田中みな実 「結婚はたくさんの選択肢があっていい」主演映画『ずっと独身でいるつもり?』完成披露試写会
ずっと独身でいるつもり?』完成披露試写会 画像ギャラリーはこちら
現代を生き抜く女性の抱える不安、寂しさ、希望をていねいに描いたおかざき真里原作「ずっと独身でいるつもり?」の完成披露試写会が、10月19日(火)ニッショーホールで行われた。
主演の田中みな実をはじめ、市川実和子、松村沙友理、徳永えり、稲葉友、ふくだももこ監督が出席。冒頭の挨拶で田中は満席の会場を見渡しながら「たくさんのお客さんにお越しいただいてすごく幸せです。お金を払って時間を作って、映画を観に来ていただけることがこんなに素晴らしいことなんだとはじめて実感しています」と笑顔を浮かべた。
市川は「これからご覧になるということで、お楽しみに!」と呼びかけた。松村は「作品が大好きという想いを込めた映画です。(今日の試写会で)一足早く観ていただいたみなさんの反応が気になります」と興味津々の様子。徳永は「私自身、お客様を入った舞台挨拶は数年ぶりです。お客様がいてこその映画なんだと感じています。本当にうれしいです」と微笑んだ。稲葉も来場者の顔を見渡しながら「こちら側から見える景色にグッときています。この景色が当たり前ではなくなった今、こうやって映画を届けられる日が来たことをうれしく思っています」と感謝を述べた。
ふくだ監督は「久々にこういう景色が見られて……」と溢れる涙を堪えながら、「昨年も監督した映画が公開になったのですが、舞台挨拶は1度もありませんでした。1度もお客様の顔を見られなかったので……」と言葉につまる場面も。「お客様の顔があり、スクリーンがあり、作品を観て気持ちを持ち帰ってもらうのが映画です。本当にうれしいです」と涙ながらに挨拶をするふくだ監督に会場からは大きな拍手が贈られた。
映画初主演について田中は「主演と言っても名ばかりです。これは、4人の女性の話です。撮影もそれぞれ行ったので、本読みのときと今日で、ようやくみなさんとお話ができました」と登壇者の顔をそれぞれ覗きこみながら、うれしそうな表情を浮かべていた。役作りは特にしなかったという田中は「(演じた)まみとは30代半ばの独身で働いている女性という共通項で一緒くたに扱われてしまいがちですが、まみと私を切り離してご覧いただいたほうが、(映画が)観やすいかなと思っています」とコメント。
続けて、「“田中さんの人生そのままですね”、とか“田中さんのままですね”と言われることも多いので、そういう感想を持つ方は多いかもしれませんが、似ていないと思います」と改めて役と自身との違いを笑顔で指摘した。似ていないキャラクターでも、共感できるところはあった模様。「私も20代後半くらいのときには、結婚をひとつの逃げ道として考えたことがあったなと懐かしく思ったりもしました。今は、結婚したくないとも思っていないし、しないと決めているわけでもありません。自由であっていいはずで、たくさんの選択肢があっていいのに、決めつけられてしまったり、周囲の雑音にとらわれてしまうことが多いと感じている部分は、共感できると思いました」と説明し、「映画を観て、自分の生き方を肯定できる気持ちになっていただけたらうれしいです」と気持ちを語った。
SNSで自分の思いを吐き出すキャラクターを演じた市川は「すごく性格の悪いキャラクターなんです。飾らずに思い切り、剥き出しのままに演じました」と笑顔を浮かべつつ「地なのか、そうではないのかはわかりません。とにかくとても性格の悪い役なのですが、その性格の悪さに惹かれてやってみたい!という気持ちにもなりました」と振り返り、「ヒール的な感じなのかな?」と由紀乃の役割を解説。「そういうキャラクターも楽しんでしまうタイプなので、よろこんで挑みました」と役への想いを明かした。
原作にはないキャラクターを演じた松村は撮影を振り返り、「全部、印象に残っています。撮影はとても大変でした」とふくだ監督の顔を覗き込む。ふくだ監督の「松村さんが真剣に美穂という役に向き合っている姿が見られて良かったです」という言葉に、「必死な気持ちでいっぱいで、あのシーンはこうでした、このシーンはあんな感じでした、と丁寧に振り返られる余裕がなかったです」と答えながらも「美穂とともに私自身も成長できました。監督とたくさんお話しながら、作り上げていった役です」と胸を張った。
徳永は「監督が私の子ども役の赤ちゃんを、すきあらば抱いたり、ほっぺをぷにぷにしたりして過ごしていました」と撮影時のふくだ監督の行動を嬉しそうに暴露。演じた彩佳については「結婚もして、出産もしていて、傍から見たらとても幸せに映るし、彼女自身も幸せだと思っています。でも、周りからは見えない寂しさや、悲しさを持っているキャラクターです。そんな気持ちを持っていることをはっきり表現するわけではないけれど、監督が理解して掬い取ってくれた気がします」と明かした。
演じたキャラクターについて稲葉は「男の人の“そういうとこあるぞ”という要素が、6、7人分入っている気がします」と解説。「僕の役の言動にいろいろな感情が湧くと思いますが、楽しんでもらえたらうれしいです」と呼びかけた。稲葉の演技に対し田中は「リアリティ溢れる感じで、端々で女性を傷つけるような言動をするんです」と振り返り、「“何がいけないの?”と感じる男性もいると思うし、女性はモヤモヤっとするところがすごく分かると思います。それを稲葉さんが見事に体現しています」とアピール。そんな田中に「(モヤモヤするのは)役がですよね?」と確認し、笑いを誘っていた。
稲葉は田中との撮影の前に「田中さんの写真集を見たり、ラジオを聴きました」と明かす。その理由は「(田中が)どういうスタンスで現場に来るのか分からなかったから」だという。「恋人という設定上、フラットな関係ができればいいなと思っていました。実際の田中さんは、居心地のよい空気を作ってくださり、すごくやりやすかったです」と振り返ると「無理に褒めなくてもいいですよ」と田中が謙遜する場面もあった。
産後半年ほどで撮影に入ったというふくだ監督は「朝は早いし、夜は遅い。慣れないこともたくさんやっている時期だったので、現場でグダグダなときもたくさんありました」と反省しつつ、「キャストの方に助けてもらいました」と感謝を伝えた。「完成した映画を観たスタッフから、“自分のことかと思った”“すごく良かった”と共感の声をたくさんいただきました。作品を俯瞰して観ることも大切だと学びました」と語った。
田中については「プロフェッショナルという感じです。脚本の打ち合わせで会って、たくさん話をしました。田中さんがキャラクターについていろいろと話してくださったことが指針になり、まみの軸が出来上がりました。田中さんだからバシッと決まった部分があり、とても心強かったです」と満足の表情を浮かべた。田中は「映画の現場は、灰皿とか投げられるのかな、なんてイメージもありましたが、とてもあたたかい空気に包まれていました。スタッフさんの“監督についていきます”という気概を感じつつ、ほっこりする現場でした」とふくだ組の現場の様子を明かした。
最後の挨拶で、田中は「結婚できない、結婚しないという話の映画ではありません。それぞれの生き方、選択があっていいのではということを描いています。自分の歩んでいる人生において、少しでも背中を押してくれる作品になれたら幸いです。キャスト・スタッフ一同がんばって作った作品なので、楽しんでいただけたらうれしいです」と呼びかけ、イベントは幕を閉じた。
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