『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』誰もが気になる「3つ」のポイントとは?



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トム・ホランド主演によるリブート版最新作『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』が、いよいよ6月28日から劇場公開された。

全世界に先駆けて日本が最速公開となる上に、先頃公開されて大ヒットを記録した『アベンジャーズ/エンドゲーム』のエピローグ的内容となることもあって、公開前からファンの期待も高まる一方だった本作。

そんな話題作を、今回は公開二日目の最終回で鑑賞してきたのだが、果たして予告編通りの内容だったのか、それとも更なる展開が待っているのか。気になるその真相とは?



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ストーリー


アイアンマン=トニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr.)を失った悲しみに世界中が暮れる中、元の高校生活に戻ったピーター・パーカー(トム・ホランド)は、クラスメイトたちと夏休みの旅行でヨーローッパへ。
そこへ現れたニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)から、ある任務への協力を要請されることになる。『エンドゲーム』の戦いにより、別次元への扉が開いたことで、更なる危機が迫っていたのだ。
フューリーは別次元からやってきたベック(ジェイク・ギレンホール)=ミステリオと名乗るヒーローと共に、この脅威に立ち向かうことをピーターに命じる。学生らしい夏休みの計画を立てていたピーターだったが、クラスメイトの危機を救うため、過酷な任務に挑んでいく。


予告編


ポイント1:肝心なヴィランの扱いが気になる!



今回の基本的なストーリーは、夏休みの旅行中にピーター・パーカーが遭遇する大事件と、『エンドゲーム』での戦いによって開かれた別次元の扉から現れた、ベック=ミステリオと名乗る謎のヒーローとの共闘が描かれることになる。

そう、既に予告編でも明らかにされている通り、本作最大の見どころにして最大の謎は、原作コミックではヴィラン(悪役)としてスパイダーマンを苦しめたミステリオが、何と今回は別次元からやってきたヒーローとして、スパイダーマンと共闘する! という設定にあるのだ。



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それだけに、既に鑑賞前からファンの間では様々な憶測が飛び交っていた本作。

だが、そうなると気になるのは、今回のヴィランがいったい誰なのか? ということ。

公開前の情報では、前作に登場した"ヴァルチャー"がカメオ出演するとの噂が聞こえてきたり、予告編に登場する3体の巨大なモンスターが、原作コミックに登場する"ハイドロマン"、"モールトンマン"、それに"サンドマン"なのでは? という情報がネットで見かけられただけに、実際に劇場で観るまでは期待と不安で一杯だった。そんな想いで劇場に足を運んだ方も多かったのではないだろうか。

もちろん、ここでその核心に触れることは避けるが、若きピーター・パーカーに対して現実社会の汚さと複雑さを教えるという、前作の"ヴァルチャー"が担っていた役割は踏襲しつつも、今回のヴィランに関しては相当な捻りを加えた展開が用意されているので、ご安心を!

ただ、彼が悪の道に墜ちた動機や目的が復讐のためなのか、それとも自分がヒーローとして認められたかったからなのか、それとも単に狂人だったからなのか? その部分が観客によって様々な取り方ができる描き方となっているので、「ヴィランの目的がいまいちはっきりしない」との感想を持たれた方も多かったようだ。



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実は今回、予告編の内容が本編の核心にかなり触れていたため、極力前情報を遮断して鑑賞に臨んだのだが、結論から言うとそこまで神経質になる必要は無かった本作。

何故なら、多くの方がレビューや感想でも書かれている様に、公開前の情報から予想していた内容とはかなり違っていたからだ。

もちろん最大の秘密に関しては絶対に知らない方がよいが、今回は映画単体として、原作コミックの知識が無くとも大いに楽しめる内容に仕上がっていることは間違いない本作。

ただ、過去作の『キャプテン・マーベル』と『エンドゲーム』、それに出来れば『アイアンマン』の1作目は、事前に復習しておくとより楽しめるので、時間に余裕のある方は是非!

ポイント2:ピーターの将来と、アイアンマンの後継者問題が気になる!



本編中で繰り返し登場する「新しいアイアンマンが必要だ」のセリフが示す通り、アイアンマンの後継者として、若きピーター・パーカー=スパイダーマンがその責任をどう受け止めるのか? 本作ではこの重要なテーマに対するピーターの葛藤と苦悩、そしてヒーローとして一歩成長する姿が描かれることになる。



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本作の壮絶な戦いの中で時に失敗を繰り返しながらも、人々を守るヒーローとして逞しく成長を遂げたスパイダーマン。

だが、確かにピーターが言う通り、スパイダーマンの有名なキャッチフレーズである「あなたの親愛なる隣人」と、「無敵のアイアンマン」との間には、相容れない部分が多いのも事実。

思い返せば、初の実写化となった70年代のテレビシリーズの中に、誘拐される海外の要人を追跡する途中でも、車に轢かれそうになった女性の方を優先して助けるという描写があったほど、スパイダーマンは一般市民が困った時に、そばにいて助けてくれる存在=隣人としてのイメージが強いのだ。

では、他のヒーローに比べて遥かに経験の少ない高校生のピーター・パーカーに、トニー・スタークがこれほど期待しこだわった理由とは何か?

実はそれは、彼のクモ糸や特殊能力が決して人を殺したり傷つけたりしないものだからであり、自身も過去に"武器商人"として兵器を開発し、間接的に戦争に関与してきたトニー・スタークが望んでも手に入れられなかったものを、ピーター・パーカー=スパイダーマンが持っていたからに他ならない。

実際、『シビル・ウォー』で彼をアベンジャーズに引き入れたのも、スパイダーマンのクモ糸がキャプテン・アメリカを傷つけることなく無力化・捕獲できるからなのだ。



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全身が武器の固まりであり、原作コミックのタイトル通り「無敵のアイアンマン」であるトニー・スタークにとっての、精神的な憧れがキャプテン・アメリカだった様に、その強さや能力の理想像であるスパイダーマン=若きピーターの将来と無限の可能性に自身の遺産を託したのでは? そう考えて鑑賞するのも、本作を楽しむための一つの方法と言えるだろう。

今回非常に重要な選択を迫られたピーターだが、高校生の少年が自身の幸せや生活を捨てて、ヒーローとして戦いに身を投じるには、やはり更なる成長と経験が必要なだけに、その結論は次回作に持ち越された感がある本作。

果たして、次回作では彼にどんな試練と成長の機会が待っているのか?

今はただ、より大人になったピーターとの一日も早い再会を待つばかりだ。

ポイント3:怒濤のアクションに、今後の展開が気になる!



※ここからは若干のネタバレを含みます。
 映画鑑賞前の方は、鑑賞後に読むことをオススメします。


今回のアクションシーンの凄さについて語ると本作の大きなネタバレに繋がるため、詳しく書くことは控えるが、ヒーロー対ヴィランの直接対決といった部分を更に一ひねりして、ピーターの精神的弱さを攪乱する攻撃の凄さは、正に原作コミックを超える迫力に満ちていて必見!



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加えて、実は今後のMCU作品展開へのヒントや布石も数多く含まれている、この『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』。

例えば、本編中に登場するトニー・スタークの追悼映画のタイトルが『Heart of Iron』という時点で、反射的に「アイアン・ハート」を連想したアメコミファンの方も多いはず!

事実、「世界が次のアイアンマンを求めている」とのセリフが本編中にも度々登場するだけに、個人的にもこの部分には、かなり期待せずにはいられなかったと言っておこう。

更に、ピーターが本編中に着用する黒いコスチュームについて。

事前情報では"ステルス・スーツ"だとされていた、この黒いコスチュームだったが、残念ながら本編中でその特殊能力は披露されておらず(アメリカで発売されたフィギュアでは、ちゃんと"ステルス・スーツ"と明記されている)、しっかりクラスメイトにその姿を目撃されていたりするのだ。

ただ、この黒コスチューム姿のピーターが、別のヒーロー名である"ナイト・モンキー"と呼ばれる描写が繰り返し登場する点や、エンドクレジット後の展開を踏まえて考えると、ひょっとして原作コミックの「アイデンティティ・クライシス」へと繋がるのか? そんな期待が膨らんでしまうのも事実。



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ちなみに、本作でピーターの友人として登場するベティ・ブラントの名前が、実はエンドクレジット後の展開へのヒントとなっているので、原作コミックファンの方はお見逃しなく!

この様に、次回作が公開されるその日まで観客が自由に想像・予想できるのも、MCU作品の大きな魅力であり、楽しみ方の一つなのは間違いない。

日本が世界最速の上映となるこの機会に、是非劇場でご鑑賞頂いて、自分なりの次回作予想を思い浮かべて頂ければと思う。

最後に



これまでのMCU作品において非常に楽しみだったのが、エンドクレジット後に登場する二段構えの"お楽しみ映像"!

だが本作に関しては、せっかくの本編の余韻を少なからず損ねてしまっているのでは? 残念ながらそう思わずにはいられなかった。

何故なら、前作『スパイダーマン:ホームカミング』における"ヴァルチャー"の役割を見事に引き継いだ今回のヴィランの行動が、この"お楽しみ映像"によって本編終了後に一気に覆されてしまう展開が、どうしても受け入れられなかったからだ。

確かにMCU作品の次のフェーズが、今後どこまで拡大するか? そのヒントを与えてくれる重要な映像だけに、この辺はやはり観客への配慮が必要だったのでは? そう思えたのも事実。

加えてスッキリしなかったのは、やはり『エンドゲーム』で描かれた"空白の5年間"の問題だった。

この暗黒の時代の後遺症を、アメリカ以外の人々が既に克服したかの様に日常生活を送っている点や、具体的にピーターの周囲の人間関係の中で、誰が消えて誰が消えなかったのか? その重要な部分がきちんと観客に説明されていないことも、作品世界に入り込むためのノイズとなってしまっているのは否定できない。

実際、MJが5年分成長しているかの様にも見えた、との意見もネットで散見できただけに、『エンドゲーム』の正統なエピローグとして、やはりこうした"影の部分"や"負の遺産"をもっと描いて欲しかった! そう思えたのも、ファンの偽らざる気持ちと言えるのだ。



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ただ、逆に今回一番スッキリしたのは、本作の"お楽しみ映像"を観て「あ、これなら『X-MEN: ダーク・フェニックス』の内容変更も納得できる」そう思えたことだった。

ただ、その反面『キャプテン・マーベル』を未見で鑑賞に臨むと、エンドクレジット後の展開の意味が分からなくなってしまうので、この点はやはり注意が必要だろう。

実は今回重要だったのが、ピーターの周囲の人間関係の中で、彼に恨みを持つ人間が誕生したことが匂わされる点だった。

この部分は、今回のヴィランの誕生理由を連想させるだけに、次回作では実社会とスパイダーマンとのより現実的な問題が描かれるのでは? そんな期待を抱かずにはいられなかったと言っておこう。

既にネット上では、次回作にデッドプールやヴェノム出演の可能性も囁かれているなど、その展開や内容への期待が高まっている、このリブート版シリーズ。

もちろん、ピーターのヒーローとしての自覚や責任感の芽生えに加えて、MJとの恋愛模様や素晴らしいアクションが次々に登場する展開は、やっぱり劇場の大スクリーンで観てよかった! そう観客に思わせるもの。

アメコミ映画やアクション映画には終わらない、ひと夏の青春恋愛映画としても傑作なので、全力でオススメします!

(文:滝口アキラ)

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