圧巻!感動の映画体験!名曲が生オケで蘇る『スター・ウォーズ in コンサート』レポート!

PHOTO:星野麻美 

 Presentation licensed by DISNEY CONCERTS in association with 20th Century Fox, Lucasfilm and Warner/Chappell Music.
© 2018 & TM LUCASFILM LTD. ALL RIGHTS RESERVED © DISNEY

もしも「SF映画の金字塔は?」と聞かれたとき、真っ先に『スター・ウォーズ』と答える人は多いのではないだろうか。1978年公開の『スター・ウォーズ / 新たなる希望』を皮切りに、ジョージ・ルーカスが生み出したスペースオペラは現代も映画ファンの心を掴み、さらにアナザー・ストーリーも含めていまもなお拡張を続けている。

そんな『スター・ウォーズ』シリーズ人気を支えている理由の一つに、映画音楽の大家ジョン・ウィリアムズの作曲による「音楽」があることは間違いない。ウィリアムズは『スター・ウォーズ / フォースの覚醒』からスタートした新三部作でも作曲を務め、最新作エピソード9を合わせれば正史シリーズで計9作品を担当したことになる。まさに『スター・ウォーズ』の世界になくてはならない存在であり、また『スター・ウォーズ』のために生み出されたメロディーが映画音楽史そのものを支える“屋台骨”になっているといっても過言ではない。

去る7月29日に、シリーズの原点に立ち返ったシネマ・コンサート「スター・ウォーズ in コンサート JAPAN TOUR 2018」がスタートした。コンサートツアーは9月2日までの日程で、この先東京・大阪・名古屋・浜松・札幌・仙台・福岡の7都市で開催。今回は“プレミア特別公演”となった初日の「東京オペラシティ コンサートホール」上演の様子をレポートしていこう。

シネマ・コンサートとは?

まず“シネマ・コンサート”とは、映画の上映とともに音楽(いわゆる「劇伴」)をオーケストラによる生演奏で鑑賞するという、近年新たな映画鑑賞スタイルとして注目を集めているエンタテインメントだ。今回のジャパンツアーは、2017年10月に開催されて好評を博した「スター・ウォーズ / フォースの覚醒 in コンサート」に続く第2弾となる。「東京オペラシティ コンサートホール」での初日は、なんと旧三部作「スター・ウォーズ/新たなる希望」「スター・ウォーズ/帝国の逆襲」「スター・ウォーズ/ジェダイの帰還」(以降:副題のみ)をまとめて上演するという今ツアーで唯一の“一挙3作品上演”という、まさにプレミアムな幕開けとなっている。

コンサートホールに出向いてみると、入口には開演30分前となる10時半の時点で既に長蛇の列ができていた。ざっと見ただけでも年齢層は実に幅広く、ロゴシャツを着た人やキャラクターグッズを携えた人、さらにはコスチュームに身を包んだ本格派の姿などもあちこちに見受けられ、改めて『スター・ウォーズ』人気の高さを実感することに。受付を通過する際には日付や座席番号などが刻印された専用パスカードを首から提げる形となり、コンサートパネルや物販などが用意されたエントランスは多くの観客でごった返していた。

今回のツアーで指揮を担当するのは、作曲・編曲・指揮に加えて、ヴァイオリニストやピアニストとしても活躍するオーストラリア出身の音楽家ニコラス・バック。演奏は日本のオーケストラとして最古の歴史を持つ「東京フィルハーモニー交響楽団」が務める。11時の開演を迎えると照明がダウンしていき、楽団員がステージに登場するとさっそく会場は大きな拍手に包まれた。続けてヴァイオリニストが登場して全体のチューニングが行われたのだが、胸の高鳴りとともにどうも気が早まってしまい、音合わすら『スター・ウォーズ』の音色めいて聴こえてしまうのだから、聴覚のフライングもいいところだ。それからコンダクターのバックが指揮台に立つと再び大きな拍手が沸き起こり、いよいよ会場は上映に備えて暗転していく。

上演が始まると思いきや、静寂を縫うようにしてどこからともなく「コー、ホー」と聞きなれた呼吸音が。会場入り口の扉が開くと、いきなり銃を構えたストーム・トルーパーたちが会場内の通路を“侵攻”していく。続けてスポットライトを浴びながら、漆黒をまとったダースベイダーが登場。

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ゆっくりと通路を闊歩しながら、静かに腕を持ち上げて暗黒面に堕ちたフォースの力を観客に向ける仕草を見せる。ベイダー卿の呼吸音だけが静かにこだまする中、突然の帝国進軍に固唾を飲む観客たち。なるほどこれは凝っているというか、これぞイベント上映という形だからこその“掴み”だろう。上演前からコンサート会場は『スター・ウォーズ』の世界へと誘われていく。指揮台に立つバックとなにやら意思疎通を図ったベイダー卿は、ストーム・トルーパーを従え拍手と歓声を浴びながら退場していった。

『スター・ウォーズ』の世界へ!

帝国軍の侵攻により会場全体の空気が引き締められたところで、今度こそ上演がスタート。すると「20世紀FOX」のロゴとともに、アルフレッド・ニューマン作曲のかの有名なファンファーレがオーケストラ全開で高らかに鳴り響くではないか! 旧三部作一挙上映における最高の始まりの合図に、観客からは歓喜の声とともに盛大な拍手が。筆者自身にとっても、(体感表現で恐縮だが)テンションがいきなり天井を突破した瞬間だった。「ファンファーレで何を大袈裟な」と思われるかもしれないが、特に旧3部作は言うなればファンファーレあってこその“『スター・ウォーズ』の幕開け”なのだ。そして、『新たなる希望』のタイトルとともに「スター・ウォーズのテーマ」が響き渡ると、コンサート会場は『スター・ウォーズ』という世界へと飛び出していた。勇壮なブラスパートのメロディー、空気を打ち震わせる力強いパーカッション、壮麗なストリングスの音色、まさに渾身一体のオーケストラサウンドが観客を『スター・ウォーズ』という名の空間に誘っていく。

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筆者はこれまでにもシネマ・コンサートを何度か鑑賞しているが、正直なところ『スター・ウォーズ』シリーズほどオーケストラの本領が発揮される映画はないのではないか、という思いを感じた。もちろんほかのシネマ・コンサートも鳥肌が立つような素晴らしい鑑賞体験であったことに変わりはないが、明瞭なメロディーラインや感情にダイレクトに飛び込んでくる楽曲のテーマ性は、まさにオーケストラの醍醐味そのものではないだろうか。それを“生音”で体感できるシネマ・コンサートの特性は、映像の迫力とダイナミックな演奏を視覚で楽しむと同時に、“全身で音楽を浴びる”という体験も生む。映画館のスピーカーからフラットに圧縮された音楽を聴くのとは違う、奏者一人ひとりが生み出す音色を1音1音立体的に感じることができるのは、『スター・ウォーズ』シリーズにとってこの上ない極上の音響環境なのではないだろうか。

そういった意味も込め、続く第二部の『帝国の逆襲』で作品内はおろか会場の空気をも支配してしまう「ダース・ベイダーのマーチ」の高揚感は途轍もない。タイトル通りダース・ベイダーのテーマ曲であり、ヒロイズムとは違い“悪意”が漂う音楽ながら、これほど多くの映画ファンから愛されている楽曲はないのではないだろうか。そんな楽曲が本編以上の音の厚みをともなって打ち鳴らされた瞬間、誰もが「キターーー!」と拳を握りしめたくなったはず。少なくとも筆者は嬉しさのあまりニヤニヤが止まらなかった。会場全体を包む悪のテーマはこれまた低音部が生きるオーケストラとの相性が最高で、改めて生音で体感するとなぜこの楽曲がこれほど受け入れられているのかを耳と目と肌で実感できる。

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ちなみに『新たなる希望』『帝国の逆襲』の上演終了後には、ストーム・トルーパー、ダース・ベイダーそれぞれとの記念2ショット撮影タイムが設けられた。ファンが思い思いのポージングで帝国軍と写真に収まるというのもそばで見ていてなかなか素敵な時間であり、このような楽しみもイベント上映ならではの光景だろう。

記念撮影にも多くのファンが列をなしたが、それにしてもその人気ぶりを見るに改めて悪役ながらとんでもない支持率だ。マスクでキャラクターが形成されているとはいえ、主人公らを差し置いてファンと肩を並べるというのが面白い。そして2度目の撮影タイムの間筆者の頭の中で延々と「ダース・ベイダーのマーチ」がリピート再生されていたことは言うまでもないが、悪役にしてキャラクター性・音楽ともにファンの心を鷲掴みにするというのも、製作側からすれば作り手冥利に尽きるのではないだろうか。

そして今回のコンサートでもう1曲紹介したいのが、第三部『ジェダイの帰還』で軽妙なリズムを刻むイウォーク族の音楽だ。人気の高いキャラクター・イウォークがC-3POを神と崇めルークとハン・ソロを火あぶりにしようとする場面で流れる音楽は、本編からのアレンジでパーカッションが引き立ち、マリンバが奏でるリズムにより軽妙さが与えられた印象があった。イウォークのキャラクター性もあって、迫力のオーケストラサウンドからなる『スター・ウォーズ』シリーズの楽曲群の中でも異質な1曲で、だからこそやたらと耳に残りやすい。ひと言でまとめるなら、「キュート」。ルークとソロにとっては丸焼き寸前の気が気でないシーンだが、やはりイウォークのキュートさは憎めない。

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始まりには終わりがあり、映画にも終幕が訪れる。もちろん映画が終幕を迎えれば、それはコンサートの終演を意味する。三部作で指揮棒を振り続けたバックが最後のコンダクトを終えると同時に、この日一番の拍手が沸き起こった。バックが客席を振り返ると会場が揺れんばかりの拍手と歓声が贈られ、観客は総立ち。バックが奏者たちを立ち上がらせ、挨拶を促している間も拍手は一切弱まることもなく奏者たちを称えていく。それもそのはずで、第1部の上演が11時に始まり全ての演奏を終えたのは22時近く。各作品のインターミッションと作品間の休憩時間があったとはいえ、10時間以上の“耐久レース”を全力で駆け抜けてきた指揮者と奏者たちだ。ただでさえ映画音楽界で屈指のエネルギー使用量を誇る楽曲群を3作品も演奏し続けたのだから、疲労も相当なものだったはず。ステージ上の主役たちに向けられたスタンディングオベーションという名の賛辞は、5分以上に渡って鳴り響き続けた。

まとめ

前述の通り三部作の一挙上演は29日のみで、以降は作品ごとの上演になる。もちろん単発上演になるからといってその魅力が削られるようなことはなく、“映画鑑賞体験”として価値が劣るようなことはない。生オーケストラから放たれる音楽が観客と『スター・ウォーズ』という世界との橋渡しを務め、作品との一体感を生み出す。音楽とは目に見えるものではなく、常々映画にとって縁の下の力持ちのような存在だが、演奏者という目に見える形を得て観客に放たれるエネルギーはまさに“フォース”そのものかもしれない。その感動を、ぜひ全身で味わってほしい。

(取材・文:葦見川和哉)

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