『旅猫リポート』『ベイブ』など!動物がしゃべる映画4つのパターンについて

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実写でもなくアニメでもない、いわば超実写版として製作された『ライオン・キング』が8月9日より全国公開されます。

1994年のアニメ映画版を原作に、ライオンのシンバの成長を雄大な自然の中で描いたこの作品、大ヒット間違いなしと思われますが、ここでの動物たちは皆言葉をしゃべり、会話しあいながらコミュニケーションを図ります。

映画の中の動物がしゃべるというのは、アニメーションのジャンルでは昔から当たり前のように使われてきた手法ですが、実写でもこのところかなり増えてきているように思われます。

ということで、今回は動物がしゃべる映画を選んでみました!

動物が人間としゃべる
夢のような世界

まずは動物が人間としゃべる世界を描いた作品として真っ先に思いつくのは、ヒュー・ロフティングの原作を基に動物と会話ができるドリトル先生のファンタジックな冒険をミュージカル仕立てで描いた名匠リチャード・フライシャー監督の『ドリトル先生不思議な旅』(67)です。主演は『マイ・フェア・レディ』(64)ヒギンズ教授でもおなじみの名優レックス・ハリソン。

ドリトル先生不思議な旅 (字幕版)

同原作をエディ・マーフィ主演のハートフルコメディとして再構築したのが『ドクター・ドリトル』2部作(98・01)。さらにはその娘マヤを主人公にしたオリジナル・ビデオ映画シリーズ(06・08・09)も存在します。

C・S・ルイスの名作ファンタジー小説を原作とする『ナルニア国物語』シリーズ(05・08・10)は4人の兄弟が大きな衣裳タンスの中から未知の世界へ入り込んでいく冒険譚。そこはライオンをはじめとするおなじみの動物もいれば不思議な生き物も多数。そしてなぜか彼らと普通に会話ができてしまう世界なのでした。

ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女(吹替版)

鬼才ティム・バートン監督が『ふしぎの国のアリス』後日譚として取り組んだ『アリス・イン・ワンダーランド』2部作(10・16)では、美しく成長したアリスが再び不思議の国へ迷い込み、そこで白うさぎやチェシャ猫など奇妙な住民たちと再会しつつ、変わり果てた世界と対峙することになります。

アリス・イン・ワンダーランド (字幕版)

インドのジャングルで狼に育てられ、動物と自由に会話できる少年の冒険を描いたラドヤード・キップリングの小説『ジャングル・ブック』は幾度も映画化されていますが、中でも2016年ディズニー版は実写の少年とCGIの動物たちを融合させた、いわば今度の『ライオン・キング』に先駆けた形式で作られた作品で、実は監督も同じジョン・ファブローなのでした。

ジャングル・ブック (字幕版)

異色作としては、核戦争で荒廃した近未来(2024年)の地球を舞台に、超能力を持つ犬と飼い主の少年の交流を描いたSF映画『少年と犬』(75)があります。監督は『ワイルドバンチ』(69)などサム・ペキンパー映画の名脇役として知られるL・Q・ジョーンズが初監督した作品ということで、日本劇場未公開ではありますが(DVDは発売)、今や伝説の名作となっています。

動物映画の王者は
犬?それとも猫?

動物映画の王者といえばやはり犬になるでしょうか。古くは名犬ラッシーの時代から犬を主役にした映画は数多く作られてきています。

おしゃべりする犬ということだけでも、ハンナ&バーベラの人気アニメを実写化した『スクービー・ドゥー』2部作(02・04)や、可愛いセレブ犬の思わぬ冒険劇『ビバリー・ヒルズ・チワワ』(08)、地球侵略を企む宇宙人によって全知全能の力を与えられた高校教師が犬に言葉を与えてしまうという無駄遣い(?)の顛末を描いたナンセンスSFコメディ『ミラクル・ニール』(15)など多数あります。

スクービー・ドゥー (字幕版)

『メン・イン・ブラック』シリーズの中で1作目(97)と2作目(02)に出演していたしゃべるパグ犬フランク(本当はエイリアン)も人気ですが、演じていた名犬ムシューくんが第3作の製作前に亡くなってしまったので、3作目は写真と絵の出演。そして最新第4弾『メン・イン・ブラック インターナショナル』(19)では1シーンの出演(ムシューくんに似たパグ犬を起用したか、CGで作成したか)となってました。

メン・イン・ブラック (字幕版)

犬嫌いの男が毛むくじゃらの犬に変身してしまう『ボクはむく犬』(59)は、時を経ての続編『帰ってきた無垢犬』(87)やリメイク『ボクはむく犬1994』(94)、さらには『シャーギー・ドッグ』(06)と幾度も作られ続けています。

捜査中に何者かに殺されるも、天国で猶予を得て名犬ベンジーとして甦って真犯人を追う探偵の活躍を描いた『名探偵ベンジー』(80)は、いわば『幽霊紐育を歩く』(41)もしくはそのリメイク『天国から来たチャンピオン』(78)ワンちゃん版!? 先ごろ公開されたばかりの『名探偵ピカチュウ』(19)の元ネタっぽい雰囲気もありますね。

かたや犬と並ぶ西の横綱・猫の映画はいかがでしょう?

世界征服を企む猫とそれを阻止しようとする犬の闘いを描いたコメディ『キャッツ&ドッグス』2部作(01・10)のように、どうも猫は実写映画だと悪役っぽいイメージで描かれることのほうが多いようで(アニメの『トムとジェリー』からして、既にそのことを象徴していますかね。ホラーでも黒猫とかよく登場しますし……)、このあたり全世界の猫ファンは大いに怒ってもよろしいかと思われます。

キャッツ&ドッグス (字幕版)

アニメだと『おしゃれキャット』(70)や『オリバー ニューヨーク子猫ものがたり』(88)みたいな可愛いものや、フランス映画『パリ猫ディノの夜』(10)みたいにスタイリッシュなものもありますけどね。

おしゃれキャット(吹替版)

誘拐事件を追う捜査官男女と猫の活躍を描いた実写映画『シャム猫FBIニャンタッチャブル』(65)とそのリメイク『誘拐騒動/ニャンタッチャブル』(96・未)の猫は、残念ながらしゃべらないので今回は該当せず。

やはり猫ちゃんファンが留飲を下げるしゃべる猫映画となると、怠け者で皮肉屋だけど世界中で愛され続ける太っちょ猫の活躍を描いた『ガーフィールド』2部作(04・06)あたりになるでしょうか。

傲慢不遜な社長がビルから転落して、その意識が猫と入れ変わってしまうコメディ『メン・イン・キャット』(16)は『転校生』の猫ちゃん版ともいえるでしょう。

メン・イン・キャット(字幕版)

変わり種では、気弱な新聞記者の前に少女の姿をした猫が現れて仕事の手助けをするオランダ映画『ネコのミヌース』(01)なんてものもあります。

ネコのミヌース [DVD]

2匹の犬と1匹の猫が冒険の旅に出る『三匹荒野を行く』(63/こちらの動物たちはしゃべらず、ドキュメンタリー・タッチでドラマは進みます)とそのリメイク『奇跡の旅』2部作(92・96)は犬派も猫派も満足できる作品かもしれません。

『旅猫リポート』など
日本映画のしゃべる動物たち

昨年公開されたばかりの日本映画『旅猫リポート』(18)もしゃべる猫の映画です。

旅猫リポート

猫好きで知られる有川浩の同名小説を映画化したこの作品、とある事情で愛猫ナナを手放さなければならなくなった青年が、新たな飼い主を探す旅に出るロード・ムービーで、結構意外な展開も待ち構えていたりします。

原作者の有川浩は大の猫好きで知られていますが、日本は犬もさながら猫の映画も多いようにも思われます。

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人間の言葉をしゃべるしゃべらないを抜きにしても、特に近年『ねこタクシー』(10)『レンタネコ』(12)『くろねこルーシー』(12)『猫侍』(13)『猫侍 南の島へ行く』(15)などネコ映画は定期的に作られていますね。

アニメーション映画でも古くは『長靴をはいた猫』シリーズ(69・72・76)やスタジオジブリ作品『猫の恩返し』(02)など名作が多いですね。

また『旅猫リポート』では猫の心の声を高畑充希が演じていますが、日本映画の場合、動物同士が言葉を用いて会話するといったものでは『クルタ/夢大陸の子犬』(94)あたりが代表格ではありますけど、むしろ『吾輩は猫である』(36)(75)や『キタキツネ物語』(78)(13)『象物語』(80)など心の声をモノローグで表現するもののほうが多いようにも思われます。

さらに申すと言語を用いるのではなく、リアルな日常描写をもって人と動物の愛情を描くことに腐心した『クイール』(03)『子ぎつねヘレン』(05)『犬と私の10の約束』(08)みたいなものが一般的な感もありますね。

豚の『ベイブ』など
さまざまな動物たち

最後に、その他のしゃべる動物たちの映画をざっと列記していきましょう。

世界一の牧羊豚をめざす子豚の奮闘を描いた『ベイブ』2部作(95・98)は可愛らしさの中にも漢(おとこ)の風格が漂う名作で、これを見た後はしばらく肉食するのをためらってしまうほど!?

ベイブ (吹替版)

E・B・ホワイトの児童文学を映画化した『シャーロットのおくりもの』(06)は、少女(ダコタ・ファニング)が飼う子豚ウィルバーの命を救うために、蜘蛛のシャーロットやネズミのテンプルトンらが大活躍。

シャーロットのおくりもの (字幕版)

人間の家庭に養子入りした鼠が巻き起こす大騒動を描いた『スチュアート・リトル』3部作(00・02・05)は、その声をパーキンソン氏病に侵されながらも芸能活動を続ける人気スター、マイケル・J・フォックスが演じたことでも話題になりました。

スチュアート・リトル (吹替版)

マイケル・ボンドの児童文学『くまのパディントン』を基にした『パディントン』(14)は、ペルーからはるばるイギリス・ロンドンにやってきた熊のパディントンと人間が、クマ語と英語でコミュニケーションがとれてるのかいないのかといった楽しい世界観のもとで繰り広げられるドタバタコメディ。2017年には続編も公開されました。

パディントン(字幕版)

ビアトリクス・ポターの名作絵本を映画化した『ピーター・ラビット』(18)は、その可愛らしい外見とは裏腹に、人間相手にかなり過激な攻防を繰り返すウサギのピーターを主人公に据えた、そんじょそこらの戦争映画も真っ青の壮絶バトル映画でした!?

ピーターラビット™  (吹替版)

その他、飼い主の少女から引き離されたオウムの大冒険『ポーリー』(98)、競走馬を夢見るシマウマと彼を支える他の動物たちの交流を描く『レーシング・ストライプス』(04)、FBIによってスパイ養成されたモルモットたちの大活劇『スパイアニマル Gフォース』(09)などなど、ここに記し切れないほど、おしゃべりな動物映画はいっぱいあります。

レーシング・ストライプス(字幕版)

ぜひみなさん、それぞれのお気に入りの動物映画を見つけてみてください!

(文:増當竜也)

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ライタープロフィール

増當竜也

増當竜也

増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画レビュー・コーナー『戯画日誌』を連載中。近著に『映画よ憤怒の河を渉れ 映画監督佐藤純彌』(DU BOOKS刊)がある。

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