それぞれの手法の楽しさが際立つ『映画Go!プリンセス・プリキュア Go!Go!豪華3本立て!!!』

■「キネマニア共和国」

今やTVの枠を超えて映画のほうでも長寿シリーズとなって久しいプリキュア・シリーズ。春のオールスターズ、秋のTVシリーズ劇場版といったすみわけも楽しい、そんなプリキュア・シリーズ、春と秋を合わせると18作目となる劇場版……。

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街~ vol.50》

『映画Go!プリンセス・プリキュア Go!Go!豪華3本立て!!!』は、その名のごとく3本立て!
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安定した2D中編アニメ1本と
必見の3DCGアニメ2本

そう、今回は1時間弱の中編『パンプキン王国のたからもの』と短編『キュアフロ-ラのいたずらかがみ』『プリキュアとレフィのワンダーナイト』、合わせておよそ75分ほどの番組になっています。
まあ、それだけならファミリー・ピクチュアとしてはさほど目新しいものでもありませんが(ただし『プリキュア』シリーズとしては初の3本立てではあります)、何が今回面白いのかというと、アニメーションとしての技法が3本とも異なっていることなのです。
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まず5分ほどの短編『キュアフローラのいたずらかがみ』は、リアルタイプの3DCGで(ただしキャラはミニサイズ)キュアフローラと不思議な巨大鏡との邂逅といたずら遊戯などが繰り広げられていきます。
『アナと雪の女王』など、現在のディズニー・アニメーションのような質感といえばわかりやすいでしょうか。
声優たちの台詞も排しており、まるでパントマイム劇のような味わいも、子どもたちにはさぞ楽しく映えることでしょう。

続いて1時間弱の中編『パンプキン王国のたからもの』はTVシリーズ同様に、通常の2Dセルタッチ・アニメーション映画。
プリキュアたちがおとぎの国のようなパンプキン王国に導かれるものの、そこには私利私欲にまみれた国王夫妻がいて、妖精たちは奴隷のようにこき使われていて、さらにはどうも王女がお城のてっぺんに閉じ込められているようで……。
時期的にハロウィンを意識して、かぼちゃまみれのデザインにあふれた王国の画作りが楽しく、いつもより時間がやや短い分テンポもよく、観客の子どもたちに振らせる(大人も振ってよし)ミラクルプリンセスライトのタイミングなども今回は無理がな異様に感じました。
パンプキン王国サブスチル01パンプキン王国サブスチル02

最後に、『パンプキン王国のたからもの』に登場した人形キャラ・レフィとプリキュアたちが、夜の闇に閉ざされたパンプキン・ダムで昼の光を取り戻そうとする険を描いた番外編『プリキュアとレフィのワンダーナイト』。
こちらは3DCGのセルルック・タイプですべてが描出されており(TVシリーズのエンディングの絵柄を思い浮かべてもらえればわかりやすいでしょう)、またこちらもミラクルプリンセスライトを意識させる展開となっています(さすがに呼び掛け演出はありませんが)。
ワンダーナイトサブスチル01ワンダーナイトサブスチル02

今後の東映アニメーションの行方を示唆しそうな
実験精神に満ちた試み

こういう風に趣向を違えた3作品のお披露目は、上映時間の短さも相俟って子どもたちの鑑賞に優しく感じられますし(たとえば最近の映画版『ドラえもん』とか、上映時間が長いと感じませんか?)その上でアニメーション制作会社の老舗たる東映アニメーションならではの実験精神が巧みに融合したもののようにも思えてならず、いずれはこうした手法を縦横無尽に駆使した作品も多く作られるようになっていくのではないかと想像するだけで、大人のこちらも楽しい気持ちになっていきます。

アニメーションの可能性を楽しく知らしめてくれる今回のプリキュア映画、ご家族のみならず幅広い層の鑑賞をお勧めします。

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(文:増當竜也)

公式サイト http://precure-movie.com/

(C)映画Go!プリンセスプリキュア製作委員会


    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou

    鹿児島県出身。映画文筆。

    朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。

    取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。

    編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊)

    その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。

    ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊)
    現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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