『スター・ウォーズ』が日本公開されるまでの1年間

■「キネマニア共和国」

12月18日18時30分より、日本全国の映画館で一斉に『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』上映解禁されることが決まりました。今回は全9部作のエピソード7となるわけですが、もともとこのシリーズは最初に『4』『5』『6』が、しばしの期間を置いて『1』『2』『3』が製作されています……。

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街 vol.44》

では、記念すべきシリーズ第1作『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』が初公開されたとき、日本ではどのようなことが起きていたでしょうか?
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全米公開から日本公開まで
1年も待たされて……⁉

全米で『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』が公開されたのは1977年5月25日。
このときはまだ単に“STAR WARS”の原題で、サブタイトルもナンバリングもされていません。

監督のジョージ・ルーカスはもともと9部作の構想を抱いてはいたものの、当時新人若手監督だった彼としては、とにもかくにも最初の作品をヒットさせなければシリーズ化はありえないという、そんな立場でしたので、9部作の中でもっとも1本の作品として成立させやすいエピソード4を発表することにしたのです(もっともエピソード7以降の具体的なストーリー案は、当時まだなかったようです)。

最初はわずか全米50館での公開でしたが、いざ蓋を開けてみると関係者が目を疑うほどの大入りとなり、館数はどんどん拡大していき、結果として“STAR WARS”は大ヒットを記録し、全米で一大ブームを巻き起こしました。

そのニュースは日本はもとより世界中に伝わりましたが、まだ海外旅行の費用もリーズナブルではなく、インターネットもない時代、日本で“STAR WARS”の存在が盛り上がり始めていくのは77年の夏真っ盛りの頃だったように記憶しています。

なお、この時期は映画雑誌などで『惑星大戦争』という邦題で紹介されていました。

また、この時期日本で異例の大ヒットとなっていたのがTVアニメーション・シリーズの総集編を劇場公開した『宇宙戦艦ヤマト』(77)でした。
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『宇宙戦艦ヤマト』と“STAR WARS”、日米の二大SF大作が相乗効果となって、日本の映画ファンの間でSFというジャンルに対する興味が大いに湧き上がっていったのです。

特に『宇宙戦艦ヤマト』は第1次アニメーション・ブームを生み、TVや映画でさまざまなSF作品が量産されていきます。

そもそも日本は63年のSF『鉄腕アトム』からテレビアニメがスタートし、特に70年代に入ると『科学忍者隊ガッチャマン』『マジンガーZ』『海のトリトン』などSFアニメが台頭し、女の子向けも『魔法使いサリー』『魔女っ子メグちゃん』など魔女っ子ファンタジーが花盛り。
実写でも『ウルトラマン』『仮面ライダ―』を二大巨頭とする特撮ヒーローものが大流行りと、こうした背景もあってSFファンタジーに対する当時の10代の理解度はかなりのものがあったと思えます。

当然“STAR WARS”にも期待しないはずはなかったのです。

やがて、日本での公開は翌78年の夏と決定。

ハリウッド超大作の日米同時公開が当たり前の現在から捉えるとあまりにも長すぎるスパンですが、半年くらいの誤差は当たり前だった当時でも「ちょっと長いよ」といった待ち遠しさは多分にあったように記憶しています。

さすがに日本公開が待ちきれなくてウズウズし始めた映画ファンの中には、大枚はたいて海外渡航して(当時はまだ海外旅行は値がはる時代でした)鑑賞する人も出てきたりしたものでした。

邦題も『スター・ウォーズ』と正式決定しました(ジョージ・ルーカスがタイトルを世界共通のものにしたいと望んだため)。

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    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou

    鹿児島県出身。映画文筆。

    朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。

    取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。

    編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊)

    その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。

    ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊)
    現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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