小日向文世らベテラン陣も!青春ミステリ映画の傑作『ソロモンの偽証』!

ソロモンの偽証 前篇・事件

(C)2015「ソロモンの偽証」製作委員会 

1月18日から公開される『マスカレード・ホテル』は、東野圭吾のベストセラー小説を原作に、木村拓哉扮するエリート刑事が連続殺人事件解決のために豪華ホテルのフロントクラークとして潜入する内容。

いわば彼がホストとなってさまざまな名優を迎えながら対峙していくものですが、その中のひとりに彼の元相棒刑事に扮する小日向文世がいます。

木村とは『HERO』シリーズなどでも共演していて、ここでも息の合った妙味を魅せる彼、実は2019年1月は『そらのレストラン』に加えて主演作『かぞくわり』と3本の映画がお目見えとなるのでありました。

そんな彼の活躍ぶりを記念して(?)、今回は彼のいぶし銀のごとき名演が光る成島出監督作品『ソロモンの偽証』(15)をご紹介!

生徒の自殺をめぐる
学校内裁判の開廷

宮部みゆきのベストセラー小説を映画化した『ソロモンの偽証』は、バブル崩壊直前の1990年12月に起きたひとりの中学生の自殺をめぐって、それがイジメ・グループによる殺人だったのではないか? という疑惑がエスカレートしていき、ついに生徒たち自らが真実を暴くべく学校内法廷を開廷するというもので、「事件」「裁判」の前後編2部作で構成された大作です。

制作にあたっては日本映画史上最大ともいわれるオーデイションを敢行し、およそ1万人の中から1クラス分の生徒役の新人若手俳優が抜擢されました。

その中で、学校内裁判を主宰していくヒロインを演じた藤野涼子(役名と同じ芸名)は、その年の映画新人賞を多数受賞し、公開からおよそ4年経った今も『輪違屋糸里~京女たちの幕末~』(19)に主演するなど活躍中。

また板垣瑞生や石井杏奈、富田望生、清水尋也、前田航基、望月歩などの新進若手俳優が順調に本作から巣立っていきました。

一方では青春ミステリ法廷映画としての構えの中、佐々木蔵之介、夏川結衣、尾野真千子、永作博美、黒木華、松重豊などの芸達者がこれら若者たちを巧みにサポートしています。

小日向文世もそのひとりで、ここでは謎の告発状や興味本位のマスコミ報道に振り回されつつ、ついには辞職に追い込まれる津崎校長を演じています。

小日向文世が印象的な
映画のいくつか

ここで小日向文世のキャリアを振り返ってみますと、1954年生まれの北海道三笠市出身。

22歳の時に俳優を目指すようになり、中村雅俊の付き人を経て、オンシアター自由劇場に入団し、96年の同団解散まで19年間在籍。解散時は42歳で、これを機に映像方面の仕事へシフトし、木村拓哉主演のTVドラマ『HERO』のメインキャストに起用され、一躍お茶の間の間で強く認知されるようになっていきました。

主演助演を問わず、多数の作品に出演し続けていますが、映画に絞って数本選ぶとしたら……。

『非・バランス』(01)
友達を作らずクールに生きていこうとする中学2年生の少女と“オカマの菊ちゃん”と呼ばれる中年との心の交流を描いた冨樫森監督のデビュー作。小日向は菊ちゃんを好演し、映画ファンに強く認知されるようになった記念碑的作品で、主題歌も彼が歌っています。

『HERO』(07&15)
やはりこの大ヒットテレビドラマシリーズの劇場版2作を外すわけにはいかないでしょう。小日向文世が演じるのはバツイチ独身で社交ダンスが趣味、笑顔で毒舌をかまし、女性陣には相手にされない末次隆之検察事務官。07年の劇場版ではダンス大会にも出演!(するも……!?)

『アウトレイジ ビヨンド』(12)
登場人物すべてがワルの北野武監督によるバイオレンス映画3部作の中で、小日向は1&2作に出演。ビートたけし扮する主人公の大友の友人でヤクザを食い物にする悪徳刑事を演じ、2作目の『ビヨンド』でキネマ旬報助演男優賞を受賞しました。

『サバイバルファミリー』(17)
ある日突然電気が消えうせ、ライフラインが途絶えて廃墟寸前に陥っていく東京から脱出するいち家族のコメディ・ロード・ムービーで、小日向は旅のさなか家長としての権威がズタボロになっていく父親を好演。監督は『スウィングガールズ』(04)などの矢口史靖。

以上、ヒューマニスティックな善人から冷酷な悪役まで多彩に演じ続ける名優のほんの一例ですが、この機会にぜひ触れてみてください。

[2019年1月18日現在、配信中のサービス]
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(文:増當竜也)

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ライタープロフィール

増當竜也

増當竜也

増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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