『決算!忠臣蔵』公開記念、中村義洋監督のオモシロ時代劇3選!

(C)2019「決算!忠臣蔵」製作委員会 

11月22日から『決算!忠臣蔵』が劇場公開されます。

“忠臣蔵”といえば、日本人なら知らぬ者はいない、今からおよそ300年前に実際に起きた47人の赤穂浪士による主君の仇討であり、それこそ日本映画界でも無声映画時代から美談として語り継いできた壮大な物語ではあります……。

が、では実際の討ち入りにいくらお金がかかったのか? を描いていくのがこの作品の大きな特色。

ここでは山本博文『「忠臣蔵」の決算書』を原作に、忠臣蔵をひとつのプロジェクトとみなして、江戸までの交通費や滞在費、生活費、食費、武具の調達などなど、予算の工面に悩みまくる赤穂藩家老の大石内蔵助(堤真一)や勘定方・矢頭長助(岡村隆史)らの苦労が面白おかしく、またおそらくは忠臣蔵映画として初めての関西弁台詞で描かれていきます(赤穂藩は現在の兵庫県)。

かつて日本の映画会社は「忠臣蔵映画を作れてようやく一人前」などと言われた時代もありましたが、このところ映画ファンのみならず幅広い層から支持されている『武士の家計簿』『武士の献立』『引っ越し大名』など経済面から見据えた時代劇路線のひとつの到達点として『決算!忠臣蔵』を捉えてよいかもしれません。

さて、本作を監督したのが中村義洋です。

1970年、茨城県の生まれ。大学在籍中より自主映画活動を始め、卒業後は崔洋一、平山秀幸、伊丹十三らに師事し、99年に監督デビュー。

『アヒルと鴨のコインロッカー』(06)『ゴールデンスランバー』(10)などの伊坂幸太郎原作作品や『チーム・バチスタの栄光』(08)『白ゆき姫殺人事件』(14)などベストセラー小説の映画化から、『みなさん、さようなら』(13)のようなヒューマンもの、『残穢 住んではいけない部屋』(16)のようなホラーなど多彩なジャンルに挑戦し続ける俊英の彼が、続いて挑んだのが時代劇でした。

今回は『決算!忠臣蔵』公開を記念して、中村監督が手掛けた時代劇(およびその系統作品)を紹介したいと思います。

利息で町の復興を図る
『殿、利息でござる!』

(C)2016「殿、利息でござる!」製作委員会

『殿、利息でござる!』(16)は中村監督初の時代劇で、18世紀後半の仙台藩吉岡宿の窮状を救った町人たちの実話を描いた作品で、中村監督としては初の時代劇。経済型時代劇映画ブームを切り開くきっかけとなった『武士の家計簿』の原作者・磯田道史の評伝『穀田屋十三郎』(『無私の日本人』所収)の映画化です。

当時、仙台藩では宿場町と宿場町の間の物資輸送を行う「伝馬役」に藩から助成金が出ていましたが、吉岡宿は藩の直轄領ではないために助成金が支給されず、町は困窮し続けていました。

造り酒屋の穀田屋十三郎(阿部サダヲ)らはこうした現状を案じて、宿の有志で集めたお金を藩に貸し、その利息を伝馬役にあてようと画策していくのですが……。
中村監督は今から250年ほど前に起きた奇蹟的な町復興の美談を、ちょうど東日本大震災の勃発から5年経つ2016年の地方再生とも意識的に照らし合わせつつ、笑いと涙の感動秘話としてエネルギッシュかつスピーディに描いていきます。

登場人物の役回りが明快なので、どういったミッションを行っているのかがゲーム感覚でわかりやすく描出されているのも妙味。

安部サダヲをはじめ瑛太、妻夫木聡、寺脇康文ら芸達者な俳優陣が多数出演している中、地元・仙台出身のフィギュアスケート選手・羽生結弦もラストで特別出演しているのでお見逃しなく。

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ライタープロフィール

増當竜也

増當竜也

増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画レビュー・コーナー『戯画日誌』を連載中。近著に『映画よ憤怒の河を渉れ 映画監督佐藤純彌』(DU BOOKS刊)がある。

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