『ボヘミアン・ラプソディ』が大傑作である「10」のポイント!

© 2018 Twentieth Century Fox

2018年11月9日より日本公開された『ボヘミアン・ラプソディ』。伝説のROCKバンドQUEENと1991年に亡くなったボーカルのフレディ・マーキュリーの軌跡を描いたこの映画はロングラン大ヒットを記録し、2019年3月中旬の段階で125億円を超える興収をあげています。『美女と野獣』の124億円を超えて音楽・ミュージカル映画としては歴代No.1の成績となりました。

動員は900万人を超え、日本人の十数人に一人がこの映画を観ていることになります。

しかし応援上映も含めて本作を4回観た人間(もっと観てる人がたくさんいるのは承知してます…笑)からしてみたら、「え、逆にまだこの映画観ていない人がこの国に1億人くらいいるってこと?」とびっくりしてしまいます。

それくらいこの『ボヘミアン・ラプソディ』という映画は素晴らしく、冷静ではいられなくなってしまうような映画なのです。

正直、理屈ではありません。

左脳では映画として構成がいびつに思えたり、話が駆け足過ぎると思ってしまう部分もあるのですが、どんどん右脳が刺激されていって結局毎回泣いてしまいます。

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本作はネタバレされたってなにも問題ありません。フレディが仲間たちとQUEENを結成して、のし上がり、恋人のメアリーと出会いそして別れ、成功につれてバンドメンバーと衝突するようになり、ゲイである自身のセクシャリティゆえに孤独も味わい、一度QUEENを離れ、そしてそこで真に大切なものに気づき、QUEENを再結成し、1985年の伝説のライヴ・エイドのステージに挑みます。

音楽伝記映画としてはこれ以上ないくらいベタなストーリーです。

それなのになぜここまで多くの人の心を掴んでいるのでしょうか。

まあ、追究するとキリがないのでとにかくいちファンとしてたまらなかったポイントを10個に分けて書いていきますね。

<INDEX(もくじ)>

1:オープニングがたまらない
2:だんだんとフレディになっていくラミ・マレックがすごい
3:その他のキャストの激似ぶりがすごい
4:ラブストーリーとして切ない
5:バンド映画としても盛り上がる
6:曲ができる瞬間が気持ちいい
7:曲とシーンのマッチがすごい
8:ライヴ・エイドのシーンがすごい
9:終わり方とエンドロールが最高
10:フレディ・マーキュリーの物語として素晴らしい

1:オープニングがたまらない

本作は20世紀FOX配給なのであのおなじみファンファーレが流れるのですが、それが今でも現役バリバリギタリストのブライアン・メイが見事に演奏したギターサウンドになっていて、まずそこでテンションMAXになります。

そして1985年7月13日のライヴ・エイド当日から本編が始まります。

最初は無音で始まり、朝起きて咳き込むフレディ・マーキュリーの背中を捉えたショットで『Bohemian Rhapsody』というタイトルがさりげなく出ます。

お、意外と静かな始まりだなと思っていたら、そこからかの名曲(ていうか名曲ばっかりなんですが)「Somebody To Love」が流れ出すのです。

美しい賛美歌のような音楽に合わせて、ライヴ・エイドに向かう準備をするフレディと、会場の機材を準備するスタッフたちや、大勢の観客たちがカットバックで手際よく映されていきます。曲と編集のリズムもものすごくマッチしていて見ているだけで気持ちいいです。

そして出番が来て一人ぼっちでステージに向かっていくフレディ。この段階では後ろ姿しか映りませんがタンクトップで角刈りで軽快にウォームアップしながらステージに歩いていく姿は誰が見ても「フレディ・マーキュリーがそこにいる!」という説得力満載です。

そしてライヴ・エイドの大量の観客がいるステージを、本来ならアーティストたちしか見られない側から見せてくれた上で、曲が最高潮になり、一気に時代はQUEEN結成直前へと巻き戻ります。

単純に音と編集と映像のスペクタクルだけで生理的に気持ちよく、つかみとして100点満点です。しかも「Somebody To Love」はそのタイトルどおり「愛すべき誰かを見つけてくれないか」という曲で、「この映画はフレディが愛すべき誰かを探す話ですよ」とわかりやすく提示してくれます。

去年のベストOPに推したいくらい見事な幕開けです。

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2:だんだんとフレディになっていくラミ・マレックがすごい

アカデミー賞主演男優賞を獲ったラミ・マレックですが、実はQUEEN4人のキャストの中では、見た目だけだと一番似ていないです。おまけに我々が馴染み深い角刈りタンクトップ姿になるのは中盤から。最初はチリチリのロン毛なので「なんならマイケル・ジャクソンに似てるな」とまで思ってしまったのですが、そこからだんだんとフレディ・マーキュリーに見えてくるように作られているのが本作の凄さ。

© 2018 Twentieth Century Fox

実はフレディ・マーキュリーというのは芸名であり、彼は元々はファルーク・バルサラというインド系イギリス人だったのです。当時はまだ人種的に差別される存在でもあった一青年が稀代のスーパースターになっていくさまが、ラミ・マレックが役に近づいていくさまとシンクロしているのが見事でした。途中から出っ歯を強調する歌い方や、あの独特のマイクさばきや体の動かし方になっていき、最終的にはもうフレディ・マーキュリーにしか見えなくなります。本当に見事な演技でした。

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3:その他のキャストの激似ぶりがすごい

だんだんとフレディに似ていくラミ・マレックに対し、その他のQUEEN3人は最初から激似です。特にブライアン・メイを演じたグウィリム・リーは「ブライアン・メイをCGで若返らせたのかな?」と思ってしまうほど似ています。

その他、ロジャー・テイラー役のベン・ハーディもジョン・ディーコン役のジョゼフ・マッゼロもかなり似ています。3人とも有名俳優ではないのですが、単に見た目が似ているだけでなく、大役を見事にやり遂げました。演奏の仕方もちゃんとコピーしています。

役者の知名度よりシンプルにQUEENを再現するためにベストなキャスティングができているところが流石ハリウッドだなと思ってしまいます。

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4:ラブストーリーとして切ない

フレディにはずっと愛していたメアリー・オースティンという女性がいました。

映画では『シング・ストリート 未来へのうた』のルーシー・ボイントンが演じており超可愛いです。

フレディが彼女に「結婚しよう」とプロポーズするシーンもロマンティックで最高です。

しかしフレディは見た目からもなんとなく分かるようにゲイなのです。体は男性を求めてしまいます。

それでも心ではメアリーを一心に愛しているので「Love Of My Life」という超胸に迫るラブソングを作るのですが、なんと皮肉にもフレディは作曲合宿でこの曲を作っている最中にバンドのマネージャーのポールという男に迫られてキスをされてしまうのです。

そこから男を好きになってしまう自分の性と闘いながらもフレディはメアリーとの生活を維持しようとするんですが、女の勘でしょうか、メアリーは彼がゲイだと気づいてしまうんです。

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メアリーがフレディに別れを切り出すのが、彼がツアー後に久しぶりに家に帰ってきて「『Love Of My Life』を観客が歌ってくれたんだ」と喜んで映像を見せている時というのも超切ないです。

フレディの説得も虚しく2人は破局。そこからいきなり5年分時間軸が飛んで、フレディがあの角刈りタンクトップ姿に変わるので「ああ、このフレディになるまでにいろんなものを失ったんだな」と泣いてしまいました。

ちなみにメアリーと別れたあとに、フレディは「愛すべき誰か」をちゃんと見つけます。だからといってメアリーへの愛が消えたわけではないというのもしっかりとわかるので、是非その一筋縄ではいかない愛の物語にも注目して欲しいです。

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5:バンド映画としても盛り上がる

この映画ではQUEENが結成され、大ブレイクして、だんだんとフレディとそれ以外のメンバーの心が離れていき、一度解散状態になり、そして再結成して運命の舞台へ! というバンド伝記映画としてベタ且つ熱い内容がきっちり描かれます。

数々の名曲が次々生まれてスターダムにのし上がっていくさまはとても気持ちいいですし、だんだんと心が離れていくシーンは切なく、だからこそ最後に絆を取り戻す時には「良かったねえ…」と心底感情移入してしまいます。

とあるシーンで「君は伝説だ」と言われたフレディが「ああ、“僕たち”は伝説だ」と返す場面は最高にエモーショナルですし、その後ライヴ・エイドで歌われる「We Are The Champions」にもかかっています。

QUEENという最高の素材をこれ以上なく的確に料理しています。

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6:曲ができる瞬間が気持ちいい

本作は作曲とレコーディングのシーンがいくつか出てくるのですが、どれも「あの名曲がこうやって出来たのか!」と超興奮できる場面になっています。ちなみに実際にそうだったのかどうかはわかりません。本作はブライアン・メイとロジャー・テイラーから大幅に史実を改変することを許可されているので、気持ちよさ優先で作られています。

遅刻したフレディを待つ間にブライアン・メイの提案によってみんなで足踏みをして「We Will Rock You」が生まれるシーンや、フレディとロジャーが口論している時にジョンが「Another One Bites The Dust」の超有名なイントロを弾き始めるシーンなど、ドラマチックに曲ができる瞬間を盛り上げており、たまりません。

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しかも曲を作り始めるところとその曲を実際にライブでかけて大盛り上がりになっているところを、物凄くスムーズな編集で見せてくれるのでテンション爆上げです。

それにQUEENに詳しくない人でも「あ、このバンドってフレディ以外もみんなちゃんと名曲生み出してるんだな」としっかり見せてくれるので、よりレジェンドのスゴさがわかります。

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7:曲とシーンのマッチがすごい

先ほど書いたOPの「Somebody To Love」の使い方でもわかるように、この映画はBGMが全てQUEENの曲になっている上にシーンと歌詞がマッチしているのがすごいところです。

しかもマニアにしかわからないような合わせ方ではありません。例えば「Another One Bites The Dust」が流れてフレディが「また一人死んだ また一人死んだ」と歌うのに合わせて、フレディが当時エイズ蔓延の原因になっていたゲイ・コミュニティにズブズブハマっていく映像がインサートされるので、「あ、今フレディは破滅に向かってしまっているんだな」と映画を観ただけでも分かるようになっています。

QUEENの曲は英語が結構分かりやすいので、劇中でもなんとなく意味が分かりますし、分からなくてもネットでいくらでも和訳が転がっているので、映画を観てから調べれば「あ、あそこでこの曲がかかっていたのはそういう意味か!」とすぐ分かります。

それに意味合いは気にしないにしても、QUEENの曲はとにかくどれも素晴らしく、聞いているだけで興奮し、感動し、思わず口ずさんでしまいます。

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8:ライヴ・エイドのシーンがすごい

終盤、様々ないざこざや障壁を乗り越えて、映画は冒頭のライヴ・エイドへと戻ってきます。

ここが一度解散状態になっていたQUEENのバンドとしての正念場! ここをクライマックスに持ってくる時点で熱いのですが、このライヴ・エイドの再現度合いがまあヤバイのです。

1985年のライヴ・エイドは、YouTubeに当時のQUEENの出番の映像がフルでアップされているので、ぜひ映画を観終わってから見比べてみてほしいです。

ステージの構造、ちょっとした小道具、メンバーたちの動きや曲と曲の間のパフォーマンスまできっちりと再現していて本当にびっくりします。

そしてただ再現するだけでなくしっかりと映画ならではの要素も入れてきます。

普通だったら観客には見えないステージから盛り上がっているお客さんたちを見る快感も味わえますし、実際の映像では歌っているフレディばかり抜いているカメラも、映画の方ではメンバー一人ひとりの表情や舞台袖のメアリーをはじめとする関係者を映してくれます。そしてまあみんな多幸感に満ちたいい表情をしているんです。最高に楽しそうです。

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そしてカメラはライヴ・エイド会場のウェンブリースタジアムの観客の表情まで見せてくれます。そこでQUEENと一緒になって歌っているオーディエンスたちもみんな素晴らしい演技。おそらくフレディと同じように同性愛者の人たちが泣きながら「We Are The Champions」を歌っているのを見ると貰い泣きしてしまいます。

エキストラの方々、一人ひとりにアカデミー賞あげたいくらいです。もうアカデミー最優秀エキストラ賞とかこの映画のために創設して欲しかったですね。

もちろん演奏される曲のパワーもものすごいですし、先ほど書いたようにここで演奏される曲も物語を総括するような内容になっているのに驚かされます。映画もすごいけどQUEEN半端ねえと思ってしまいます。

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9:終わり方とエンドロールが最高

そして映画はライヴ・エイドのQUEENの出番が終わると同時にスパッとエンドロールに入ります。

その前にフレディが観客に向かっていう言葉も今思うと切なくなりますし、彼がステージをはける前にチラッとほかのメンバーの方を振り返るのもたまりません。

バンドのメンバーたちが人生最高の瞬間を共有できたかけがえのない仲間、フレディにとっての「Somebody To Love」であるとわかって号泣です。

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そしてはけていくQUEENのメンバーたちがスローモーションになった時にかかり始めるのが「Don’t Stop Me Now」。「そういや、まだそれがあったか!」とQUEENの楽曲の豊富さに驚かされますし、何よりその後のフレディの運命を知っていても、明るくて爽快感溢れるこの曲が流れてくれるおかげで爽やかに映画が終わっていきます。そのあとに流れる「The Show Must Go On」という曲も、フレディが死んでもQUEENは終わっていないという意味合いに感じられてグッときます。

もっとしんみり泣かせる感じに終わらせることだっていくらでも出来たのに、あくまでも盛り上げて終わってくれるのがニクいです。

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10:フレディ・マーキュリーの物語として素晴らしい

本作は「伝説のバンド<クイーン> 彼らの音楽を唯一超える<彼>の物語――。」というキャッチコピーがついていますが、まさしく愛を求め続けた孤独な男の生涯を描いた見事な一代記となっています。伝説の存在の一個人としての内面を掘り下げつつも、アーティストとしての彼に最大限の敬意を払っているところに感動しました。

この映画を観ればQUEENファンでない人もフレディが好きになり、彼が作った曲や愛した人々のことも好きになること間違いなしです。

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まとめ

この映画のおかげでQUEENの人気は再度爆発しました。音楽伝記映画としてはどんな賞よりもその事実が最大の栄誉ではないでしょうか。描いたバンドの良さを再度みんなに最大限伝えた上で、知られていなかった物語を新たに語ってみせた傑作です。

特にQUEENが最初に人気爆発したのは日本ということもあり、ブライアン・メイやロジャー・テイラーも未だに親日家です。本作の世界興収の内の13%は日本が占めています。

単に広く観られているだけでなく応援上映が何度も開催されるなどディープに愛されている作品です。未見の方は今からでもご覧になって熱狂の中に入ってみてはいかがでしょうか。QUEENを知らなくても、絶対に楽しめると断言します。

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(文:シライシ)

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