劇場版『きのう何食べた?』:日常を生きて、悩む。でも美味しい料理が心を温めてくれる。
シロさんとケンジが映画になって帰ってきた!その知らせを聞いて歓喜している方も多いのではないだろうか?
劇場版『きのう何食べた?』が2021年11月3日(水)より公開中だ。よしながふみの原作漫画が2019年にドラマ化され人気を博した。
料理好きのシロさんこと弁護士・筧士郎(西島俊明)と、恋人の美容師ケンジこと矢吹賢二(内野聖陽)。一緒に暮らす男性カップルの悲喜こもごもと食卓を彩る料理が視聴者の心をつかみ、放送終了後は日本中で「何食べロス」が続出したほどである。
本作はドラマのその後を描いており、おかしみとほろ苦さとあたたかさで満ちた作品となっている。スタッフもドラマ版チームが再集結。中江和仁監督と脚本を安達奈緒子が続投している。
本記事では、映画の内容に触れつつその魅力をお伝えする。
よしながふみが描く原作の切り口はあくまで「料理」
原作者のよしながふみはあくまで二人を描く切り口を「料理」としている。この作品は生きていく上で何かものすごい事件が起こって、料理を食べることによって全てが解決、登場人物全員ハッピー!という内容ではない。倹約家のシロさんは激安スーパーの特売日を見逃さないし、ケンジはシロさんの浮気を勘ぐる。年齢が高くなってきた自分たちの老いを実感したり、高齢の両親を心配する。
主役の二人は男性同士の恋人だが、私たちが日常で選んだり悩んだりすることと地続きの生活が描かれている。それが『きのう何食べた?』の世界だ。だからこそ、出てくる料理とそれを美味しそうに食べる二人の笑顔が、観る人の心を温かくしてくれる。
*次ページには本作のネタバレを含んだ内容に触れています
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(C)2021 劇場版「きのう何食べた?」製作委員会