映画コラム
【多様性の進化と深化】第94回アカデミー賞詳報:今後の映画の在り方を示すものに
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【多様性の進化と深化】第94回アカデミー賞詳報:今後の映画の在り方を示すものに
多様性の時代の中で
最後に、個人的なアカデミー賞への期待と思いを2つ。
まず、「多様性」という言葉だけにこだわるあまり、思考停止に陥らないでいてほしいということです。言葉だけを追い求めることで、選考に過剰なバイアスがかかってしまっていては本末転倒だということを意味します。
もう1つは、これも多様性というものと関わりがあることですが、主要部門を含める形で2桁、少なくとも5部門以上を受賞するような問答無用の大作、その年の1本の登場です。
『DUNE/デューン 砂の惑星』(C)2020 Legendary and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved
今年は技術系の賞を『DUNE/砂の惑星』が総なめにして6部門を制しましたが、主要部門での受賞はありませんでした。(前後編映画の前編なので難しい部分ではありますが……)
2桁部門のノミネートというのは毎年ありますが、2桁部門受賞というのは2003年の『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』以来、20年ありません。
主要部門を含めた5部門以上というのも2017年の『ラ・ラ・ランド』の6部門受賞以来ありません、しかもこの時は(アカデミー賞史上に残るミスで記憶されている方もいるとおり)作品賞は受賞せずでの6部門でした。
作品・監督賞を含めて演技から技術の面まで幅広く受賞して、「その作品でその年のアカデミー賞を一色に染め上げる」ような作品というものそろそろ見たいところです。
(文:村松健太郎)
※今回は受賞部門に準じるため“男優”“女優”という言葉を使っています。
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