賛否両論!なぜ『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は波紋を呼んでいるのか

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ついに先週公開された、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』。厳重な秘密主義の下で制作された本作の全容が明らかになってからというもの、連日『最後のジェダイ』が巻き起こした話題があちこちで見受けられた1週間だった。

公開された『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』のインパクトと、その波紋について様々な角度から見ていこう。

※本記事の内容に、本編の重大なネタバレはありません。

『フォースの覚醒』並みの大ヒットスタートを切った『最後のジェダイ』

まず日本での興行の面では、公開前日の12月14日(木)に行われた先行上映も含めた4日間で興行収入約16億円、観客動員数は約105万人という大ヒットスタートとなった。

これは2015年の『フォースの覚醒』と比較すると、3日間で興行収入約16億円、観客動員約104万人と、ほぼ同様の出足に見えるが『最後のジェダイ』は1日多い4日間でのカウントとなっているため、やや減少傾向だ。土日2日間の比較では、『フォースの覚醒』の9割ほどの興行収入となっている。

『最後のジェダイ』は『フォースの覚醒』の鑑賞がほぼ前提となってしまうため、テレビ地上波初放送のほか、復習上映と銘打って映画館で再上映を行うなど、とにかく前のエピソードである『フォースの覚醒』を見てもらうことに躍起になっていたが、最終興行収入が約115億円だった『フォースの覚醒』とほぼ同様のスタートであることを考えると、まずは上々の滑り出しと言えそうだ。

北米でも週末興行収入が推定2億ドルを超え、『フォースの覚醒』に次ぐ歴代2位のオープニング興行収入を記録しており、世界的にも特大ヒットとなっている。

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評価は賛否両論!広がる『最後のジェダイ』の波紋

このように興行的には幸先の良いスタートではあったが、評価の面では大きな波紋が広がっている。

映画評論家による映画レビューをまとめているWEBサイトRotten Tomatoes(ロッテン・トマト)では、批評家からは好意的なレビューが93%となっている一方で、一般ユーザーで5点中3.5点以上の点数を付けたのは54%にとどまっている。

つまりこの数字だけ見ると、批評家のウケは良いが一般観客からの反応は悪いという現象が起きている。『スター・ウォーズ』映画が公開されると賛否両論なのは毎回恒例なのだが、その現れ方がこれまでとは少し違うように思える。

さらに、アンチファンを生み出していることも見受けられる。

署名サイトchange.orgでは、ウォルト・ディズニー・カンパニーに対して『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』をシリーズの正史から外して新たに作り直して欲しい、という署名に現在(2017年12月22日)約5万件の賛同が集まっている。

見方によっては、これでもアンチファンの発生を少なくできた方なのかも知れない。

本作のプロモーションにおいては、ティーザー、本ポスターともに全体的に不穏な赤のイメージを用いられ、日本では「衝撃」というワードを多用していたことは、観客に何か悪いことが起こりそうだという「イヤな予感」をあらかじめ抱かせる狙いがあったのではないだろうか。鑑賞前に心構えをさせることで、その衝撃を多少やわらげる効果があったかと思う。

ここまでをご覧頂き、まだ『最後のジェダイ』を未見で「一体、どんな内容なのか」と気になった方は、早く劇場へ足を運んで頂くことをおすすめする。

本作はあらすじを知らずに見た方が良い。捻りのあるストーリーなので初見時にはいくつもの驚きが用意されており、思わぬ展開を楽しめるはずだ。どこかではずみでストーリーの重要部分を見てしまうよりは、自分の目で確かめる方が良いだろう。

長い歴史の中で拡大した『スター・ウォーズ』と、多様なファンの価値観

40年の歴史を持ち、映画を超えた拡大を続ける『スター・ウォーズ』シリーズ。万人が納得出来る『スター・ウォーズ』映画を作り出すのは、今後も含めておそらく難しく、特に観客の予想外の展開(=多くの観客が見たかったものとは異なる)の多い本作においては、賛否両論は致し方ないと思う。

それは長年の歴史を持ち、多様な視点から楽しめる作品なだけに、鑑賞者それぞれに『スター・ウォーズ』に対するイメージや思い入れなどがあり、作品に対する固有の感性があるからだ。

まず、直近2作品の『フォースの覚醒』、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』でも合う人、合わない人がいるわけである。

『フォースの覚醒』は『エピソード4/新たなる希望』の焼き直しだと批判されていたが、『最後のジェダイ』はオリジナル・トリロジーからかけ離れていると正反対の批判の声があることからも、誰もが納得する『スター・ウォーズ』がいかに難しいことがわかるだろう。

ファンが見たい要素が詰まっていた『ローグ・ワン』を絶賛するファンがいる一方で、観客よりも一歩先を行くビジョンが見えなかったという声もある。

また、『エピソード1』〜『3』が映画館で見た思い出の『スター・ウォーズ』であるという20代〜30代のファンもいれば、『エピソード1』〜『3』はオリジナル・トリロジー公開当時に思い描いたアナキンとオビ=ワンの若き日の姿とはほど遠い、と考えるオールドファンもいる。

さらにさかのぼれば、今や殿堂入りした感のあるオリジナル・トリロジーだって『エピソード6/ジェダイの帰還』は子ども向け過ぎるから『スター・ウォーズ』は『エピソード5/帝国の逆襲』まで、という声もあれば、『スター・ウォーズ』は最初の作品だけ、それも公開当時のバージョンに限る!という原理主義もある。

最初にどの作品に出会ったか、またその時の年齢なども大きく影響するので、これは十人十色だろう。

そして『スター・ウォーズ』ならではの要素として、映画だけではなくテレビアニメ、小説、コミック、ゲームといった派生作品(スピンオフ)により、その世界観やキャラクター観は長年に渡ってファンの中で育まれてきた。

映画ではなくても、それらもルーク・スカイウォーカーたちについて語られたストーリーであり、ヒストリーとしてファンの心にあり続けるのだ。

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新たな一歩を踏み出した物語と、それぞれの『スター・ウォーズ』観

だから、ファンそれぞれに固有の『スター・ウォーズ』観があり、ルーク・スカイウォーカーに対するヒーロー像が存在する。

『最後のジェダイ』は、『フォースの覚醒』を見てファンが2年間のあいだに膨らませた予想とはことごとく異なる展開で、旧来の価値観や固定観念を捨て去り、今を見据えて新たな一歩を踏み出す物語だ。

例えば、本作ではルーク・スカイウォーカーの苦悩と葛藤、そして挫折した姿が描かれる。いよいよ復活した伝説のジェダイの大活躍を期待したファンがガッカリするのも無理はない。伝説のジェダイであるルークの、いわば人間宣言のような部分が描かれるからだ。

それをルーク・スカイウォーカー役のイメージが強く着いてしまい、キャリアにおいて切っても切れない俳優人生を過ごしてきたマーク・ハミルが演じるからこそ、お互いの境遇が重なって深い味わいがある。

その捻り方や意外性を楽しめるという人もいれば、「これは見たかった『エピソード8』ではない」と、前述の署名サイトに賛同する人々のように思うファンもいる。

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最終的な評価は「エピソード9」公開時に

振り返ってみると、『最後のジェダイ』と同じく三部作の中間作である『帝国の逆襲』は、今でこそシリーズ最高傑作と呼ばれるほどの支持を得ているが、公開当時は今ほど高い評価で迎えられてはいなかった。

どうしても1作目の『スター・ウォーズ』と比較し、大人が好むトーンで深みのあるドラマ、示唆に富んだテーマがすぐには受け入れることが出来なかったということもあるが、三部作としての着地点が見えない中で、公開当時は次作に問題を持ち越す結末を正当に評価することが出来なかったのではと思う。

続編の『ジェダイの帰還』で大団円を迎えることがわかっているからこそ、困難の中のドラマを描く『帝国の逆襲』の良さが実感出来るし、伏線の意味も効いてくるのではないだろうか。

だから、『最後のジェダイ』も次作であり『スター・ウォーズ』スカイウォーカー・サーガの最終章である「エピソード9」が公開された時に、最終的な評価に至るのではと思う。

さて、将来『最後のジェダイ』はどのように評価されているのだろうか。

すべては「エピソード9」をその目で見る時までわからない。半年後の2018年6月29日(金)に日本公開される『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』を見つつ、2年後の「エピソード9」を待とう(フォースで予見しなくても、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』も「これはハン・ソロじゃない」という声が出ることは今からわかる)。

現時点で何より大切なのは、賛否両論いずれにしても「自分が何を感じたか」だ。どんなに大勢が、どんなに権威のある人の発言が自分とは違っても、自分の感性を大事にして欲しい。

(文:藤井隆史)

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    ライタープロフィール

    藤井隆史

    藤井隆史

    藤井隆史 ファンサイト「スター・ウォーズ ウェブログ」運営。 2005年より、『スター・ウォーズ』情報を発信し続けている。 2010年、「『ファンボーイズ』日本公開を目指す会」を主宰。 ソーシャルコミュニティサイト「Wikia(ウィキア)」主催の「『スター・ウォーズ』究極のカルトクイズ ウィキア Qwizards<クイザード>」世界大会優勝。

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