『スプリット』の10倍スッキリ!『アイデンティティー』は多重人格映画の傑作!

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現在絶賛公開中の話題作『スプリット』。シャマラン監督の多重人格物&監禁ホラーという、ファンにとっては期待するしかない内容に、初日から多くの観客が劇場に駆けつけているようだ。

ただ、鑑賞後に「よく判らない……」という若干モヤモヤした感じを抱いた人、かなり厳しい感想・レビューをネットに投稿する人など、少なからず失望した方が多いのも事実。

実際、自分が鑑賞した公開2日目夜の回でも、上映終了後の観客の反応が、「え、今の何?」「結局この話は何だったの?」と、ザワザワしながら席を立つ人続出、という物だった。ただし、賛否が非常に分かれるというのは、優れた映画の証明とも言えるので、その判断は非常に難しい。

この様な観客の反応を見るに付け、元々ネタバレ出来ない『スプリット』について敢えて書くよりも、心にモヤモヤ感を抱いて劇場を後にした観客のために、今回は誰もが見てスッキリ満足出来る多重人格ミステリの傑作、『アイデンティティー』を紹介することにしよう。

アイデンティティー (字幕版)

この『アイデンティティー』は、実は2003年に公開された作品。既に公開から14年が経過している現在では、その存在を知らない方も増えて来ているようだ。

ストーリー

激しい豪雨が降り続く夜、人里離れた一軒のモーテル。管理人のラリーがくつろいでいるところへ、ひとりの男が飛び込んでくる。彼、ジョージは息子ティミーを伴い、交通事故で大ケガをした妻アリスを運び込む。救助を要請しようとするが電話は不通だった。アリスを跳ねたのは、女優キャロラインの運転手で元警官のエド。彼は病院へ向け車を走らせるが、途中で立ち往生し、やむなくモーテルへ引き返すことに…。

やがて次々と雨のためにモーテルに集まって来る人々。年齢も性別も職業もバラバラの彼らは、大雨のために裏寂れたモーテルに一晩閉じ込められることに。

ところがこの11人の男女は、何故か何者かに次々と殺されて行く。女優の運転手であるエドは次第に連続殺人の奇っ怪さを感じ始め、独自の捜査を始めるのだが……。

その一方、ある一室で、死刑執行の前夜、既に死刑判決の下った事件についての再審理が行われようとしていた。
死刑囚マルコム・リバースは多重人格障害の疑いがあり、審理のポイントとなっているのは、その事件の連続殺人犯である囚人が書いた日記だった。

まったく違う場所で同時に進行する二つの物語、果たしてこの二つがどう関係して来るのか?そして、衝撃と驚愕の展開が待ち受けるラストとは?

驚愕のラストに誰もがぶっ飛んだ!多重人格ミステリの傑作、その見るべき理由とは?

とにかく、何一つネタバレはしてはいけない、いや出来ない本作。実はYoutubeにも日本語字幕入りの予告編がアップされておらず、その全貌はレンタルや配信で見て頂くしか無いのだが、安心して見て頂いて大丈夫!

謎の連続殺人事件が進行中のモーテルと、多重人格の殺人鬼の死刑執行への再審理が行われている会議室。どう考えても結びつくはずの無い、この二つの場所が実は・・・。
その見事な展開に、見終わった後でもう一度見返したくなるのは必至!

「あ、ここでこんな伏線が!」正にダマされる快感を存分に味わえる作品であり、不幸にして「スプリット」に満足出来なかった方には、是非こちらをご覧になることを強くオススメする。

もう一つ、この映画を今見るべき理由がある。それは本作の監督を勤めたジェームズ・マンゴールドの最新作『ローガン』が6月より公開されるからだ。

公開前から、既にかなりの高評価を得ている『ローガン』鑑賞前に、この旧作『アイデンティティー』で予習しておけば、ジェームズ・マンゴールド監督の演出力の凄さと作品のクオリティの高さが判って、安心して劇場へ足を運べるはず。

実際、これだけの複雑な設定でありながら、『アイデンティティー』の上映時間は、なんと奇跡の90分!最近の並みの映画であれば、確実に2時間の映画になるところを、これだけのコンパクトさにまとめたジェームズ・マンゴールド監督の力量!全力でオススメします。

最後に

多重人格という設定が単なる「目くらまし」や「ひっかけ」になっておらず、見た人全員が「おお、そう来たか!」と思わずにはいられない傑作、それがこの『アイデンティティー』だ。

ただし、間違っても『スプリット』鑑賞前には絶対に見ないこと!(人によっては、更に『スプリット』への評価が下がる場合があるかも?)
ここはあくまでも、『スプリット』鑑賞後の、「迎え酒」的な用法がオススメです!

注:今回『スプリット』のネタバレ回避のため、この様な内容になっております。記事中の表現は、あくまでも個人の見解によるものです。

(文:滝口アキラ)


    ライタープロフィール

    滝口アキラ

    滝口アキラ

    滝口アキラ 映画ライターにしてブルース・リー研究家。主な著書に、「ブルースリー超全集」「俺たちのジャッキーチェン」「俺たちの007」などがある。映画のコミカライズや、日本オリジナル映画主題歌などの、「失われた映画カルチャー」にも造詣が深く、TBSラジオ「ウイークエンドシャッフル」へのゲスト出演、今関あきよし監督作品への声優出演、更には「実際に映画に出演する映画ライター」として、現在「毎月1本必ず映画に出る」をノルマに活動中。その抜群の企画力と、交友関係の広さには定評がある。

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