映画からバラエティまで!愛され続ける名女優・中村玉緒

写真家『早田雄二』が撮影した銀幕のスターたちvol.47

現在、昭和を代表する名カメラマン早田雄二氏(16~95)が撮り続けてきた銀幕スターたちの写真の数々が、本サイトに『特集 写真家・早田雄二』として掲載されています。
日々、国内外のスターなどを撮影し、特に女優陣から絶大な信頼を得ていた早田氏の素晴らしきフォト・ワールドとリンクしながら、ここでは彼が撮り続けたスターたちの経歴や魅力などを振り返ってみたいと思います。

中村 玉緒さん

BSやCSの古い映画劇場などを見ていますと、大映映画に娘役で出演している中村玉緒の愛らしさに目を奪われますが、その一方で明石家さんまらと繰り広げるバラエティ番組での天然ボケおばさんとしてユーモラスなキャラクター。また勝新太郎夫人としての愛と苦労のエピソードの数々。そして実は多くの映画賞を受賞し続けている名女優としての貫録!

実にさまざまな顔を持つ彼女こそ、真のエンタテイナーなのかもしれません。

作品数を重ねていくごとに
女優としての資質を開花

中村玉緒は1939年7月12日、京都府京都市中京区の生まれ。父は二世・中村雁治郎、兄は二世・中村扇雀。中学2年の53年に林玉緒の本名で松竹映画『景子と雪江』で映画初出演。54年の松竹『快盗三人吉三』では少年を演じ、東映『里見八犬伝』5部作に助演した後、大映と専属契約を結び、中村玉緒の芸名で『銭形平次捕物控 幽霊大名』に、翌55年には、後の夫となる勝新太郎主演の『かんかん虫は唄う』で初共演を果たしています。

この後も『残菊物語』(56)『源氏物語 浮舟』(57)などの助演を経て、57年に始まった『赤胴鈴之助』シリーズ(57~58)で主人公の幼なじみのヒロインを好演したかと思うと、吉村公三郎監督『大阪物語』(57)や市川崑監督『炎上』(58)では遊女を、『江戸は青空』では貧しい町娘を演じるなど、作品数を重ねていくごとに女優としての可能性を高めていきました。

『炎上』と『江戸は青空』では58年度の、『天竜の鴉』『濡れ髪三度笠』『関の弥太っぺ』などで59年度の、『ぼんち』『大菩薩峠』で60年度の京都市民映画祭助演女優賞をそれぞれ受賞。60年度はブルーリボン女優助演賞も受賞しています。

また60年には勝新太郎と『源太郎船』で夫婦を演じ、勝の出世作となった『不知火検校』で主人公に翻弄されて身を滅ぼしていく旗本の妻女を熱演。61年には婚約し、『悪名』では勝扮する主人公・朝吉が中村ふんするお絹に向かって「きっと妻にします」と一礼するセルフパロディ的なシーンも見られます。

62年3月5日、勝新太郎と結婚。その後も63年の吉村監督『越前竹人形』で毎日映画コンクール女優助演賞を受賞。65年にフリーとなり、67年に勝プロダクションが創立された後は舞台出演などにも積極的に出演していきます。

夫・勝新太郎への愛情
女優としてのキャリアの躍進

70年代以降も『王将』(73)、『金環蝕』(75)『衝動殺人息子よ』(79)などコンスタンスに映画出演していますが、大ヒットした歌謡曲の映画化『岸壁の母』(76)では主演し、出征したまま帰らぬ我が子をいつまでも待ち続ける母の哀しみを見事に体現しています。

この時期、哀しみの母を演じさせて彼女の右に出る者はないと言われるほどのものがありました。

『裸の大将放浪記―山下清物語―』(81)でも天才画家・山下清の母役で、彼が死んだ後の独白シーンは圧巻。加藤泰監督の『炎のごとく』(81)では義兄・若山富三郎の女房役でした。

活動の主力をテレビや舞台に移し、映画出演はぐっと減りますが、92年、部落差別問題を扱った東陽一監督の『橋のない川』で主人公兄弟の祖母を演じ、日刊スポーツ映画大賞助演女優賞を受賞しました。

実は80年に勝プロダクションが倒産して以降、中村玉緒は勝プロモーション社長として経営復興に乗り出しますが、夫ら家族のトラブルに見舞われ続けながらの80~90年代ではありましたが、特に90年代、テレビのバラエティに進出して、明石家さんまらと抱腹絶倒の天然ぶりを発揮しながら意外なまでのキャラクラーを確立。また92年よりナースの現場を舞台に主演した帯ドラマ『いのちの現場から』はシリーズ化されるほどの好評ぶりで、女優としての貫録を示し続けていきます。

1997年、勝新太郎死去。

夫亡き後も、彼の俳優としての偉業や私生活での名物エピソードをユーモラスに語り続けることを怠らず、一方で映画やドラマ、バラエティ、そして舞台と、女優業にも俄然積極的になっていきます。

そういった功績を讃えて、2000年のエランドール賞特別賞が、2007年度の毎日映画コンクールでは田中絹代賞が授与されました。

2016年もNHK朝ドラ『べっぴんさん』に祖母役で出演。

2017年公開予定の映画『一茶』にも出演しています。

(文:増當竜也)

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    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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