友蔵もヒデじいも出番いっぱい!『ちびまる子ちゃん イタリアから来た少年』

■「キネマニア共和国」

超人気テレビ・アニメーション・シリーズ『ちびまる子ちゃん』ですが、何と1990年にオンエア開始されてから今年で25周年! 放送回数も1100回を超えるとのことで、これを記念して……

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街~vol.84》

久々に『ちびまる子ちゃん イタリアから来た少年』が映画化されました!

世界5か国、6人の海外留学生が
まる子たちの家にホームステイ!

映画ちびまる子ちゃん イタリアから来た少年
(C)2015さくらプロダクション/フジテレビジョン 日本アニメーション 東宝 博報堂DYメディアパートナーズ 読売広告社 FNS27社

映画版『ちびまる子ちゃん』シリーズは、1990年に第1作が、そして92年には第2作『ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌』が製作されていますが、中でも2作目は音楽映画仕立てで実にユニークな内容でしたが、それから早23年、およそ四半世紀も経って、ずっとシリーズを見てきたこちらはその分トシもとっているのに、まる子たちはあの頃のまま(さすがに絵柄は多少変化してきていますが)私たちを迎え入れてくれます。

今回の物語は、舞台となる1980年代初頭の夏、清水町に6人の海外留学生がやってきて、まる子たちの家に10日間ほどホームスティするというもので、脚本を原作者のさくらももこ自身が手掛けているのも話題のひとつです。

まる子の家にホームスティするのはイタリアのアンドレアで、彼は妙にまる子のことを気に入り、さすがはイタリア人たる積極的な言動の数々でまる子を当惑させていくことで、ちょっとした“小さな恋のメロディ”でも生まれそうな予感を湛えつつも、ドラマの流れとしてはアンドレアの亡きおじいさんがかつて日本で交流を深めていた居酒屋夫婦を探しあてようとするエピソードがメインとなっていきます。

そこで今回は、中盤に京都・大阪へ旅行するという劇場版ならではのにぎやかなエピソードが設けられており、関西弁などが飛び交いながらのドタバタ旅行の中から、まる子とアンドレアの友情(恋愛?)が育まれていきます。

その後、夏休み映画定番の夏祭りの風情などを交えつつ、クライマックスでは、いよいよホームステイの友達を成田空港まで送り届けることになり、そこでももちろん一波乱ありますが、そこから先は見てのお楽しみということで……。

笑いと感動のバランスが絶妙な
映画的叙情性に満ちた好編

このように、今回はロードムービーのようにあちこちを回りながら、まる子ら子どもたちのシリーズ独自の躍動感を露にしつつ、全体的に映画的叙情性豊かな作品に仕上がっているところがミソともいえます。

ゲスト声優にローラや劇団ひとり、渡辺直美などにぎやかな顔ぶれが揃っていますが、思っていたほどに主張が強くないのは好感が持てるところで(ローラがおとなしめの香港の女の子役で、それがフィットしていたのも意外)、とはいえ、やはりこちらとしてはシリーズのレギュラー陣の声を銀幕の奥から聞けるというのが第一のお楽しみでもあるわけですが、個人的には「クックックッ」の不気味な笑い声でおなじみ野口さんにご注目のほどを。

そしてまる子のおじいちゃん友蔵と、その友人で花輪家の執事ヒデじいの出番が多いことにも大満足で、このふたり、なかなかに味わい深い存在感を示してくれています。

京都・大阪旅行ときた日には、まる子の親友たまちゃんのお父さんも愛娘のためにカメラ掲げて空回り、いや大奮闘しているのも微笑ましい限りです。

何気に、まる子のおばあちゃんが髪をおろしているレアなショットもあったりします。
(などなど、今回妙に大人たちが印象に残るのは、こちらもトシとったせいかもしれませんね⁉)

実は私自身、コミカルなテレビ・シリーズが映画化されると妙に感動色を強めたりする傾向があまり好みではないのですが、今回は笑いと感動のバランスが程良く、また『ちびまる子ちゃん』シリーズの根底にある1980年代昭和ノスタルジーの心地よさも相まって、最後の最後まで実に気持ちよく見届けることができました。

エンドタイトルになっても、くれぐれも席を立たず、最後までご鑑賞ください。

■「キネマニア共和国」の連載をもっと読みたい方は、こちら

(文:増當竜也)

映画ちびまる子ちゃん イタリアから来た少年

映画ちびまる子ちゃん イタリアから来た少年(C)2015さくらプロダクション/フジテレビジョン 日本アニメーション 東宝 博報堂DYメディアパートナーズ 読売広告社 FNS27社

■【声の出演・スタッフ】
まる子:TARAKO
お父さん:屋良有作
お母さん:一龍斎貞友
おじいちゃん:島田敏
おばあちゃん:佐々木優子
お姉ちゃん:水谷優子
たまちゃん:渡辺菜生子
ナレーション:キートン山田

<スペシャルゲスト>
アンドレア(イタリア):中川大志
シン(インド):劇団ひとり
ネプ(ハワイ):パパイヤ鈴木
ジュリア(ブラジル):渡辺直美
シンニー(香港):ローラ

原作・脚本:さくらももこ
監督:高木淳※高木監督の「高」は「ハシゴダカ」です。

オープニング曲:「おどるポンポコリン(映画スペシャルバージョン)」大原櫻子(ビクターエンタテインメント)
挿入歌:「キミを忘れないよ」大原櫻子(ビクターエンタテインメント)
エンディング曲:「おーい!!」ウルフルズ(ワーナー・ミュージック・ジャパン)

■公開日
2015年12月23日 全国東宝系にてロードショー

■公式サイト
http://www.chibimaru-movie.com/


    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

    ピックアップ

    関連記事

    新着記事

    Facebook Auto Publish Powered By : XYZScripts.com