジーンと涙を流しながら見てました」と挨拶。

坂本監督を迎え、話題は改めて今作の制作の裏側について。最終回間際の劇場版ということで、照井竜と鳴海亜樹子の関係やシュラウドの正体についてなど、ラストに向かう展開を断片的に想定しながら、脚本を作っていったという。




そんな話のなか、塚田Pが「ディレクターズカット版で監督変なの撮ってたじゃないですか。あれは切って正解だったなと(笑)」と坂本監督に話しかけると、「劇場版はね」と監督は苦笑。MCからは、気になる方はディレクターズカット版でチェックを、と補足が入った。

一方、三条さんは「この2人は最初に大量の要望を…。塚田さんがまずそういう方なので、田﨑組のときもそうなんですが。坂本監督もこういうアクションをやりたいとか、『仮面ライダーの映画が初めてだから、ものすごいバイクシーンを撮りたい!』とか、かなり山盛りなので、塚田さんと監督のいうことをまず全部入れて箱を作ると、もう箱は埋まってる。だから、その見せ場をどこにはめようかなと考えて…」と相当な苦労だったことを明かした。




それを聞いた監督は「初めて仮面ライダーの映画を監督するということで、こちらとしては『やる気満々だぜ!』と(笑)。それはアレですけど…」と、まさかの『百獣戦隊ガオレンジャー』のガオレッドの決め台詞を交えて会場を沸かせ、さらに「自分がこういう仮面ライダーを観たい!というものをすべてリクエストさせていただいて。当時の潤沢な制作予算によって…」とギリギリのトークを繰り広げた。

そんな坂本監督のリクエストにより、ワイヤーアクションやバイクアクションなど、W以前ではやっていなかったという新しいことをいろいろ試した作品に仕上がったという。

撮影現場の思い出について尋ねられると、坂本監督は現場は基本的にいつも楽しいと語りながら、「今ではマスターですけど(笑)、菅田くんが初めての泣き芝居だったんですよ。どういう風に感情をもっていっていいかわからなかったところもあって、わいわいがやがやとコミュニケーションをとりながら作った作品ですね」と振り返る。それを聞いた塚田Pも「菅田くんはこの作品がデビューで。今度の映画はフィリップメインでいきますと決めたときは、ちょっとざわつきましたよね。でも見事に大役を果たしてくれて、よかったなと思いますね」と語り、坂本監督も相槌をうっていた。

続けて、「三条さんの脚本は絵が浮かんできやすい。熱い展開と整理されたキャラクターと各自の見せ場というのが読んだ段階からビンビンくるんですよ! だから撮るときに悩むことがなくて、全部がクライマックスっていう感じで撮ったんです。ありがとうございます」と三条さんに頭を下げる坂本監督。そんな監督に、「監督はいつもクライマックスで撮りがち(笑)」とつっこみを入れる塚田Pだった。




そして、今作のゲストとして仮面ライダーエターナル/大道克己を演じた松岡充さんの話題が飛び出し、「これは一緒にやってた高橋プロデューサーが…」との塚田さんの言葉に、客席から高橋一浩Pが登場。

「松岡さんにお願いしようと思ったのは、完全に僕や塚田さんの青春時代の憧れで。骨太なテーマ性の詩を書いているということもあって、『松岡充さんでどうですかね?』と話したんです。『街』っていう曲があるし、『W』も街をテーマにした作品だからぴったりだよ!って、塚田さんは決まってもないのに『街』を聞きながら仕事をしてて。僕は僕で、青春時代の思い出とか熱い想いをしたためたメールを送ったんです」と高橋P。

ライブ期間中だったため、終わるまで返事を待ったとのことで、「ツアーが終わって返事をもらったときには、『松岡に会ってください』と言われて。塚田さんと2人で会いに行ってご説明し、青が差し色で入っていて、イメージカラーとも合っているからと、トントンと進んだ記憶がありますね」と、当時の熱さを滲ませながらひと通り話し、「長かったですかね。すみません」と言って、スッと客席に戻る高橋Pに拍手が起こっていた。




また、三条さんはガイアメモリの26個のアルファベットを埋めることやエターナルのネーミングについて相当苦労したそうで、「Eは最初別のワードだったんですけど、エターナルの頭は3本角でEになっているんです。デザインが先に決まっていたので、Eでかっこいい名前を考えないといけなくて…。いっぱいEの付くものを考えたんですけど、いちばんロマンチックですごそうで、メモリを全部停止させる能力もあったので、永遠ってすごいな、エターナルでどうですか?って聞いたら、いいんじゃない?ってなりましたよね?」と振り返ると、「全部“ル”で終わるんですよね。ダブル、アクセル、スカル…」と塚田さん。「そうだ! “ル”で考えてくださいっていわれたんですよね!」とちょっと恨み節な三条さんだった。

現在『週刊ビッグコミックスピリッツ』で連載中の『風都探偵』にも話題がおよび、誕生の裏側には、『仮面ライダージョーカー』として1年間1人で戦っていた翔太郎の話をやりたいという編集者の希望と、「フィリップがいない悲しみをこらえて戦う翔太郎の姿を延々とやるのは、書くほうも読むほうもつらい」という三条さんの意見から、実写ではできないこともできる漫画ならではのことをしよう、とストレートな続編という形に落ち着いたことが明かされた。さらに、媒体が青年誌であることから、『仮面ライダーW』を知らない人も楽しめるよう、あえてタイトルに仮面ライダーと入れず、あくまで探偵モノとして描くことで、「初見の読者にも楽しんでもらいたい」という思いがあったことも三条さんから語られた。

『週刊ビッグコミックスピリッツ』2月25日発売号から「ビギンズナイト編」がスタートすることから、Twitterで話題となった君沢ユウキさんのグラビアにも触れ、塚田さんが「小学館さんの英断で、普通のグラビアとしては…あまりないものがみられると思います。何か出してるっていうのは言っていいの?」と話すと、客席から笑いが起こった。「断言はしなけど、みなさん薄々お気づきになってるんじゃないかと…」と、三条さんが言うと、坂本監督も「それは普通に販売していいやつなの?」とまくし立て、塚田さんは「僕と三条さんの悪ノリを君沢くんがきいてくれました」とファンの期待を煽った。

サプライズでサイン入りコミックスや『風都探偵』のTVCMの撮影に使われたビジュアルボードなどが当たる抽選会が行われたあと、3人から締めのコメントが。




塚田Pは「僕にとってWはずっとやっていたい作品。皆さんにこんなに愛していただいて、10年くらい経った今でも集まって応援していただけてうれしく思いました。『風都探偵』もまだまだやっていますし、これから何があるかわからないので、まだまだ応援し続けてください!」と改めて感謝を届け、坂本監督は「Wが10周年ということは僕が日本に来てからも10周年なんです。ぜひ、新作の『W』のオファーを待ってます! 僕にとっても記念の作品なので、また何かあればぜひお願いします。あと『スーパー戦隊最強バトル』も明日から4週連続で、高橋Pと頑張って作りましたので楽しみにしててください!」とコメント。

最後に三条さんが「塚田さんの言葉を借りれば、僕にとって『W』はいつまでもやってる作品なんですけども(笑)。本当に、みなさんが10年くらいの間、変わらぬ熱量で愛してくれているおかげで、漫画もヒットしましたし、その前のノベルも好評で、いつ『W』のものが出ても皆さんが迎えてくれるのはすごいことだなと思って。変わらぬ熱量を感じています。我が家にあるおもちゃも10年選手で、ボタン電池を変えては使い続けていて、頑張ってくれています。息の長いキャラクターで、これからもこんな風に何か切り取ってもそこから生まれてくるじゃないですけど、続きがあれば、自分でも楽しくかけて、新しいことができて、みなさんがまた迎えてくれるという、10年かけて熟成された作品になったような感じがしますし、一緒に映画を観て、みなさんのテンションを浴びて、そういう風になりつつあるなと実感が湧いて感激しました」と、舞台挨拶を締めくくった。

(撮影・取材・文:大谷和美)

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