最後まで騙される!映画『お嬢さん』、パク・チャヌク監督の新たな顔とは?

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『オールド・ボーイ』『渇き』『サイボーグでも大丈夫』などで世界中脚光を浴びたパク・チャヌク監督の最新作『お嬢さん』がとうとう日本の映画館にも登場。

欲望と裏切り、パク・チャヌク監督の典型的なテーマが新たな頂点を極める映画『お嬢さん』の魅力は何でしょうか?

ストーリー

舞台は1930年代、日本統治下の韓国。藤原伯爵と呼ばれる詐欺師は、莫大な財産の相続人である令嬢・秀子を誘惑し結婚した後、精神病院に入れて財産を奪い取ろうという計画を立てました。しかし、その計画には共犯者が必要。そこで詐欺グループに育てられた少女スッキは、秀子のもとで珠子という名のメイドとして働きはじめるのです。

生まれたとき母親を亡くした秀子が、人里離れた土地に建つ和洋折衷建築の屋敷に日本文化に熱中する支配的な叔父の上月と暮らします。秀子を騙すつもりだったスッキが、「お嬢さん」の哀れな存在に同情し、心を惹かれてしまう。そして、秀子も少しずつスッキに心を開き、二人は深い関係を結ぶのですが……。

ミステリー、サスペンスドラマ、ラブストーリー、「ジャンル」の概念を超えて複数の方向に進む映画『お嬢さん』は、裏切り者が次々に現れるが、登場人物だけでなく、観客も最後まで騙されるのです。

パク・チャヌク監督の新たな顔

パク・チャヌク監督と聞くと暴力と血が溢れる場面を思い浮かぶ人が少なくないでしょう。特に『復讐者に憐れみを』『オールド・ボーイ』『親切なクムジャさん』、いわゆる「復讐3部作」を観賞した人ならパク・チャヌク監督の映画を残酷なイメージに関連させるはず。しかし、『お嬢さん』ではそれと全く違う映画に出会えるのです。

騙し合いの連続に女同士を結ぶ熱愛を描きながら、パク・チャヌク監督が新たな視点から人間の欲望を画面に映し観客に刺激を与えます。その意味でも『お嬢さん』が大いに期待を上回る傑作作品だと言えるでしょう。

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原作も読みたくなるはず

『お嬢さん』を観たら「このミステリーがすごい! 2005年版」海外編ベス10の第一位を獲得した「荊の城」も読まずにいられないはずです。
『お嬢さん』がイギリスのミステリー作家サラ・ウォーターズの小説「荊の城」を原案にしています。

19世紀のロンドンに設定されている本作品を読んだパク・チャヌク監督が感銘を受け、読み終える前に映画化することに決めた。また、撮影を始める前にウォーターズに脚本を送ったとか。ウォーターズがそれに気に入ったものの、『お嬢さん』が「荊の城」に基づいているよりも本作品からインスピレーションを受けたと言ったほうがいいとコメントしています。

パク・チャヌク監督が「荊の城」を読みながらこの物語にハッピーエンドを与えたいと思ったそうですが、『お嬢さん』を観賞し終えたら本屋に駆けつけてサラ・ウォーターズの作品を手に入れるしかないです!

荊[いばら]の城 上 (創元推理文庫)

最後に

海外の映画批評家によって「アカデミー賞を与えるべき!」と絶賛されるほど高い評価を得ている『お嬢さん』は、カンヌ国際映画祭やサンフランシスコ映画批評家協会賞をはじめ、30個以上の映画賞を受賞しました。パク・チャヌク監督ノファンはもちろん、そうではない人でも見逃してはいけない傑作作品です。

(文:グアリーニ・レティツィア)

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    ライタープロフィール

    グアリーニ・ レティツィア

    グアリーニ・ レティツィア

    南イタリアのバジリカータ州出身。大学院で日本現代文学を研究しながらライターとして活躍しています。中学生の時から小説を読むことと映画(特にインディーズ・ムービー)を見ることが好きで、誰もがそうではないことを知った時のショックは一生忘れません。最近ドラマシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』や『ダウントン・アビー』にはまっています。

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